ベティーさん(仮名)宅での住み込みに戻っています。
一昨日から雨と風が強くて、ここ3日ほど散歩に行けていません。
一昨日はイギリスでは記録的な暴風により何と3人も亡くなりましたし、停電で困窮している地域もあるようです。
今日のベティーさんのお庭に吹き荒れる強風っぷり、おわかりいただけるでしょうか。
ベティーさんは、来月95歳になられます。
そして、万一緊急事態に陥ったときのために、DNAR(心肺蘇生処置拒否)を明らかにして書類にもしてあります。
DNARを知っておこう ~「心肺蘇生をしない」という選択肢~ - tayorini
これは、住み込み介護ヘルパーには、とっても助かります!
住み込み介護の顧客さんは、必然的に高齢の方が多くなるわけですが、
住み込みに入るときに心肺蘇生を希望するか否かを明らかにされていない場合が多いので。
ご家族にそれとなく訊いてみても、「まだ本人と話し合ったことがなくて・・・」と言われる場合がほとんど。
でも緊急事態に陥ったときに心肺蘇生や救命処置をして欲しいかどうかの意思を明白にしておくって、
高齢者には、とても大事なことだと思います。
高齢者の場合、骨がもろくなっていますから、心臓マッサージをされたために肋骨が折れるなんてこともあるわけで。
そんな痛い思いをしてまで生命を維持されたあとで、逝かずに済んだことを喜べるような日々が待っているとは限りませんよね?
呼吸が止まっていた間に脳が酸欠状態になって、脳損傷で認知障害や記憶障害が起きているかもしれません。
最悪の場合、植物人間になってしまうかも・・・
でも緊急事態に陥って救急車が呼ばれたら、基本的には救急隊員は、
DNAR が明らかにされていない場合は救命処置を施すことになっているわけですから。
そんな緊迫した状況での困惑や混乱を省くためにも、
《もし自分の心臓が止まったら救命処置はしてもらわなくていい / して欲しくない》
と考えているのだったら、
それを身近な人々に明らかにしておくことはとても大事だと思います。
文書にしてあれば、さらに良いでしょう。
ベティーさんに許可をいただいたので、ベティーさんのDNAR指示書を掲載させていただきますね。
ベティーさんのかかりつけ医が本人の意思を確認し、年月日を記入のうえサインしています。
もしベティーさんが緊急事態に陥ったら、私は救急車を呼びますが、駆けつけた救急隊員にこれを見せて、
ベティーさんは心臓マッサージなどの蘇生処置は望まないことを伝えます。
もちろん私自身も、救急車が到着するまで、心肺蘇生を試みたりはしません。
ベティーさんが少しでも居心地いい状態でいられるよう、できることをするだけです。
ところで本人が望んでいなかった救命処置を施して「生き長らえさせてしまった」場合は、いったいどうなるんでしょうね。
訴えられたりするんでしょうか・・・?
ちなみに義母は今月94歳になりましたが、DNARは明らかにしていません。
オットーが以前訊きましたが、義母の回答は、
"Oh, I don't know..... You decide." (わからないわ・・・ あなたが決めて。)
だったそうです。
コントロール・フリークのサイコパス夫に60余年にわたって抑えつけられてきた義母は、
自分のことを自分で決めることはおろか、自分の意思を明らかにすることすらできなくなってしまった様子。
義母の心肺蘇生処置に関する意思を、息子とはいえ別の個人であるオットーが決められるはずがないでしょうに・・・・・
下は半年ほど前の記事ですが、とても興味深く読ませていただきました。
ご自分の葬儀の手配まで済ませておかれたお母様が、天晴れです
田村淳 「〈延命治療はせん〉と言い続けた母ちゃん。パンツ1枚残さず、告別式の弁当まで手配して旅立った」 - 婦人公論.jp
こういうデリケートな事柄って、子供の方からは話題にしにくいですよね。
だから私は、田村さんのお母様を見習って、早いうちから意思を明らかにし明文化もしておこうと思います。
オットーやムスメの困惑を省くためにも。