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経済指標の水増しに、中国人自身が驚いた 田舎の県なのにGDPが香港以上!

2015年12月14日 06時03分32秒 | 海外情報
 中国メディアの新華網は10日、中国・東北3省の経済指標の「水増し」が想像以上にひどかったと紹介する記事を配信した。これまで発表されてきた経済成長率にもとづいて計算すると、経済規模が香港以上になる県すらあったという。

 中国では、省ごとの総生産の合計が国内総生産(GDP)を大きく上回ることが常態化した。李克強首相ですら、GDPを信用せずに電力消費量や鉄道輸送量にもとづく「李克強指数」を編み出して、経済状況を判断しているという。「李克強指数」については「経済状況からかけ離れた面がある」との批判もあるが、「水増しが比較的少ない分野」の数字に重きを置いた指標ということが、理由であるようだ。

 東北地方の関係者も、数字の水増しのひどさを説く。例えば吉林省人民代表大会財政経済委員会の趙振起きる主任だ。吉林省を代表する企業として、中国三大自動車メーカーの1つである第一汽車集団がある。趙主任は、「2010年末における第一汽車集団の資産総額は1725億元(約2兆381億円)。ところが吉林省の投資総額は毎年、1兆元を超える。どれだけ第一汽車集団ができてしまうんだ」と述べた。

 さらに、これまで発表されてきた経済成長率にもとづいて計算すると、経済規模が香港以上になる県すらあったという。

 中国中央政府も地方における経済指標の水増しを重視している。対策としては、国家統計局が複数の査察チームを編成し、各地を「巡回」して経済統計をチェックしている。

 遼寧省大連市は2015年第1四半期(1-3月)の工業生産額が前年同期比29.9%減と極端に落ち込んだ。同市「経済と情報化委員会」の于徳虎副主任は、実際には5%減にとどまっていたと述べた。査察の結果、経済統計の主砲として「認められない」とされた部分を排除して計算したための落ち込みが20%分以上あったという。

 経済指標の水増しが露呈しないように、地方政府が財政状態を操作することもある。経済状態が活発であることを示そうと、収入がないのにあったことにする。それをごまかすために、借金をしたり、購入品を減らしたり、本来ならば上部に収めねばならない税をごまかしたり、禁止されている税の納期前徴収を行ったりするという。

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◆解説◆ 中国における経済統計の「水増し」は、県や市などで深刻とされる。中国の地方行政単位は国のすぐ下が省、省の下が市、市の県が県と分かれて行くが、県の指導者は市の指導者に評価されねば出世が難しく、市の指導者は省の指導者の評価を欲するからとされる。

 そのため、評価されるために経済統計の「水増し」を行う“誘惑”を強く受けるという

 中央からの査察チームの派遣など、「正しい統計」に近づけようすることは、方向性として全く問題がないが、「なぜ、この時期に東北3省について」の記事を配信したかには、疑問も残る。

 東北3省は戦前の満州国時代に、重工業のためのインフラ整備が進んでいた。そのため、中華人民共和国成立後も、全国をリードする工業地帯になった。ただし、1990年代以降になると老朽施設を多く抱えていたことが裏目となり、「東北経済」は低落が目立つようになった。そこで中国政府は2006年「振興東北老工業基地(東北旧工業基地の振興)」を国策とした。

 しかし、期待したほどの進展はなく、しかも2015年になり東北3省の経済の深刻な低迷が目立つようになった。上記記事は、「実態経済はそれほどひどくない。経済統計を正常化したので、数字上悪化した」と主張しているようにも読める。(編集担当:如月隼人)
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