老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1362;歌を忘れたカナリア

2020-01-17 12:59:23 | 老いびとの聲
歌を忘れたカナリア {2}

歌を忘れたカナリア

言葉を忘れたひとり暮らし老人
 テレビを観ても画面が流れゆくだけ
 息子は、「声を出しながら新聞を読むとよい」
 新聞の文字は小さく読みずらいし、つまらない

 ケアマネジャーは、図書館で絵本を借りて、読むといいかも 
 文字は大きいし、一冊を読み切るので負担にならない
 声を出さないと言葉を忘れてしまう

 仏壇に向かい 亡き夫に話しかける老妻
 亡くなっても妻に話しかけらる夫は幸せ者 

居酒屋で仲間と飲み
 いざ支払いになると「お手洗いに行ってくる」、と言って
 その場を離れ 支払いを忘れたふりをするケチな男がいた

躓きの過去を忘れたいと思うも
 浮草の如し嫌な過去は水面に浮かび思い出す
 
忘れたことを忘れた老人
 忘れることは増えても感情まではなくしてはいない


  

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