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首相も関心、国会でもタックスヘイブンの議論

2012年03月25日 09時29分30秒 | 経済
 増税路線を推し進めている現政府。タックスヘイブン(租税回避地)についての取り組みはそれほど熱心とは言えない中、23日の参院予算委員会でまさに議題に上った。野田佳彦首相も米国の取り組みなどに大いに関心を寄せていた。


富裕層増税の質問
 日本国内で資産100万ドル以上の富裕層の数は174万人。これはメリルリンチ・グローバル・ウェルス・マネジメントとキャップジェミニが行った「ワールド・ウェルス・レポート」に記載されている。全人口に占める割合は1.4%にしかすぎないが、金融資産は33兆円に上り、日本の全個人金融資産1470兆円の22%を占めている。

 こうした現状や、米国でも高所得者の所得税に増税する流れができつつあることを踏まえて、3月23日の参院予算委で、大門実紀史委員(共産党)が質問した。大門氏、安住淳財務相、野田佳彦首相の3者のやりとりを簡単に再現した。

 大門氏「富裕層や、さらに、その上の富裕層に対して課税を検討すべきでは」

 安住淳財務相「総理は分厚い中間層の復活と言っているが、その背景には、所得が高くなっている人の比率が高くなる一方、300万円以下の層も増えている。結果として、中間層が細っていく傾向にある。今回は、(所得税率)40%の最高税率を45%に上げた。今後こうした所得の乖離、資本主義だけに頑張った人がある程度の富を受けるのは当然だが、累進税率と所得再配分は議論するべき」

 そこで常に出てくる議論が、資産の海外移転。日本よりも低い税率の国や、タックスヘイブン(租税回避地)などに資金を移す動きだが、次にその点に触れられた。
 大門氏「増税すると海外へ逃げる、と資産フライトが脅しのように言われる。各国で税の引き下げ競争は首を絞めるだけ。そろそろ国際連帯で協調して税の引き下げ競争はストップし、みんなで税を上げてはどうか。むしろ大事なのは、国際的な脱税行為を許さないこと。日本では、(法人税実効税率)20%以下の国はタックスヘイブンだとしているが、ここにペーパーカンパニー、ファンドなどを作って課税逃れをしている。その数が2010年では4470件もあり、事実上の脱税行為だ。ケイマン諸島だけで47兆円流れ込んでいる。国税庁が把握しているのは、そのうち八百何十億だけ。日本はどういう対策を打ってきたか」

 安住財務相「国としてはペーパーカンパニーという言葉は使っていない。(中略)様々な世界の所得が把握できてないのでは、との指摘がある。外国の税務当局と話し合って対応していかなければならない」

 ベネッセHDG会長の福武総一郎氏が、ニュージーランドに居住していることはすでに知られているが、今年に入ってからは、HOYAの鈴木洋CEOがシンガポールに拠点を移すなどしている。

 また、ファーストリテイリング創業者の柳井正氏が、530万株を配当税のないオランダに移す動きもあった。最近の大企業の経営者は、タックスヘイブンと上手く付き合っている実態がある。

 次に米国の取り組みが紹介される。
 大門氏「ペーパーカンパニーが増えても野放しになっている。それに比べ、米国はタックスヘイブンには厳しく、(税率)31.5%以下をタックスヘイブンとみなして課税をする。米国はそれくらい厳しい。海外の子会社の所得にも一定的に課税している。また、知的財産所有権をタックスヘイブンに移転すると上乗せ課税し、産業空洞化対策している。これで企業が海外移転にブレーキかけ、海外に移転する経費を損金に認めない。一方、海外から国内に移した場合には、税額控除する。日本だけが海外に逃げると言って、税の引き下げ競争をやっているが、米国はここまでしている」





野田佳彦首相
 安住財務相「日本企業の海外進出に対して、法人税の負担水準を緩和させた方が、競争力がつくからということで対応した。(中略)租税回避行為に対して厳しい声が出始めており、税逃れをする企業に対して便宜を図るなどとは考えていない」

 野田佳彦首相「米国の取り組みなど、たいへん参考になった。今後の議論に活かしていきたい」

 国会の予算委員会の場で、タックスヘイブンの議論がなされることは珍しい。今後の課税立法においてどのように活かされるのか、注目していかなければならない。

上海の環境汚染 濃霧のようなスモッグ、水もドブ並みに臭う

2012年03月25日 09時13分25秒 | 海外情報
2008年のオリンピックを機に一度は改善した中国の首都・北京の大気汚染が再び悪化していることは当サイトでも報告したが、経済の中心である上海はさらに輪をかけて悪化しているという。産経新聞の香港支局長を務めたジャーナリストの相馬勝氏が、最新の上海の状況を報告する。

 * * *
「北京の視界は、中国の政治と同じく一寸先は闇」と最近の中国の権力闘争と引っかけて、北京の大気汚染のひどさを表わす言葉が北京で囁かれているのだが、このところ北京ばかりでなく、上海でも大気汚染や水質汚染などの環境の悪化が問題になっている。中国だけに収まればまだしも、日本にも大きな影響を及ぼしている実態がある。

 私は今月初旬、3泊4日で上海を訪れた。飛行機が上海に到着する際、いつも通り、機長から現地の天候についてのアナウンスがあったのだが、その内容に違和感を覚えた。

「当機は間もなく上海浦東国際空港に到着します。現地の情報では上海は晴れですが、濃霧がかかっています」

 実際、空港に着いてみると、空は霧がかかったようにどんよりとしていた。どうも濃霧というよりも、スモッグで曇っているという感じだった。

 日系の航空機会社のパイロットは「日本から中国に向かうと、長崎をちょっと越えたあたりで、大気が黒くなっている層が広がっている」と語っており、中国で汚染された大気層が日本列島に迫っていることを明らかにした。

 上海在住の中国人の経営コンサルタントは「車の影響もあるが、上海郊外や内陸部の工場が大気汚染除去装置を付けずに、煤煙をまき散らしているのが最大の原因だ。また、水質汚染もひどい。長江や市内を流れる黄浦江はドブみたいになっていて、飲用どころか、トイレ用の水にしても、臭いが強くて使えない」と指摘する。

 日系企業や、日系のホテルの場合、浄水装置を付けているので、それほどでもないが、一般の中国人の経営する工場や事務所ではトイレに行くと、水がドブのように臭ってくるということも経験した。

 中国では5日から14日まで年に1度の全国人民代表大会(全人代=国家に相当)が開かれたが、大気汚染がひどい北京では、工場や発電の燃料を石炭からガスにすることが議論されている。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の試算によると、大気汚染による中国の経済損失は2005年の段階で、1120億ドル(約9兆円)に及んでいる。世界保健機構(WHO)は大気汚染による死亡者数は2007年で65万6000人にも達していると発表している。

 また、温家宝首相も今年の全人代最終日の記者会見で、経済成長率の目標をこれまでの8%から7.5%に引き下げたのは、「これまでのように資源を浪費したり、また環境を悪化させるような投資や生産の仕方から抜け出すためだ」と語り、資源の浪費防止や環境汚染の改善を強調しているほどで、中国経済の成長目標の設定にも影響を及ぼすほど汚染が深刻であることを認めた形だ。

 ちなみに、日本の国立環境研究所の研究によると、日本に降ってくる、酸性雨などの原因となるイオウ酸化物の発生源は、年間を通して見ると49%は中国が原因であると発表している。