HAZAMAN'S WORLD WEBLOG

自分が描く絵のことや、日々の暮らしの中でふと気付いたことなど・・・・

自画像

2007年08月27日 | Weblog
グループ展って大変です。
いろんな意見を持ったアーティストが何人も集まるんだから、
上手く展示が出来ただけでももうけもの。
僕なんかはそう思うんだな。
他のアーティストや、見に来る人はどう思っているんでしょうね。
でも、大学に行き始めたころから思っていたことがあって、
グループ展って、ただやっているだけだと、
会議なんかと一緒で声がでかいやつが勝つんだよね。
それに展覧会だから作品がでかいやつが勝つ。
展覧会って、そんな動物的な弱肉強食的なところを、意識的に抑えて、
一本筋道を付けてやらないと本当は上手くいかないと思う。
昨日、実際に東京で自分の仕事も含めていくつかのグループ展を見て、久しぶりにそんなことを思い出しました。

それで、本題は自画像。
芸大のギャラリーで、卒業生たちの自画像を年代順に並べているんですね。
明治から始まって大正昭和平成と。

明治から大正にかけては、見ているこっちが見られているように感じるぐらい作家は自分を見ているの。しかも技術がしっかりしているから絵に見応えがある。

それが戦中から戦後、昭和の10年代頃からなんだか塊としての人間から少し外れてくるんです。なんとなく表面を撫でているような感じ。でも、かなりがりがりと削らんばかりの勢いで自分には迫っているんだけれどね。

それが、もう昭和50年代になったら単なる小手先になっていました。鏡に映った自分の姿を手がかりに画面を構成しただけ。しかも、この時期になるとすでに受験美術で身に付いたテクニックが消えずに最後まで残っている。

いつのころからこの「受験美術」なんて言われ方をし始めたかは知らないけれど、本当に百害あって一利なしだなと、改めて思いました。

そして自画像。平成に入ると、もう自分なんてどこにもない。画面にすら現れてこない。

僕たちってここまで自分に自信がないというか向き合えなくなっているんだなと、ちょっと怖くなりました。自分探しだなんて、変な言葉が普通に感じられるはずでした。

これからの人間観ってどうなるんだろう。

絵とイラスト

2007年08月22日 | Weblog
どうでもいい話ですが、最初にタイトルを「絵とイラスト」にしようと入力変換したら、案の定「干支イラスト」になってしまいました。

さて、問題のイラストですが、よく人から「お前の作品はイラストか?」と聞かれることがあります。というのも、大体作品を発表している場所がバリバリの現代美術系の画廊だったりすることが多いので、「なんだかよく分からない」が普通の状態に僕の作品が入っていくと、どうしても漫画然として見えるのだと思うのです。

自分の作品を投げ込む文脈を変えることで、作品の意味合いが変わるのは当然のことですが、ちょっと作者としては釈然としないものがあるので、少しだけ、無い頭を絞ってみました。

基本的に、イラストや漫画というものは、産業として成立しているものだと思うのです。それらが生まれたばかりに頃のことは良く知りませんが、今では出版を中心として、多くの場所で商業的に成り立っています。そこにはやはり売れるための物作りのメソッドやかかわる人達の論理があり、「売れる」「利潤がある」という結果に向かってすべてが集約されていった世界ではないかと思うのです。

比較しますと、その点僕自身がやっていることは「売れる」「利潤がある」という方向性での結果は二の次です。全く自分が見たいものを描き、作るというだけです。そういう点で、自分が作っている絵はそれを背後で支える精神のようなものが、漫画やイラストとは全く違うということが出来ると思うのです。その点から、僕は自分の作品を絵〈絵画〉だと思っています。

そして誤解されたくないのですが、僕は、産業として成立しているアートを否定するつもりはないのです。それらは今に時代の感性にフィットすることを至上目的として洗練された世界です。

また一方で、なんだか良く分からないし、何の役にも立ちそうにも無いけれど不思議と面白いという、たとえば「現代美術」と呼ばれているような世界もあるわけです。

なんだか込み入った状況ですが、僕自身は人の感性を後追いするような無様なことはもちろんしたくない、むしろ人の感性をリードしたいと思う一方で、やっぱり、みんなに愛される作品を作りたいと、そんな矛盾したことばかり思うわけです。

そしてなによりも、人が僕の作品を見たときに、最初に絵であるとかイラストであるといったような、形式上の分類を気にするのではなく、一気に作品の世界に入り込んでしまえるようなものが出来れば、本当に嬉しいなと思うのです。

