HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

新作

2009年08月24日 | Weblog
久々に新作ができました。

と言っても春に前の職場の社員さんから、個人的に制作依頼を受けていた小品です。

ベニヤパネルに何層もジェッソを塗り重ねては耐水ペーパーで磨いて下地を作る面倒なやり方を久々に採用しました。寸法は縦が33.3cm、横が24.2㎝です。

注文主は若い方で、これから子供さんが生まれたりなど色々と人生に大きな動きが出てくる時期にある人です。

それにしても、結婚や出産、子育てと言うのは時代や地域を問わず、人間社会に共通することですよね。

それだけに取り組みやすいし、また奥の深い主題でもあるように思います。




佐川美術館

2009年08月16日 | Weblog
以前からあるということだけは知っていて、車で前を通ったこともあったのですが、今回初めて訪問しました。

企業が作った美術館というと、確かに日本でもサントリーや出光など、何度か行ったことがあるのですが、不思議と、この美術館だけはなかなか訪れる機会もなく、やっとの訪問で、もっと早く行っておきたかったなと残念でなりません。

この美術館は本当にすばらしいです。建物の周囲がすべて人口の池で囲まれていて、通路や休憩できるスペースのほとんどが大きなガラス張りになっていて、池にたつ漣を眺めながら、のんびりとすごす事ができます。

さまざまな建築関係の賞を獲ったという楽焼を収めた建物も、荘厳という言葉がふさわしい、すばらしい造りです。

一日経って気づいたのですが、佐川美術館を訪れて感じていた雰囲気が、ちょうどヨーロッパで訪れた教会や、様々な寺社仏閣が持つ雰囲気に近いなということです。

先日紹介した木下長宏さんの『美を生きるための26章』にも、近代以降、人々は教会の代わりに美術館に訪れるようになったとありましたが、本当にそうだなと思いました。

別に何を信じているわけではないのだけれど、時々、自分のよりどころになるものを求める気持ちが沸き起こるということだと思います。


さて、今日の画像の作品ですが、「モコモコ」です。

サイズや画材は前回紹介したものと同様です。

この作品は、医療関係のお仕事をなさっている方にコレクションしていただきました。なにかのお役に立てれば幸いです。

引越し

2009年08月12日 | Weblog
ちょっと先の話ですが、今の家から新しい家に引越すことにしました。
実はgooの不動産検索で見つけた家です。

あまり大きくないマンションの一室なのですが、特筆すべきはベランダ。
いわゆるルーフバルコニーってやつですか。広さがほぼ家屋部分と同じです。
大人がでんぐり返しをしたり、ちょっと走り回っても平気な広さです。
小さいラジコンなら数人でレースもできるかもしれません。

決めてになったのは、もちろんそのバルコニーがあるということもあるのですが、
玄関から室内に入ったときの雰囲気に「ここは大丈夫」と思わせるなにかがあったからです。

いくつか家を見ていると、図面では南向きでも行ってみたら目の前に大きなマンションがありまったく日が当たらなかったり、駅から近くて便利なんだけど、化学工場が隣接していてちょっと不安。あるいは室内に入ったときにいやな感じがするといったように、なかなかこれといった物件がなかったのですが、幸い最後に見つけた家は、古さはありましたが、心地よさが一番感じられたのです。

それで、なぜバルコニー付なのかと言えば、こういった家を探していたのも、普通に生活するために設計された家はやはり日常的な行動しか想定されておらず、小さなものでも絵を描くのはなかなか難しいからです。
室内を汚さずに、いろいろ作業をしたいと考えたら、やっぱり単純に外で
という発想になり、青空アトリエを構えようという結論が出てきたからです。
まさに晴耕雨読の世界ですね。

2007年にグループ展でL.A.に行った際には、現地のアーティストのスタジオに行ったのですが、レンガ積みの壁がおしゃれな古い工場を改造してスタジオにしていて、それこそ自転車で走れる広さだったのですが、あれは良かったです。

ぼくも、この新しい自宅兼スタジオを皮切りに、ベストな場所をいつか見つけたいと思います。

今日の作品は

「もこもこ」 24.2cm×33.3cm アクリル絵具・キャンバス

本の紹介

2009年08月11日 | Weblog
今日は面白い本の紹介です。

『美を生きるための26章』 木下長宏著 みすず書房 2009年

この6月に初版が出たばかりの本です。

大学時代にお世話になった方で、ゼミでは宇佐美圭司の『心象芸術論』(古書で手に入ります)をテキストに、現代の画家が宮沢賢治をいかに読み解いたかということを手がかりとして、絵画や文学だけではなく、広く人間の文化というものを学びました。そのときの講義録は今でも大切に手元においてあります。

その方の最新の著書ですが、今は大学を退官され、もっと開かれた場で、美術史や美学に関する講義をなさっています。

一部を引用します。〈語りたいことは決まっていた。『美学』や『美術史』とか言う学問の垣根は取り払って、まっすぐ作品を見て感じたことを言葉にすること。そして、人間にとって「美」とはなにか、「芸術」とはなにかを考え直してみること。そんなふうに、美とはなにか、芸術とはなにかを考えることがそれぞれの生きかたとどう関わっていくのか。〉

ぼく自身も絵を生業とするものとして、なぜ絵を描くのかとか、美しいとはなんだろうと考えることもあるのですが、衣食住が満たされて、それでもなお心が渇望するなにかがあるから絵を描いているのではないかと思うことがあります。

自分自身の中での美についての思索と概念化、またそれを現実に投げ返してまたサイド思索へと戻っていくというプロセスに、この本は良い道しるべになるのではないかと思います。

とっても分厚い本なので、読み応えもあり。ぜひ一度手にとってみてください。




さて、今日の作品は

「ところでね」 24.2㎝×33.3㎝ アクリル絵の具・キャンバス


最近見たもの

2009年08月11日 | Weblog
7月29日、高校時代の後輩が今も続けているクラシックバレエの公園があり見に行ってきました。
「2009洋舞合同公演」というもので会場は神戸文化ホールです。

今回驚いたのは、僕が知る限り、彼女は今ままで非常にスタンダードな振り付けで踊っていたはずなのですが、今回はまったく違いました。
赤いハンドバッグを片手に、サングラスをちょっとずらしてかけ、ガニマタの摺足で舞台の袖から出てきたのです。

実際、振り付けもまったく上達しないバレリーナの踊りといった感じで、ギクシャクしたものだったのですが、さすがだなと思ったのは、やはりきちんと踊ることができるからこそ、下手くそみたいな動きをしながらも、魅力あるもにできていたのだなという点です。

こういった催しは、バレエ教室の発表会的な要素があり、いろんなレベルの人たちが出てきますが、小さな子供たちも愛らしかったし、いろいろな人達が関わりながら、文化というものは支えられるんだなと、久々に思い出しました。

それから、ごく単純に、バレエの動きや考え方というものは日常の生活ではまずお目にかかれないものですから、ぜひ見てみるべきだと思います。

自分が知らず知らずのうちに思い込んでいる「人間とはこうだ・私とはこうだ」という硬直した意識が、もしかしたらほぐれる瞬間があるかもしれませんから。

とまれ、この日はすばらしい時間をすごすことができました。


今日の画像は3月の個展で出品した小品です。
「ネズミ#2 24.2㎝×33.3cm アクリル絵の具・キャンバス」