平太郎独白録

国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し、独自の歴史観で語ります。

映画「太陽 The Sun」にみるGHQは日本の捕虜?

2006年10月04日 | 文学芸術
親愛なるアッティクスへ

昨日は、ここに居ました。
初めて入った・・・、小さな・・・見落としそうな店だったのですが、でも、中に入ったら、客席はそれほど多くない物の、中には小さなステージがあり・・・。
ちょっとしたブルーノート状態でしたね(笑)。

で、その気分に浸りながら・・・(笑)。

先日、話題の映画、「太陽 The Sun」を見に行ってきました。
この「太陽」は、終戦前後生身の昭和天皇を描いた作品で、昭和天皇ヒロヒト役にはイッセー尾形、皇后に桃井かおり、侍従長に佐野史郎という配役・・・。
そして、監督はイルクーツク出身ロシア人であるアレクサンドル・ソクーロフ氏・・・という異色の組み合わせで、第13回サンクトペテルブルク国際映画祭グランプリを獲得するなど、海外では、早くから評判になっていた作品だとか・・・。
ただ、昭和天皇という微妙な題材であることから、日本では「公開される見込みがない」とまで言われたそうですが、曲折を経て、ようやく、日本でも公開されることになったとか・・・。
で、是非、見てみたいと思い、友人を誘って行ってきた次第でした。

私は、とかく神格化された天皇像の陰に隠れて見えなかった生身「人間」天皇像・・・というふれこみだったことから、大いに興味をそそられていました。
確かに、昭和天皇役のイッセー尾形は、「出で立ちから話し方に至るまで昭和天皇の雰囲気を見事に再現している」と評判が高かったのですが、確かに、良く聞いた記憶がある「あ、そう」というセリフであるとか、口をモゴモゴさせる仕種など、我々がよく知っている昭和天皇の姿に似ていたのですが、でも、それって(我々が知っている昭和天皇の姿とは)晩年のものですよね。
昭和20年当時、昭和天皇はまだ、40代・・・。
果たして、当時から、あの晩年のようなしゃべり方だったのか・・・という点は、少し疑問に思いました。
むしろ、人間天皇を強調する余り、あそこまで、そればかりを強調する必要があったのかな・・・と。
殆ど、最初から最後まで、イッセー緒方の一人芝居を見せられるのは、少し、辛かったです。

一方、感心したのが、老人の顔・・・です。
出てくる閣僚侍従大学教授などの顔は、まさしく、あの時代の老人の顔でしたね。
(もちろん、私も、その時代を直接、知っているわけではないのですが・・・。まあ、私が子供の頃までは、まだ、そう言う顔の老人がいらっしゃったということで・・・(笑)。)

それから、感心したのが、マッカーサーとの会談の後、退出した天皇を見送りながら、マッカーサーが呟くセリフです。
「誰かに知っている人物に似ているのだが思い出せない」と。
これは、脚本ですかね?
もし、脚本であれば、このセリフが出てくるというのは大したもんだと思いました。
(その後の場面で、遠回しにチャップリンに似ているというのが出てくるんですが、これはむしろ、余計でしたね。少なくとも、マッカーサーのセリフと一本の線になることは避けた方が良かったかと・・・。)

マッカーサーと言えば、先日からご紹介申し上げている大著、「板東俘虜収容所―日独戦争と在日ドイツ俘虜」の中には、「占領軍(GHQ)は俘虜であった」というくだりが出てきます。
曰く、「形の上では占領軍であっても、1億人(当時は実際には6千万人弱だと・・・。)に対する数十万人ですから、実際には占領軍が俘虜のようなものだった」と・・・。
まあ、確かに、交流的な面に限って言えば、そう言う見方もできるのでしょうね(笑)。

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