慌ててます

2007年08月15日 | Weblog
東京でのグループ展搬入が今月21日、来週月曜日です。
今回の作品も今年3月に大阪で発表した作品と同じスタイルで、
掛け軸風の作りにするのですが、あろうことか、この盆休み中に部材をそろえにハンズへ行ったら、全部そろわないではないですか。

そこですかさず注文しようとしたら、メーカーが盆休みだから、今から発注しても、入荷は来週中ごろです。と、冷たい返事が・・・
慌てて大阪のハンズに電話したけれど返事は同じです。困ったことに近所のホームセンターでも手に入らないのです。

ふと思いました。自分が一番大事な仕事をこんなのんびりしたペースでやっているなんて、ちょっとどうなんだろうと。多分僕がお金を扱うような仕事をしたら、絶対に計算が合わなくなること請け合いです。世の中というのは良く出来たもので、そんな僕だから金融系とは何のご縁もありませんし、自分からそういう世界に飛び込もうだなんて、一度も思ったことがありません。

結局関東に住む友人に連絡し、東京のハンズを全部当たれ!とお願いして一件落着です。多分。その友人が当日搬入の当たってくれるので、お願いし通しで悪いなぁと、心から反省しています。

「友人は大切にしよう」。本当に自分のためにあるような言葉でした。


肉食と草食

2007年08月11日 | Weblog
体育会系という言葉がありますよね。周囲で、やたらと元気でガッツも根性も日焼け具合も人の数倍あるなんていう人を「あいつは体育会系だから」などという言い方で形容します。

今までちょっと不思議だなと思っていたのが、そういう体育会系とは逆の、穏やかな人々を形容する言葉って聞いたことが無いなあということです。

先日糸井重里さんと、とある落語家さんの対談を読んでいたのですが、落語家が高座に上がるまで、自分のテンションをどうやって上げていくかという話の中で、その落語家さんは楽屋裏で自分の出番直前になると暴れだし、時には弟子をひっぱたくというようなことを話していました。

その人いわく、自分は肉食動物系で、その日の寄席で観客から一番笑いを捕ってやるという、狩りをする動物の気持ちでテンションを上げていくのだそうです。

ところが、噺家全員がそのようなタイプではなく、全く逆に、楽屋からスーッと出てきたと思ったら、草原の動物がモグモグ草を食むように穏やかに話して、そのまままたすーっと帰ってしまう、草食動物みたいな人も結構いるらしいのです。

この対談を読んだときに上手いことを言うなあと感心しました。人間のタイプを表すときに「~会系」というよりも、肉食動物・草食動物とわけたほうが分かり易いし的を得ているなと。人間も動物だし、ものすごくすっきりと納得のいった瞬間でした。

ぼく達絵描きは、言葉ではなく絵で世界と対決しようとしているわけですが、糸井さんのように言葉の世界で勝負している人の発想や視点というものは全く別の魅力があってとても面白いです。

というわけで、感想文になってしまいました。


うなぎとか・・・

2007年08月06日 | Weblog
思いっきりよろず話ですが、明石で有名な魚の棚商店街。
先日そこにある黒谷商店という淡水魚専門店で、うなぎの蒲焼を勝って食べました。
これが当然国内産のうなぎで、とっても美味。さらに言うと、運が良ければ買える肝焼き。これがことの他おいしいのです。本当にお勧めです。ビールにもぴったりなんですが、むしろ、白飯の方が合うかもしれない勢いの美味さです。

話は変わって、来月アメリカで開催するグループ展のために、滞在先のホテルを探しているのですが、地理的なことも良く分からないしやっぱり踏ん切りがつきません。こういう時って自分の性格が良く分かる瞬間ですね。でも、結局は思い付きで選ぶことになりそうです。

会場がロサンゼルスのリトルトーキョー近辺らしいので、その辺りでとなるとすでに絞り込まれてくるのですが、色々見ているとあっちこっち面白そうなホテルが出てきます。

知っている人にホテル関係の仕事をしている人物がいるのですが、その人いわく、ホテルのブッキングサイトでの利用者の口コミは参考にしたほうが良いということでした。

確かに、サイトの説明では随分良く書いてあるのに、口コミでは散々な評価であることもあるのです。でも、読んでいると写真で見たよりも部屋が狭かったとか、イメージが膨らみすぎて実物を見てがっかりしたんだろうなと思えるものも散見されます。

