「座れない椅子をこしらえました。どうぞおかけください。」
「え?座れないんだろう。どうやって腰掛けるんだ。」
「まぁそう言わずに、どうぞおかけください。」
「座れないじゃないか。それよりもコレ、美味しそうだのう。」
「いえ、これは食べ物ではありません。椅子です。」
「しかしねぇ、君これ座れないんだろう?
せっかくだ、美味しそうなうちに食べちまったほうがいい。」
「まぁ、確かに食べてみたら美味しいのかもしれませんが、
これは座れない椅子なんですよ。」
「君ぃ、これパンだろう?ニオイが、パンだもの。」
「パンのニオイのする、椅子です。」
「頑固だなぁ。椅子じゃないよこんなものは。座れないんだし。
ひとくちいただいてみるよ。・・・もぐもぐ。んん!んまい!!」
「あ!ちょっと!僕の椅子!!」
「これはパンだってば!!」
「椅子です!!」
「食べてみなさい!!ほれ!!」
「・・・うう!・・・もぐ・・・。あ。パンだ・・・・・・」
「だろう?」
「変だな。椅子の作り方見ながら作ったのに。」
「君これパンの作り方の本だよ。」
「あ!ほんとだ。まちがえちゃった。てへへ・・・」