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林興産日記|別府・大分の不動産のことなら林興産へ|株式会社 林興産不動産情報センター

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ひょうたん温泉の話。その2

2016年08月18日 08時00分00秒 | Weblog
前回は「ひょうたん温泉」で源泉温度が100℃と高すぎる為
やむなく早めに閉店し、一晩かけて温度を下げる事で加水せず
かけ流しを守っていた。というお話をしました。


ところが、ある温泉マニアからの「湯温は適温だが、湯口からお湯が
チョロチョロとしか流れていない。これではかけ流しではなく。
たまり湯だ。」とのクレームが寄せられました。


たしかに大量の源泉のお湯を入れれば、新鮮であるし衛生的で一番良いの
でしょうが、湯温100℃の温泉をドバドバ入れれば熱くて入れないでしょう。
ましてや水道水で下げるのでは温泉成分を薄めてしまう事になります。
そこで原点に帰り、解決策を探ることになりました。


温泉の温度を今までは「時間をかけて冷ます」方法でしたが
やはり何らかの「装置によって短時間で冷やす」方法を見つける
事となりました。
最初に考えられたのが「冷却塔・クーリングタワー」です。
ビル空調などで使用される冷却水を冷やす装置です。
しかし、装置に材料に金属やプラスチックが使われており
温泉の熱や成分により装置そのものが腐食したり、材料の金属や
プラスチックの成分が逆に温泉に溶け出したりする不安があり
断念しました。

次に考えたのが金属等を使わない装置。温泉になじむ自然素材の木材や竹でした。
(昔から温泉といえば檜風呂がありますよね)
そもそも別府は「大分県竹工芸・訓練支援センター」があり竹の産地であり
竹工芸品の盛んな土地柄でもあります。
そこでなにか良いアイデアが無いかと考えていたところ
「流下式塩田」の写真が目に留まりました。これです。



これは近代の製塩方法の主流だったもので、竹を利用した「枝条架」(竹箒のようなもの)
で海水の水分を蒸発させ塩分を濃縮させ最後に煮詰めて塩を製造するというもの
ですが、ここで目をつけたのは「枝条架」により水分を蒸発させる時に
必然的に気化熱により温度が下がるであろうということです。
(気化熱。昔、理科で習いましたね)


そこから材料・装置の原理は固まり、実験や試作機の作成等を経て
やっと出来たのが竹製温泉冷却装置「湯雨竹」(ゆめたけと読みます)でした。
(ネーミングも文字通り、名は体を表す雰囲気でぴったりです)




写真で見るとおり「枝条架」に上から源泉のお湯をかけていき下に落ちるまでに
100℃のお湯が47℃になるという仕組みです。
これにより適温の源泉のお湯を豊富に流し入れられるようになり、
閉店時間もこれまでの午後9時から深夜1時までに延長することができ
売り上げも3割増になったそうです。
そして、この装置の良いところは自然の竹や木材で出来ており材料費
が安く、仕組みも簡単でメンテナンスも安く済むところです。

*ひょうたん温泉の駐車場から入口に行く途中に
足湯がありますが、簡易型の「湯雨竹」があります。





まさに二重三重に良いことばかりなのですが、この成功を知った
市営温泉を管轄する別府市役所が設置を打診してきました。
実は市営温泉も熱い温泉に悩まされていたのです。
市営温泉は源泉かけ流しにこだわっていた訳でないのですが
熱い温度を冷ます為に水道水で加水することで高い水道料金
の方に困っていました。

高い水道料金の経費削減になるならば、
と打診してきたのです。
そこでミニチュア版の「湯雨竹」を設置したところ
水道料金が三分の一ぐらいになったということでした。

これは現在鉄輪地区の「渋の湯」に設置されておりますので
是非、行ってみてください。よく出来ていますよ。




たかが温泉、されど温泉です。


お客様の指摘による創意工夫により、お客様満足度が向上し、
安心安全でコストが安く、経費削減にもつながると言う
素晴らしい話ではないでしょうか。

私も自分の仕事にも生かしていきたいと思います。



最後までお読みいただき有難うございました。

別府店  カマフチ
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