平太郎独白録

国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し、独自の歴史観で語ります。

アメリカの国益にみる東アジアでの分割統治策。

2006年10月28日 | 国際問題
親愛なるアッティクスへ

上の画像は、柱状節理「造反有理」・・・ではありませんよ。念の為(笑)。)の奇観「七ツ釜」です。
一昨日は、波が荒かったですねぇ・・・。

先日、平太郎独白録 「米中新冷戦時代到来に対する日韓両政府の難しい対応。」で、日中、日韓、日露、米露近国でも、日米、米中、米韓、露印遠国であり、「遠交近攻」外交原理に照らしてみたならば、米中は、本来ならば、今すぐ、目くじらを立てないでもいい相手であると。
で、「それが、反目しようとしている・・・。これ即ち、両国・・・特に中国側の内部事情がそれを許さなくなってきているということだ。」と申し上げたと思いますが、今回は、その続きです。

遠交近攻の外交原理では、そういう組み合わせとなっておりますが、もうひとつ、欧米には、古代ローマ帝国以来の分割統治策という概念があります。
読んで字の如く、他民族を支配する場合に、分割して統治するという意味です。
そして、それは、実に驚くほど、機能します。
イギリスが、欧州大陸において、フランスドイツの対立を煽り、インドを支配する際にイスラム教徒ヒンズー教徒の対立を煽り、パレスチナを支配するに当たっては、ユダヤ人アラブ人の双方にいいことを言った・・・というのが、その好例でしょう。
その結果が、今日の混乱の原因を作り出しているわけですが・・・。

ちなみに、この分割統治策は、驚くほどに巧妙で、民族同士の対立軸に限らず、オランダインドネシア支配や、フランスベトナム支配で実際に地元民支配したのは、彼らに「雇われた中国人」であったわけですし、インドでの統治にはネパール人を使ったわけです。
つまり、搾取の恨みは、直接、白人に返らずに、それらの「代官」に向けられるわけですね。
他にも、同様の例は、ミャンマーでのビルマ族支配の為のカレン族ルワンダでのフツ族支配の為のツチ族などにも見られます。
悲惨な内戦で記憶に新しいユーゴスラビア紛争も、ルワンダでの大虐殺も、上述したパレスチナ紛争も、インド・パキスタンの紛争も、全部、元を辿れば、欧米列強の植民地支配の延長線上にあるわけです。

で、それはさておき、遠国が、その地域を支配するにおいては、その地域に並び立つ二つの民族、国家があった方がいいわけで、その公式をアジアに当てはめたならば、かつて、日本が強大になってきたときには、中国支援し日本を敗戦に追い込んだわけですが、今や、それが、今度は中国強大になろうとしているわけですよね。
とすれば、アメリカとすれば、米中が仲良くするという選択肢はないと仮定したならば、日本というのは、台湾と同じくらいに大事な支援国になるわけですよね。
とすれば、近隣諸国に限らず、遠国であるアメリカとしても、日中が仲良くすることは望んでないといえるわけで、「遠交近攻」「分割統治」・・・それに、先般、平太郎独白録 「脱亜入欧ならぬ、脱亜入「オ」の合従連衡論。」の中で申し上げました「合従連衡」といった、どれをとっても、日中が仲良くすることは国家原理としては基本的に有り得ないという結論に繋がるわけで・・・。

となれば、逆に言えば、これら外交原理、もっと、平たく言えば、「周辺諸国の思惑」というものを、為政者の方々は、頭の片隅に絶えず置いておくべきではないかと思います。

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