老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

207;人間を見るときは、その心を見るのだ

2017-06-19 16:10:48 | 読む 聞く 見る
北海道 函館本線の或る駅待合室

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三浦綾子『細川ガラシャ夫人』新潮文庫

謙遜ほど人間を美しくするものはない。その
反対に、いくら見目形がととのっていようと、
お前のように思い上がったものほど、みにく
いものはない!

よいか、人間を見る時は、その心を見るのだ。
決して、顔がみにくいとか、片足が短いとか、
目が見えぬなどといいて嘲ってはならぬ。ま
た身分が低いとか、貧しいなどといって、人
を卑しめてはならぬぞ。お玉。人間の価値は
心にあるのじゃ」(64頁、65頁)


日本の歴史上、逆臣の名を残した明智光秀が、
わが娘玉子(結婚し、細川ガラシャ夫人)に
話した言葉である(光秀は悪臣ではなかった。
つくられた人物像であり、実際は人民を重ん
じていた)

差別はいつの時代もあり、現代においても
「いじめ」や原発事故避難者や障害者、認知
症老人などに対する偏見や差別はなくなって
いない。「人間を見るときは、その心をみるの
だ」「人間の価値は、心にある」。

光秀の言葉が光る
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206;人生の春 ①

2017-06-19 11:00:08 | 介護の深淵
光と影
田圃に映った小さな影は
beagle元気と私

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人生の彩りで言えば
老いは「人生の秋」にたとえられる。
「黄昏」「夕映え」という言葉で表現されたりもする。

老いてくると
誰もが
寝たきりやぼけにはなりたくないと願う。
そして
「人間、おむつをするようになったらお終いだ」とか、
「迷惑をかけないように、ポックリあの世に逝きたい」など
老人の独白をよく耳にする。
運悪く脳卒中などに罹り
一度に「老苦」と「病苦」が重なりあい
生きることさえも苦痛となってくる。
障害や病気を抱えた老人の心境は
秋の季節を通り越し
木枯らし荒れ狂う「人生の冬」になり
生きる意欲も失せてしまいがちである。
「生きていても家族に迷惑をかける」
「子ども夫婦に負担をかける」
「生きる価値(意味)がない」
と思いつめ
自分自身の存在も否定して
ベッドにジッと耐えながら生きておられる。

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205;「施設に入るなら死ぬ」 ①

2017-06-19 03:20:57 | 老いの光影
朝陽を迎える阿武隈川上流の辺
川面は銀の輝き
老いはいぶし銀の輝き哉

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大内那津さん(83歳)は
宿場町の風景を残し小さな町並みで
肥料、酒店を営んできた。
戦前、父親は地主であり
那津さんは一人娘として大事に育てられた。
婿養子をとり、家業を受け継ぎ
いまは長男夫婦に店を任せ
隠居の身となった。
Ⅱ型糖尿病の他に脳梗塞の持病を持ち、要介護4の認定を受け
デイサービス、ショートスティなどの介護サービスを利用し
自宅で暮らしていた。
今年の3月下旬 急に胸痛を訴え呼吸することも苦しくなり
救急車を呼び那須記念病院に運ばれた。
体に浮腫がみられ心不全の診断により入院となった。
酸素吸入 口から食べることも話すこともできなくなり
一月ほど集中治療室に移され、面会謝絶になり
自宅には戻ることができないのでは、と思ったこともあった。

生命力が強く、全粥、ペースト食になり会話もできるまでに回復した。
ベッドの端に座る(端座位)ことは5分しかできなく
寝たきり状態になってしまった。
主治医からは「6月下旬には退院」と告げられ
長男から「退院が近くなってきたので、相談をしたい」と電話を受け
退院に向け介護相談が再開した。
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204;生老病死

2017-06-19 01:23:48 | 読む 聞く 見る
リバーサイドスクール

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三浦綾子『細川ガラシャ夫人』新潮文庫
(17頁)
生れた者は死ぬ。
若い者は老いる。
健やかな者も病む。
美しい花も散る。
すべてが無常と知ること。
それが真理を知ることじゃ


人間、この世に「おぎゃあ」と生れた瞬間から生きる苦しみが始まる。
人間誰しも生きていて避けることのできない苦しみ。
それは「生老病死」の四苦である。
老いてから花が美しく愛おしく感じるのも
花が散るからであり
老いの先(咲き)にあるのは
死であるからであろうか

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