今だから…昭和さ ある男のぼやき

主に昭和の流行歌のことについてぼやくブログです。時折映画/書籍にも触れます。

なつかしの歌声・年忘れ大行進 観賞記

2006-03-09 01:06:09 | 歌番組

横浜に「放送ライブラリー」http://www.bpcj.or.jp/
(みなとみらい線「日本大通り駅」3番情文センター口直結) という施設がある。
ここは無料で、古今のテレビ・ラジオ番組・CMを見る(聴く)ことができる。

ここで公開されている番組のひとつが「なつかしの歌声・年忘れ大行進」だ。
この番組は年末恒例「年忘れにっぽんの歌」の前身番組である。
昭和40年代に起こった懐メロブームの火付け番組「なつかしの歌声」 (この番組がもとになり、NHKが夏の紅白「思い出のメロディー」を製作) の特番を大晦日に放送したものである。
「なつかしの歌声」は昭和49年に終了するが、「年忘れ~」は続行。コロムビアトップ・ライトの司会から宮田輝を経て、「にっぽんの歌」司会の玉置宏へ。今は「名曲ベストヒット歌謡」司会のモト冬樹・竹下景子に徳光和夫が担当している。

話を戻そう。前年(1968年)大晦日に放送した特番が想いの他高視聴率であったため、69年大晦日も放送決定。時間も3時間に拡大し、当時存命であった懐メロ歌手を一堂に集めて、歌舞伎座から生放送した。紅白の裏で2年連続視聴率11%の偉業を達成。その為かは定かではないが紅白の視聴率が69,7%へ下がっている(68年は76,9%である)。

出演者は次の通りである。
個人的にはこの出演者に田谷力三と田端義夫、それに高峰三枝子が居れば…とは思わなくも無いが、おそらく懐メロ番組では最高のキャスティングだろう。

赤坂小梅
淡谷のり子※
池真理子
市丸※
伊藤久男※
近江俊郎※
岡晴夫▲※
岡本敦郎
音丸※
小畑実※
織井茂子
(神楽坂はん子)
菊池章子
霧島昇※
久保幸江
小唄勝太郎▲※
初代コロムビア・ローズ
塩まさる
東海林太郎☆
菅原都々子
高田浩吉※
竹山逸郎
ディック・ミネ※
並木路子
奈良光枝▲
灰田勝彦※
服部富子▲
林伊佐緒※
平野愛子
藤山一郎※
藤原亮子
二葉あき子※
松島詩子
美ち奴▲
渡辺はま子※

▲=風邪 ※=2曲歌唱  ☆=三曲歌唱
なお神楽坂はん子は高熱の為ドクターストップ。

1曲か2曲かのラインは、現役当時の人気とキャリアで決められたと思われる。
東海林太郎は特別待遇で、3曲歌唱+トリ+インタビュー。

以降は実況。文調が変わります。

ファンファーレから「懐かしの歌声」のテーマ(昭和歌謡大全集で流れてるアレ)が流れ、それに載せて出演者一覧のテロップ。
そして司会コロムビアトップ・ライト登場。
なにやら毒舌を吐きながら、一年を振り返ってます。

お待ちかねのトップバッターは藤山一郎「酒は涙か溜息か」、いつも通りの歌唱。

次は淡谷のり子「別れのブルース」、やっぱり腕組んで怖い顔で歌います。

怖い顔の次は優しい顔…ではないだろうがヾ(^-^;)
二葉あき子登場、「古き花園」歌唱。
地味に珍しい歌を披露し、個人的にはニンマリ(^^)

孫が八人と紹介されて出てきたのはディック・ミネ「上海ブルース」
まだメガネもかけてないし、腰も曲がってないです。そしてCMへ。

トップライトの毒舌の後、颯爽と登場するは歌謡界の万年青年こと灰田勝彦「燦めく星座」。理想の老後の姿ですね。歌詞も曲も素晴らしい、思わず感涙。

次に出てきたのは渡辺はま子「支那の夜」、中国扇片手に快唱。ベテランの力を見せ付けます。さすが一度は「思い出のメロディー」出演拒否した(ちなみに淡谷のり子、ディックミネも)だけの実力。まだまだ現役ですね、この声は。

美声にウットリしていると霧島昇登場、「旅の夜風」スリーコーラスの歌唱。
「花も嵐も踏み越えて」のフレーズは西條八十の仕事の中でも五本の指に入る名文句だと思います。個人的には国語教科書に載せてもかまわないと思う。
やっぱり服のセンスは抜群、美空ひばりか霧島昇、といった状態。

そして、テレビ東京の国宝映像、オカッパルこと岡晴夫「港シャンソン」
晩年で声が衰えている上、風邪をひいている最悪の状態ながらも、聴かせます。
掛け声も他の歌手に比べて多いこと、多いこと。

