
本屋大賞なるものが数年前から広く喧伝されるようになりました。
全く興味が無かったのですが、先日、駐車場代を無料にするために、ゴルフ雑誌を購入しようと飛び込んだ書店で、苦し紛れに購入しました。
タイトルは、言葉の海を、沈むことも、迷うことも無く、目的地にたどり着かせるような舟を編纂するという意味です。
辞書を編纂する人々の執念と喜怒哀楽をエンタメ系の配役とストーリー展開で娯しく仕上げています。
主人公は国語オタクで、携帯を持とうとか、彼女を作ろうなどとは全く考えたこともないような青年です。
主人公が住む下宿の大家さんの孫娘がヒロインですが、料理人オタクで、ただただ料理の修業一筋のような生活を送っています。
辞書編集部のスタッフ、顧問も皆オタク系ですが、その中にあって、ただ一人、西岡というチャラオ系のキャラが配置されています。
この西岡の存在が、おとぎ話に終わりかねないようなオタクストーリーを、かろうじてリアリティーのある作品として踏みとどまらせています。
そして、この西岡も結局は、自分に欠けているオタク性を自覚しつつも、辞書の完成をめざしてオタク達を支えていくことになります。
昨夜、テレビで報道番組を観ていると、偶然にもこの作品が紹介されていました。
作者の三浦しおんは女性だったのですね。なんとなく男性とばかり思って読んでいました。
ただ、振り返れば思い当たる節もあります。
自分自身も思いを寄せていたヒロインが主人公と結ばれたことを悟った時の西岡の反応ですが、
”女が重視するのは、自分を一番に大事にしてくれるか否かなのだ。
女にとって男の誠実さとは、自分に対して決して嘘をつかず、自分にだけ優しくしてくれることなのだ。
一見冴えなさそうで、真面目さだけが取り柄で、でもなんかちょっと愛嬌もなきにしもあらずで、
仕事や趣味に熱心に打ち込んでるやつが結局は、もてるんだ。”というものでした。
これは、もう、女の妄想以外の何物でもありませんね。
白馬に乗った王子様と同じようなレベルでしょう。
テレビでインタビュアーがカップルに”彼のどんなところが好きですか?”と質問した時の答えは、ほとんどが”優しいところ”です。
男は、皆、惚れてる女には優しく振舞います。ただし、惚れてる間という期間限定付きです。
女性は、男の優しさに重きを置きすぎる(騙される?)ような気がします。
私自身、どれだけ無駄な優しさを発揮して生きてきたことか。慙愧の念に堪えません。
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