100パーセント想像通りのもなんて無いでしょうし、むしろ短い人生、なんでも体当たりぐらいでいくほうが人間に幅が出来るのではないかと思うわけです。

作品も作らずブログばっかり書いている。かなり逃避しています。
今夜の目標は、きちんとエスキースを作ること。。。。。


個人ホームページ

2007年08月05日 | Weblog
ついうっかりしていましたが、ぼくのホームページがなんとなく見れそうな状態になってきました。
自分では作れませんから、かなりの部分を専門の人に依頼しています。
ゆくゆくは自分で更新できるように指定校と考えています。
作品画像などはまだまだ十分にそろっていませんが、田中慎平のホームページと合わせてご覧いただければ幸いです。

間泰宏HP  http://hazaman.com/
田中慎平HP http://www.shinp.net/

スランプとは

2007年08月05日 | Weblog
誰にでもあると思うのですが、ちょっと前から描きたくても描けなくなってしまいました。
展覧会の予定もあるし、頭ではやらねばならないと分かっていても、手にそれが伝わらないような感じで、ずっとぼんやりして制作の焦点も定まりません。

プロというのは調子が良いときにどんどん行く人間ではなく、調子が悪くなってスランプに陥ったとき、そこからいかに早く脱出できるかを実践できる人間のことを言うんだと、かつて大学の教授に言われたことがありましたが、今はまさにそれを実践しなければいけない時のようです。

だから、今は少し過去を振り返って、この数年間描き溜めてきたドローイングから何がしかヒントを見出そうと考えています。描いた当時は全然見向きもしなかった絵の中に、何か今を照らし出せるものがあるなという感じはするのです。

実際作品というものは、ごく短期間のうちに計画され制作されることもあるでしょうが、もっと長いスパンの中で生み出されていくということも当然のことながらあるはずだし、たった1枚の落書きのような絵が数年後に始めて作品として焦点を結ぶとするならば、その数年間には確かに何がしかの価値があるのではないか、そう思うのです。

とにかく手を止めないこと。それが大切だといつも思うのです。

展覧会のお知らせ

2007年08月04日 | Weblog
最近いかにも日本の夏らしい、蒸し暑い毎日のおかげで既に夏バテになりかかっているような状態です。

そんな状態ですが、この度初めて海外の作家も参加する展覧会に出品することになりましたのでお知らせします。

この展覧会はアメリカ在住のアーティストと日本のアーティストの交流展で、東京とアメリカ・ロスアンゼルスを巡回するグループ展です。

第1回日米国際作家交流展

〈東京〉
会場:東京都美術館 第2彫塑室/Aギャラリー
会期:2007年8月22日~8月30日(会期中無休)
時間:09:00~17:00(最終日~14:00)
住所:台東区上野公園内(最寄はJR上野駅です)
電話:03-3822-6921
*こちらの会場では「第37回現代アーチストセンター展」というタイトルです

〈東京第2会場〉
会場:ギャラリーKINGYO
会期:2007年8月22日~8月30日(会期中無休)
時間:12:00~19:30
住所:文京区千駄木2-49-10(最寄は千代田線根津駅です)
電話:050-7573-7890
HP:http://www13.plala.or.jp/sd602kingyo/

〈アメリカ会場〉
会場:LA Artcore at the Union Center for the Arts
   LA Artcore Brewery Annex
会期:2007年9月19日~9月30日(各会場共月・火曜日休館)
時間:12:00~17:00(Union Center)
   12:00~16:00(Brewery Annex)
HP:http://www.laartcore.org/home.php


〈参加アーティスト〉

日本:団野雅子・イグチトシオ・神崎佐知子・かとうかずみ・窪譲二・村本崇洋・中込靖成・大橋博・大竹秀明・田中慎平(間泰宏+林知紀)

米国:ラディージョンディル・アングッディーマン・ジョージカルマー・エジャカン・ジョイスコール・ジャックリリース・カルロマクーッチ・ラモンムノス・カモールタサナンチャリー・ロバートウォーカー・ピーターザレスキー


いわゆる「現代美術」という名前にカテゴライズ出来るような作品を作るアーティストが大半を占めています。その中でぼく〈田中慎平〉はちょっと異色な感じがします。けれども、個人的には「現代美術」のアーティストではなく「現代の美術」のアーティストであることを自負していますので、なかなか良い対比になるのではないかと今から楽しみです。