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カーボンアンテナの給電点における接触の問題

2022-07-09 16:52:51 | アマチュア無線

カーボンアンテナにおいて、電力を給電するポイントの処理について検討したところ、多くの人がやっているクリップで単純に竿を挟むやり方では十分でないことが分かった。実際にクリップをねじ式の金属クランプで上下を締めたところアンテナの性能が大きく変化、今まであまりうまく動作しなかったHFローバンド(14,7MHz)におていも実用的なレベルで動作することをSOTAアクティベーションで確認した。

https://youtu.be/e0igwwcbk50

 

 

何とかその変化をアンテナの物理的な挙動から確認したいと思い、アンテナアナライザーで測定を行ったので報告する。

使用した竿は中華製の10mもので、下から二本目の竿に給電、給電点から先までの長さは8.58mであった。

(1)カーボン竿にクリップをつけただけ

120MHz付近に大きな共振があり、55MHz付近にもうちょっと小さい共振が見られる。

ちょっと周波数が高い気がするけど、今回は55MHz付近の共振に注目すると、共振点での抵抗値はおよそ90Ω程度で、共振を超えて一定値を示しているところでの抵抗値がおおよそ20Ω程度だった。

(2)クランプでクリップを締めたとき

クリップをクランプで上下を締めでも共振周波数が変化することはない。120MHzでの共振点のそばにいくつかの副次的な共振っぽいものが見えるけどこれはよくわからない。低い方の共振点は、54.8MHzで抵抗値は198.8Ωに増大した。共振点より高い部分での抵抗値は15Ω位で、こちらも5Ω位低下した。明らかに共振がシャープになっているのがわかる。

(3)クランプのみの場合

クランプを締める効果が何となく見えてきたので、もしかしたら目玉クリップ使わなくてクランプだけでも行けるのではないかと思い、写真のようにクランプ一個だけを取り付けて、適当に締め付けてみた。

結果は共振点が54.8MHzで、抵抗値が206.75Ωとなり、予想通りクリップをつけたときとほとんど変わらない結果となった。共振を外れたところの抵抗値も15Ω程度であった。

 

(4)紙を挟んだ場合

まったくオーミックな接続がない場合はどうだろうと思い、コピー紙を挟んでみた結果がこちら。120MHzあたりの共振点は周波数が高い方にシフトして150MHzあたりまで移動した。容量成分が効いているんだろうと思う。これに対して低い方の共振点はそれほど大きく周波数変化はないが、共振時の抵抗値は100Ω程度になった。

考察

ちょっと共振周波数が50MHz台というのが高すぎる気はする。1波長で共振しているとして約6m程度の長さということになるが、竿は8m以上ある。竿がすっぽ抜けたりして接合部に接着材をつけたりしているので、段間の結合が悪くなっている可能性があるのではないかと思う。この辺は結構微妙な感じ。

見かけの抵抗成分が、共振点では大きくなり、そこに給電部の抵抗値が下駄をはくような形になるのではと予想したが、実際にはそうはならず、接触抵抗も含めたアンテナ系の共振におけるQが変化していることが分かった。共振時の見かけの抵抗値は、接続の仕方によって100⇒200Ω程度と2倍も変化した。

共振点から外れた部分ので見かけの抵抗値は、締め上げの程度によって5Ω程度の変化が確認された。この値と共振時の抵抗のピーク値の変化との関係は今のところよくわからない。

ということで、確かに給電点の接続をしっかりやるとアンテナの特性に変化がみられることは確認できたけど、まだすっきりみんな分かったわけではない。接続をちゃんとするというのは単に接触抵抗を変えることなのか、もう少し何か意味があるのか、もうちょっと考えてみたい。あと、共振周波数が高いのも気になる。段間の接続ももう少し丁寧にやってみよう。あとフィールド的にはクランプ一個持っていけばいいんじゃないかと思っている。少しでも持っていくものが減らせればありがたい。

 

 

 

 



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