「お金持ちになりたい」――。ぼんやりとしたレベルも含めれば、一度もそう願ったことのない人はほとんどいないのではないでしょうか。
お金持ちと聞いてまずイメージするのは、一流企業やベンチャービジネスでバリバリ働き、一代で財を築いた「ビジネスエリート」といわれる人々。そんなビジネスエリートたちが共通して実践している、お金の使い方のルールがあるというのです。
そのルールを明かしているのが、『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する使っても減らない5つのお金のルール』(黒木陽斗著、扶桑社)。お金持ちが共通して実行するルールとは、どんなものなのでしょうか?
■1:「時間」を買う
ビジネスエリートは「生き金」の使い方に長けている、と著者。
お金で時間を買うという発想は、その最たるもの。短縮して得られた時間で新たな価値を生み出すことができれば、使ったお金を上回るリターンが得られる、という考え方です。ホームヘルパーを雇って家事をお願いしてしまうのがその一例です。
特徴的なのが、飛行機での座席ランクの選び方。ビジネスクラスを選びそうですが、実際は逆のケースが多いよう。
どんな席でも、目的地までの所要時間は同じ。ならばエコノミークラスで3回渡航し、商談の機会を増やしたほうがビジネスチャンスにつながると考えるのです。
■2:「ノウハウ(知識と経験)」を買う
著者の知るビジネスエリートは、テレビをあまり見ないのだそう。なぜなら、同じ時間で得られる情報量が本よりも少ないから。情報の深さや専門性を高めたければ本を、情報の早さの点ではインターネットを利用すればよいのです。
なかでも、知識や経験を学びたいなら本に勝るものはない、と著者。その好例が、昨年話題になったトマ・ピケティ著『21世紀の資本』です。
長い時間をかけて行われた研究と、さらに時間をかけて練り上げられた著者の思索が数千円で手に入る。これほど費用対効果の高い情報ソースは、本をおいてほかにないといいます。
■3:「人脈」を買う
仕事で成功を収めたければ、人脈は無視することのできない資源。特にビジネスエリートは、部下とのつながりを大切にするそうです。
大きな仕事が一段落した後の、打ち上げの場を想像してみましょう。
高級店を指定して5万円をポケットマネーで部下に渡し「残りは割り勘にしてくれ」という上司と、大衆的な居酒屋に連れていき「きょうは全部俺のおごりだ」という上司。尊敬できるのはどちらでしょうか?
著者は、後者こそ尊敬を勝ち取れるビジネスエリートのやり方だといいます。部下に慕われれば、仕事もうまくすすみ、社内での評判も高まります。ビジネスエリートは、人と人とのつながりの価値をよく理解しているのです。
■4:「希少性」を買う
ビジネスエリートのお金に対する考え方がはっきり現れるのが、時計や車、不動産など高価な買い物をするとき。
彼らは「新品」よりも「中古」を選択するそう。新品には業者利益が乗っていて割高になるケースが高いこと、中古にくらべて値崩れしやすいことがその理由。
著者にいわせれば、「モノを買うときは必ず『いま、最悪いくらだったら売れるか』を考えながら買う」のがビジネスエリートのやり方。不動産も車や時計も、必要がなくなったり当面の資金が必要になったりしたときには売るという選択肢を頭に入れて買い物をするのです。
■5:「お金を産む資産」を買う
不動産を買う場合も、それが「お金を産む資産」であることが大前提。マイホームよりは、賃料収入が見込める収益不動産を選択し、自分は会社近くに高級マンションを借りる、というスタイルが多いといいます。
“生き金”として不動産にお金を使うなら、買ったときと同等か、それ以上の価値が期待できる物件を最初から選択するのがビジネスエリート。
ちなみに株式もお金を産む資産ですが、ビジネスエリートには不人気のよう。その理由は2点。瞬時に価値が上下するので管理が難しいから、そして、プロの情報量や分析力に太刀打ちするのは難しいからです。
*
「そのお金を使う前にちょっと立ち止まって調べる、または考える――たったこれだけのことが、誰にでもできるお金の価値を減らさない方法です」と著者。
本書では、お金持ちと呼ばれる人のお金の使い方を知ることができます。リターンをしっかりと見極めてお金を使う姿勢には「使った分は取り戻す」というはっきりした意思が感じられます。
そこで「さすが、お金持ちは違うなぁ」と思うか、「自分の生活に取り入れられることはないか」と考えるか。お金持ちになれるかどうかの違いは、案外そんなちょっとしたところに潜んでいるのかもしれません。
(文/よりみちこ)
【参考】
※黒木陽斗(2016)『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール』扶桑社
お金持ちと聞いてまずイメージするのは、一流企業やベンチャービジネスでバリバリ働き、一代で財を築いた「ビジネスエリート」といわれる人々。そんなビジネスエリートたちが共通して実践している、お金の使い方のルールがあるというのです。
そのルールを明かしているのが、『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する使っても減らない5つのお金のルール』(黒木陽斗著、扶桑社)。お金持ちが共通して実行するルールとは、どんなものなのでしょうか?
