「私のお墓の前で泣かないでください。
そこに私はいません。眠ってなんかいません。
千の風になってあの大きな空を吹きわたっています・・・」
と言うのは東日本震災の後に日本で歌われた「千の風」の日本語歌詞である。
「私はお墓にはいません、眠ってなんかいません!」
と言う大胆な言い方に驚いた。
私も常日頃そうは思っていたが、代々お墓を大切に守っている田舎では決して言えない事だった。
お墓でも仏壇でも、亡くなった人達は、上記の歌のように、ずっとそこに住んでいる訳ではない。
魂はいつもは霊界にいて、人々がお参りする時だけそこに来られるのである。
ちなみに仏壇でチーン!と鳴らす鐘は、先祖を呼ぶためや合図ではない。
お経をあげる時の木魚の代わりの音楽である。
先祖の霊は、合図や音で知らせなくても、迎える心で仏壇や墓の前にいれば察して来られるそうである。
よく拍手や鈴等音で呼ぶのは、西洋では主人が召使や犬を呼ぶ時に行う事で、神様や仏様は合図などしなくてもすべてご存知だから来られる。
だから、亡くなった先祖様に対しても、物や形にこだわるよりも、心を込める事の方が大切である。
(例えばお供え物も世間ていや親戚の手前等見映えに凝るよりも、手作り等心の籠もった物の方が喜ばれる)
三、四十年ほど前のバブルの頃は、田舎では立派な墓を造る事が流行っていた。
また新しい団地のような霊園もあちこちに造成された。
しかし、今では過疎地や田舎では墓を手入れする人が減ってしまった。
また、少子化の昨今では、墓はむしろ子孫のお荷物となってしまった。
世の中と言うものは、驚くほど変わるものだ!
なんて傍観者のように、最近の墓事情を想っていたら、面白いニュースがあった。
ブームのペットの猫の話である。
「家族同様のペットの猫も、一緒に墓へ入れてやりたい」
と希望する人達が、各地に多く出て来たと言う。
ところが、地元のお寺の坊さんにお尋ねすると、
「そんな事は相ならん!」と一喝のもとに、または柔らかく断られると言う。
たぶん、「人と畜生と一緒に墓へ入れるなんて、聞いた事がない!」と言う事なのだろう。
おそらく何年か前だったら、「それはそうだ、常識だ!」で済まされた事だろう。
しかし、今はそうならない。
日本社会においてもジェンダの認識や障碍者の認識も驚くほど変わりつつある。
ペットについても同様だ。
猫も犬も、今の日本では、まるで家族のように家の中で飼われている。
そして淋しい老夫婦には幼い子のように、一人暮らしの高齢者には連れ合いのように大切にされている。
そこで、そんな多くの人々の要望に答えようと、浄土宗のあるお寺が本山に問い合わせたと言う。
すると、本山では、すべての経文等を詳しく調べた。
その結果、畜生も成仏すると言う記述は見つかったものの、一緒に墓へ入れる等相ならん!との記述は見つからなかったそうである。
と言う訳で、その寺では、「ペットの猫も一緒に墓へ入れますよ」と言う事になって、遠方からも申し込みがあるそうな。
今は人口減少でお寺経営も大変な時代である。
さて、面白いニュースとは、以上のような内容だった。
お寺経営も特徴ある個別化を計らなければ!と言う時代に、実にタイムリーないいアイデアだと思った。
やはり寺は、時代の要望に応えてこそ本来の救いと言う使命が全うできるのではないかと思った。
元々私は、前述のように墓はお参りに来た時だけ亡くなった人が現れる場所で、そこに住む訳ではないから、それほどこだわる必要はないと思っていた。
もちろん霊界においては、人と動物は修行する場所は別々と聞いている。
またある人の話によれば、ペットの猫や犬は昔とは違うと言う。
最近は先祖などの人間が猫や犬に生まれ代わってきた例が多いのだろうか?
なので、家族のように家の中で一緒に住んケースが多いのかも?と思った。
私も田舎の古民家の1人暮らしなので、時々、猫を飼いたいと思う。
以前にネズミ対策に、今は亡きt爺さんちの生まれたばかりの子猫をもらう事にしていたが、縁が無かったためか死んでしまった。
目の悪い私では、いざと言う時も、常日頃も世話ができないから、それで良かったのかも、と納得している。
その代わりに、かなり前から、どこかの猫かノラネコが私の家を巡回するようになり、古ナベに入れた魚の頭や鶏の骨などをきれいに食べ尽くしている。
また部屋の中では、オニャンコ温度計が、一時間おきに警告やいろいろな言葉をしゃべっている。
両方とも、餌や毛の掃除の心配も病気出産の心配もない。
その意味では、私には好都合であるが、やはり物足りない。
できれば、このオニャンコ温度計も、少々高くなっていいから、もっとしゃべる内容を増やしてほしい。
その日の私の気分に応じて、おしゃべりモードも切り変えられるとさらにいい。
例えば、
1、感謝モード、朝から寝るまで、感謝の言葉をしゃべる。
2、励ましモード、朝から寝るまで自信をつける褒め言葉を言い続ける。
3、イヤシモード、美人の色っぽい声で褒めたり誘ったりする。
等々。
また、このしゃべる内容もネットで購入できるようになるとさらに良い。
別にネコ型の温度計でなくても、犬型やパンダ型のコミュニケーションロボットのような物でもいいが、・・
(おしまい)