CM明け、トップライトが着物に衣装替え。
「次は~誰?小梅さん?まあいい出てきてもらえばわかる、次の方どうぞ~」
と何とも凄まじい紹介でセリ上がりで登場したのは、小唄勝太郎「島の娘」
何かの木の枝を持って歌ってます。若干声の出が悪いのは風邪のせい。
歌い終わるあたりで画面にノイズ発生。どこまでも運の悪い…。

続いて登場、今度は本当に赤坂小梅「ほんとうにそうなら」
貫禄が半端じゃないです。番組出演者の横綱状態。声はもちろん出まくり。

そして花道から艶やかに市丸姐さん「天龍下れば」、ハンドマイクでの歌唱。
トップライトもその若さに驚きを隠せず。

「ベテランで新人」という紹介のもと出て来たのは小畑実「勘太郎月夜唄」
本人も含め、会場中で手拍子。美声は健在です。そしてCM。

「娘さんと一緒にいても兄と妹にしか見られない」という若干ヨイショが入った紹介で花道から出てくるのは高田浩吉「大江戸出世小唄」
格好はお馴染み瓦版売りです。扇子と一緒に持ってる瓦版の裏側にはカンペが貼ってます。でも歌詞を間違っている( ̄ー ̄?)まるで96年紅白でのお千代さん状態

お次は音丸「船頭可愛や」、普通の下町のオバサンです。声は美声。

そして私の贔屓歌手・美ち奴「ああそれなのに」
高熱のため、この日も打ち、直前まで楽屋で横になっていたとか。喉をやられてるため、ボロボロの歌声…。それでも頑張ってスリーコーラス歌いきりました。

さあお待ちどうさま、懐メロブームの立役者東海林太郎「野崎小唄」
もちろん直立不動です。 後ろに踊子がいようが関係ありません。

CM明け、トップライトが客席にインタビュー。皆さん、欠かさず見てる様子。

ここからは戦後の歌、戦後の歌といえばまずはこの歌と、並木路子「リンゴの歌」花道からの登場でスリーコーラス、難なく歌いきります。

次も戦後に欠かせぬ歌、竹山逸郎「異国の丘」
当時、戦後24年。まだ戦争は風化していなかったと思えるシーンでした。

「気分を変えて参りましょう」と出てきたのは平野愛子「港が見える丘」
この人の歌声は現代でも通用する魅力的な歌声だと思います。

次は久保幸江「トンコ節」、まだ喉の手術前なので当時と変わらぬ歌声。

CM明けの電報読み、どうもこの番組を紅白と勘違いしている人がいる模様。

さあ、とお出でになったのは
歌謡界の女王陛下(byコロムビアトップ)こと奈良光枝「青い山脈」
「風邪をひいてるせいか、声の出がイマイチ」とトップライトがコメント。
美声です、そして美しい。品があるオバサマです。早世が惜しまれます。

次は藤原亮子「月よりの使者」
この人が歌ってた唄は知っていても、名前・姿は知らない方がほとんどでしょうね。
そういった意味でも貴重な映像。
衣装も素敵、薄紅色の雷模様があしらっているドレス。実に美空ひばりチック

岡本敦郎「白い花の咲く頃」
あんまり今と変わってませんが、声が出ること、出ること。


CMをはさんで、初代コロムビア・ローズ「娘十九はまだ純情よ」
やっと今でも現役な方が出てきました。
(久保幸江さんは数年前に体調を崩されて歌ってないご様子、二葉あき子さんは引退なさって故郷の広島で余生を過ごしていらっしゃるようです)

トップライトが高熱の為、神楽坂はん子欠席を発表。
医師の診断書をわざわざ見せてます。はん子に対する呼びかけもしてます。
「早く元気になって、バンバン稼ぎましょう」・・・恐ろしい口です(絶句)。

再び現役歌手、菅原都々子「江の島エレジー」
ビブラートが半端じゃないです。私は「憧れの住む町」がこの方ではお気に入り。

「忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして忘却を誓う心の哀しさよ」
ご存知「君の名は」第2部の主題歌、織井茂子「黒百合の歌
何とフルコーラス、素晴らしいアルトの歌声で完璧に歌いきります。
司会のトップ、「いつも以上の実力で歌いきりました」とコメント。

戦後コーナーのトリを飾るのは、田端義夫・小畑実と並び、三羽烏と称されたあの方、近江俊郎。歌は何と「南の薔薇」
この歌聴いて、
近江俊郎=湯の町エレジーな、女ののど自慢審査委員長、のイメージが消え去りました。素晴らしい歌声でした。湯の町エレジーだけじゃありませんでしたね。
ゴメンナサイ、近江さんm(_ _;)m
作曲は私の敬愛する米山正夫センセイ。

ここでDVDが切り替わり、2枚目へ移ります。ということで続きはあらためて。



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