■1:「時間」を買う
ビジネスエリートは「生き金」の使い方に長けている、と著者。
お金で時間を買うという発想は、その最たるもの。短縮して得られた時間で新たな価値を生み出すことができれば、使ったお金を上回るリターンが得られる、という考え方です。ホームヘルパーを雇って家事をお願いしてしまうのがその一例です。
特徴的なのが、飛行機での座席ランクの選び方。ビジネスクラスを選びそうですが、実際は逆のケースが多いよう。
どんな席でも、目的地までの所要時間は同じ。ならばエコノミークラスで3回渡航し、商談の機会を増やしたほうがビジネスチャンスにつながると考えるのです。
■2:「ノウハウ(知識と経験)」を買う
著者の知るビジネスエリートは、テレビをあまり見ないのだそう。なぜなら、同じ時間で得られる情報量が本よりも少ないから。情報の深さや専門性を高めたければ本を、情報の早さの点ではインターネットを利用すればよいのです。
なかでも、知識や経験を学びたいなら本に勝るものはない、と著者。その好例が、昨年話題になったトマ・ピケティ著『21世紀の資本』です。
長い時間をかけて行われた研究と、さらに時間をかけて練り上げられた著者の思索が数千円で手に入る。これほど費用対効果の高い情報ソースは、本をおいてほかにないといいます。
■3:「人脈」を買う
仕事で成功を収めたければ、人脈は無視することのできない資源。特にビジネスエリートは、部下とのつながりを大切にするそうです。
大きな仕事が一段落した後の、打ち上げの場を想像してみましょう。
高級店を指定して5万円をポケットマネーで部下に渡し「残りは割り勘にしてくれ」という上司と、大衆的な居酒屋に連れていき「きょうは全部俺のおごりだ」という上司。尊敬できるのはどちらでしょうか?
著者は、後者こそ尊敬を勝ち取れるビジネスエリートのやり方だといいます。部下に慕われれば、仕事もうまくすすみ、社内での評判も高まります。ビジネスエリートは、人と人とのつながりの価値をよく理解しているのです。
■4:「希少性」を買う
ビジネスエリートのお金に対する考え方がはっきり現れるのが、時計や車、不動産など高価な買い物をするとき。
彼らは「新品」よりも「中古」を選択するそう。新品には業者利益が乗っていて割高になるケースが高いこと、中古にくらべて値崩れしやすいことがその理由。
著者にいわせれば、「モノを買うときは必ず『いま、最悪いくらだったら売れるか』を考えながら買う」のがビジネスエリートのやり方。不動産も車や時計も、必要がなくなったり当面の資金が必要になったりしたときには売るという選択肢を頭に入れて買い物をするのです。
■5:「お金を産む資産」を買う
不動産を買う場合も、それが「お金を産む資産」であることが大前提。マイホームよりは、賃料収入が見込める収益不動産を選択し、自分は会社近くに高級マンションを借りる、というスタイルが多いといいます。
“生き金”として不動産にお金を使うなら、買ったときと同等か、それ以上の価値が期待できる物件を最初から選択するのがビジネスエリート。
ちなみに株式もお金を産む資産ですが、ビジネスエリートには不人気のよう。その理由は2点。瞬時に価値が上下するので管理が難しいから、そして、プロの情報量や分析力に太刀打ちするのは難しいからです。
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「そのお金を使う前にちょっと立ち止まって調べる、または考える――たったこれだけのことが、誰にでもできるお金の価値を減らさない方法です」と著者。
本書では、お金持ちと呼ばれる人のお金の使い方を知ることができます。リターンをしっかりと見極めてお金を使う姿勢には「使った分は取り戻す」というはっきりした意思が感じられます。
そこで「さすが、お金持ちは違うなぁ」と思うか、「自分の生活に取り入れられることはないか」と考えるか。お金持ちになれるかどうかの違いは、案外そんなちょっとしたところに潜んでいるのかもしれません。
(文/よりみちこ)
【参考】
※黒木陽斗(2016)『シリコンバレーのビジネスエリートたちが実践する 使っても減らない5つのお金のルール』扶桑社