老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

平凡こそが幸せ

2022-02-08 08:39:40 | 老いの光影 第7章 「老人のねがい」


那須高原 遠くからでもペニーレインのパンを買い求めに訪れる。

1799 平凡こそが幸せ

92歳の海原光代婆さんが自分の家具調ベッドで永い眠りに着いて、ひと月が経った。
(合掌)
いつも家を訪れると
庭が見える南向きの居間で
陽射しを浴びながら
横になりウトウトされていた。

昔、女がてらにもっこを担いだ(土砂を担いだ)
腰も脚も疲れ過ぎ、脚を伸ばし寝るのが何よりだった。
いまは、何もやる事もなく、毎日ただ、こうして寝ている。

「この先短い、何かやりたいことはないのかい」、と野暮なことを尋ねる自分がいた。
その言葉はこだまの如く自分に返ってくる。
何が楽しみで生きているのだろうか、と思ってみたりもした。

日々、何もせず、息子がいれてくれたお茶を飲み
傍らに老いた三毛猫も負けじと寝そべっていた。
こうして平凡な日々を過ごしながら、ジッと死を待つ。
老い行きても、人間生きている限り、悩みは尽きない。

死は、もう夢を見ることもなく、眠りから眼を覚ますこともない
両膝や腰の痛みも悩みも泡のように消えていく
もうそこにはあなたは存在しない

安らかに眠りにつかれた光代さんの顔を拝んだ
最後まで這いながらトイレに行かれた頑張りに
「お疲れ様、ありがとう」と呟いた。

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