歴史に学ぶ人事・経営論

横浜の社会保険労務士・行政書士関口英樹です。

社内の憎まれ役について

2016-07-01 09:03:13 | 日記
水野家の開祖である水野忠元は、徳川家康とは従兄弟である。
その水野家、六代目の忠辰(ただとき)の代になると、未だかつてない財政難に見舞われた。

幼少の頃から読書家であり、儒学を修めた忠辰は、この状況を打開すべく、財政改革に乗り出した。
腐敗した門閥政治を打破し、賞罰を明確にし、優秀な人材を登用するなど、藩政の立て直しに際し、秀才的ともいえる改革を実行しようとしたのだ。

が、しかし、思うように改革が進まず、挫折してしまった。
秀才にありがちな打たれ弱さから、心が折れ、藩政そのものに愛想をつかし、政務を放棄してしまったのだ。
それからは酒色に溺れ、吉原での遊興に浪費するようになる。
バカと天才は何とやらの言葉とおり、ダメ君主と名君主も紙一重なのだ。

財政難の中、金銀を湯水のごとく使い、そのあまりの不行跡に、母の順性院は、自らの命を絶ち、忠辰をいさめようとした。
母の命に替えた説得もむなしく、忠辰の行いは、一向に改まらなかった。

こういった状況を憂いた勇気ある家老たちによって、忠辰は捕えらえ、座敷牢に閉じ込められてしまうのだ。

忠辰の改革は、概ね的を得たものだった。では、何がいけなかったのか。
人間は、既得権益を放棄できない生き物なのだ。
理屈では、改革の正しさを理解しているものの、自らの待遇が悪くなることに我慢できない上級武士たちの猛反発を受け、思うように改革が進まなかったのだ。

では、どうすればよかったのか。
誰からやらなければならない「憎まれ役」を、トップ自らが担ってしまったことが原因だと、関口は考えているのです。
トップがこれを実行し、万一、失敗した場合、代わりはいないのである。

皆さんの会社におかれましては、順調そうで、経営改革など無縁でしょう。
おそらく危機を乗り越えたからこそ、今があるのではないでしょうか?
そのお話を、関口に聞かせて下さい。




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