老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

.老人の呟き

2024-01-26 21:06:01 | 老いの光影 最終章 蜉蝣
2017 自分も老人


       冬の阿武隈川風景 雪の風景を眺めると故郷(北海道尻別川)を思い浮かぶ

  「老人の呟き」

老人は
辛辣な言葉
味のある言葉
人生を振り返る言葉
「無言」の言葉
いろいろな言葉を発する

老老介護
老夫婦共々
長寿の時代になった
喜寿 卒寿を迎え百寿の時代となった

連れ合いのどちらかが
寝たきりや重度の認知症を患い
重度の要介護(要介護3~要介護5)になると
老いた身の介護はしんどく辛い

それ以上に
昼夜ベッド上で臥床し
ジッと天井を見つめながら呼吸(いき)をし
拾年が過ぎた寝たきり老人

寝返りも起きあがりも
老妻(老夫)の手を借りなければできない
我が身の不甲斐なさ、辛さ

自分ならば拾年もジッとベッド上で耐えることができるであろうか
そう想うと
寝たきり拾年
凄い忍耐力だと想う

介護 「受ける」
介護 「される」

受身のある生活に見えてしまうけれど
実際は
そうではなく
痛みや辛さにジッと耐え
無言のうちに生きてきたひとりの老人


長年連れ添った妻(夫)から世話(介護)を受けてきたことに
「すまなさ」と「ありがとう」の気持ちが複雑に交錯する

我が身の下肢や体を動かすこともままならぬ不甲斐なさ
「死にたい」と思ったり、言葉にしても
死ぬことすらできない

それでも妻(夫)に生かされながら生きてきた
どこまで生きれば
神様は生きることを
許してくれるのだろうか

痩せ衰え
骨が出たところがあたり
体のあちこちに
床ずれ(褥瘡)ができた

飲み込むこともしんどく
十分な栄養も摂れず
暑い日々は
口の中は渇き 脱水症になり
脚はつり、その痛さは耐えられない

それでも必死に生きる老人の姿から
老い病み死とは、何かを考えさせられてしまう

  《私の呟き》

  私はいま、老いの真っ最中
  長い時間
  無駄に生きてきたことに
  気づかされた
  
  後悔しても
  過ぎ去った時間を取り返すこともできないし
  逆戻りすることもできない
  「後期高齢者医療保険被保険者証」「介護保険被保険者証(要介護度は未記入)」が薬手帳に挟んである
  私も立派な老い人

  いまさらながら
  老いの身になって
  頑張ったところで
  できることは限られている
  
  青い空の下で
  碧い海の上で
  鴎が飛んでいる風景に
  小さな夢を重ね
  あと数年の短い時間(とき)であっても
  いままで無駄に生きてきた時間を
  少しでも埋め合わせていければと
  今更ながらジダバタしている

  何ができるか
  限られているけれど
  病み人の状態だが「健康」である限りは
  まだ、生きられるのかと開き直っている

  老人になった私は
  老人たちに向き合い
  老人の後姿から学び
  老人たちと生きて往く
  自分も老いの躰となった


  これを目にしたwifeは「私が先に逝きたい」、と呟いていた。



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