HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

好奇心というもの

2005年11月07日 | Weblog
絵を描くことを自分の仕事にしようなどという人間は、たいていスケッチブックだのメモ帳だのを持ち歩くものです。それで、いつもきれいなものを持っている人というのは、常に何かを描いている人で、ぼろぼろになって味が出た表紙の物を持っている人というのは、一見玄人じみて見えますが、何のことはない、全く使わないから、いつまで経っても同じ物を持っているだけのことなんですね。

ぼくも、いつでもアイデアが浮かんだらメモできるようにと、数年前からスケッチブックではなく、小さな手のひらサイズのメモ帳を使っています。オレンジ色の表紙の、RHODIAという名前のもので、なんでもポール・スミスも大のお気に入りらしいですね。ぼくの場合は、プレゼントにそのオレンジの手帳とカバーを頂いたのがきっかけで使い始めたのですが、これが使い出すといい物で、ハッと思いついたら描きとめるということを繰り返すうちに、多分もう100冊ぐらいは溜まっているんじゃないかと思います。

まぁ、こんなメモ帳の数を言ったところで何の自慢にもならないのですが、見直すと色々と見えてきて、今回急にカレンダーを作り始めたわけですが、結構助けられたりもしています。それに、年単位でメモ帳が溜まってくると、その時々に、自分が何に興味を持っていたかが改めて見えてくるので非常に面白いです。特にぼくのように、自分のことを整理しない人間にとっては、まさに宝箱です。

こうして振り返って改めて思うのが、自分というのは、好奇心についてはかなり視野の狭い人間なんだなということです。メモのあちらこちらで、あえて普段気にしないものをテーマに集中してドローイングする訓練のようなことを、度々やっているからです。

それにしても、今回のカレンダー作りに挑戦したことでも思い知ったのは、いかに自分が普段カレンダーなんて見ていないかということです。だいたい昔から半年続けてめくったら立派なもんだと思ったし、3年前の未年の日めくりなどは、表紙からきれいに365日分、都合366枚でしょうか。手付かずで置いてあります。

だいたいからして、そんなぼくがいきなり作り始めたわけですから順風満帆とはいきません。それで人に会うとついぽろっと「いやぁ大変なんですよ」みたいなことを言ってしまいます。けれど時々実に含蓄のある意見を聞けることがあって、どんな風な物が使いやすいだとか、どんなところに掛けるから大きさはどんなのがいいだのと、いろいろと教えてくれるわけです。

おかげで、この頃何とか形が見え始めてきました。初めて作るというのはとても面白いものですね。しかも、やはりこういうことからでも、自分のあり様というものが滲み出てしまうんですね。あとはとにかく一日も早く完成させるだけです。明らかにスタートが遅いですから。

最後にメモの話に戻りますが、また折々取り出しては見つめて、その時々にメモの方から呼びかけてくれるようであれば、改めて形にしていきたいなと思っています。それに、例えば、作品をぼく達が生きる世界という海に浮かぶ氷山だとすれば、このメモ達は水面下にあって遥かに大きな存在として作品を支える、氷山の本体みたいなものではないでしょうか。人間の想像力の広がりを経験したいならば、何も特別な道具などいりません。なんでもない一本の鉛筆と一冊の手帳、一枚の紙があればいつでも挑戦できるのです。

さて今日の絵は、3年前ぐらいから登場した緑色のネズミです。無表情な割には愛嬌があってお気に入りです。この作品は今年の2月頃に描いたものですね。タイトルは「GOOD DREAMS」。最初にルースターズが歌って、数年前にピローズがカバーしていた曲から頂きました。