老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

255;全てをきれいにして死にたい

2017-07-27 11:32:14 | 老いの光影
全てをきれいにして死にたい

屋敷梅子さん(87歳)は
いま、落ち込みと思い込みが混ぜりあい
「平成29年7月31日に
心臓のドキドキが止まり
自分は死ぬ」と信じている。

自分の身の回りをきれいにして死にしたい
ということから
家の庭に在った
7本の梅の木と
3mの高さがあった松の木を
鋸で切ってしまった。
桜の木が1本残っているので
それも切ると意気込んでいた。

同居している息子は何も言わず
お袋のやりたいようにやらせていた。

梅子さんは10年以上もうつ病を患い
いまは認知症も重なり
ネガティブな心の揺れ動きのなかにある。
息子に箪笥や茶箪笥のなかも整理され
空気しか入っていない。

帰り際に彼女は
「心臓は動いているから 死なないんだよ」
と話す。

死ぬ前には
身の回りのこと
やり残したこと
伝えておきたいこと
などなど
きれいに片づけて
心置きなくあの世に逝きたい

7月31日夕方
訪問することを約束して
私は彼女の家を出た