絶対に脱獄ができないと言われたアルカトラズ刑務所。
サンフランシスコ湾に浮かぶ要塞なような刑務所だ。
最近「アルカトラズ」という米ドラマが出たが、鳴り物入りで日本でも放送されたが、本国では十数話で敢え無く打ち切りになった。
アルカトラズから300人近くが消え、現代に現れたという設定だったので、下手したらそこまでやる気だったのかも…という自信作だったんだろう。
アルカトラズというものが人々に過去の物過ぎたのか…。
しかし、現実にアルカトラズ刑務所から脱出した3人の受刑者がいたそうだ。
脱出が起きたのは1962年6月12日。
スランク・モリス、アングリン兄弟の3人が脱出した。
彼らの用意は徹底していた。
アルカトラズ刑務所は、サンフランシスコ湾に浮かぶ要塞のような刑務所で、凶悪犯が入れられていた。脱出不可能というのが、ウリだった。しかし、サンフランシスコ湾は潮の流れが速く、水低温だ。落ちたらひとたまりもない。陸地まで3キロある。ここが難関となる。船舶も近づける距離が決まっていて、そこに助けを求めることも外部から侵入して助け出すこともできなかった。
しかし、どこにでも探せば、脱出できる可能性はある。排気孔が意外に簡単な作りになっていたため、房から出ることができれば、そこから建物の外に出られる可能性は十分にあった。
受刑者はそれぞれ、中で仕事をしていたので、房から出るためにスプーンを削り、房を取り囲んでいる壁を数カ月に渡って削り続けた。
しかし、房の外の天井には有刺鉄線があり、3人に1人の看守が付き、建物の外にはたくさんの監視塔があった。
夜中も見回りがあり、毛布で人が眠っているようにして誤魔化せるわけではない。
そこで、石工、石鹸などを使い、頭を作った。その上に肌色を塗りつける。
夜の闇の中なら十分に誤魔化せただろう。なんと言っても理髪の仕事をしている者から実際の人毛を手に入れ張りつけるご丁寧さだ。
次にレインコートを50枚手に入れる。これは湾を脱出するためのボートと救命胴衣となった。
ついに決行の6月12日、3人は脱出し、朝になるまで気付かれることはなかった。
あとはボートのでき具合が命運を分けることになる。
FBI,地元警察まで出動して彼らを探したが、発見することはできなかった。
しかし、3人の脱出計画の全貌は1人の受刑者によって、当局に判る。
実はもう1人、アレン・ウエストという男が参加する予定だったが、壁を削るのに手間取り、この日までに間に合わず置いてけぼりを食ってしまったらしい。彼は2回このアルカトラズ刑務所に服役している。
ウエストが語るには、アルカトラズの北にあるエンジェル島に渡り、そこで車を盗み、それで本島まで行くつもりだったらしい。
ウエストの証言通り。翌日13日に、エンジェル島にボートのバドル、2着の救命胴衣、小さなポーチが発見された。
しかし、肝心なボートは発見されなかった。
その内、近くを通りかかったノルェーの貨物船が浮いている水死体を1人発見する。来ているものはアルカトラズで着用しているものと一緒だった。
3人の行方、生死も判らないまま20年が経った時、連法保安局に捜査は任された。
ここは200年以上前からあり、数十年逃げ続けた逃亡犯も捕まえた経歴もあった。
ダイクという捜査官が彼らを探すが、当時、捜査資料がデジタル化されていなかったため、全て紙で箱に入れられて送られてきた。全てが送って来られるのに2年もかかった。
そしてダイクは1つの推理を導く。
1人は死に、2人は生き延びたのではないか?
脱出があった7か月後、白骨遺体が陸地で発見されていた。潮に流されたのだろう。
この白骨が脱獄犯の誰かと判明すれば少なくとも1人の行方は判る。
埋葬された墓地から骨を掘り起こした。
ダイクは恐らく、それはモリスのものだろうと推測した。資料にその遺体の記録が残っていたが、身長が171センチとモリスと合致したこともある。モリスが個人行動を好み、アングリン兄弟とも不仲だったという話もあった。アングリン兄弟が途中で彼を海に突き落とした可能性も考えられた。
しかしそれだけでは決められないので、DNA鑑定に持ちこんだ。モリスの父方の子孫にDNAの提供を頼み、調査に望んだ。
しかし3人とも生きている可能性は低いように思われた。
脱獄後、誰も犯罪を犯していないからだ。
モリスは子どもの頃から家を転々としていた。大きくなるほど凶暴になり、強制施設に送られたこともある。そして脱獄を何度も繰り返していた。脱獄の名人とも言うべき男だった。
彼の特色は知能が高いということだ。
まともな方向へ進んでいれば全く違う人生があっただろうに。
アングリン兄弟は小学校を中退し、車を盗んだりしていた。こちらも何度も脱獄を繰り返していた。
ダイクは資料を見直し、1つの記録を発見した。
翌日13日、ボートを発見したという記述だ。その側には3人の物と思われる足あとも残っていた。
また1つ新たな真実が発見される。当時は車両盗難の被害はないとされていたが、湾岸エリアで盗難車を発見したという記述もあった。
運転手は3人の男に車から引きづり降ろされたと供述している。
いよいよ、白骨死体のDNAが出る。
アングリンに対してはいくつかの目撃証言があった。兄弟が女装して存続の葬儀に参加していたとか。
山奥に住んでいるとか。
中にはわざわざ手紙を寄こし、金を払うからシアトルまで連れて行ってほしいと頼まれたというものだった。
しかし、運転手がもっと金欲しさに2人を撃ち殺し、遺体は現場近くに埋めたというものだった。
手紙から場所を特定し、掘り起こしてみるが、なにも出てこない。
作り話だった可能性がある。
これにくらべ、モリスの目撃証言はなにもない。
そして鑑定結果が出た。
DNAは一致していなかった。
骨はアングリン兄弟のどちらかという可能性もないわけじゃない。
しかし時間の経過と、親族を見つけ出すこと、協力を頼むことが難しく、そこまでまだ手が回っていないそうだ。
アルカトラズ刑務所は脱獄不能と言われていた分、この事件で面目を失い、その1年後に閉鎖された。
脱獄者は捕まえる。時効のない国だ。連邦保安局は彼らが100歳になるまで追い続けるという。
サンフランシスコ湾に浮かぶ要塞なような刑務所だ。
最近「アルカトラズ」という米ドラマが出たが、鳴り物入りで日本でも放送されたが、本国では十数話で敢え無く打ち切りになった。
アルカトラズから300人近くが消え、現代に現れたという設定だったので、下手したらそこまでやる気だったのかも…という自信作だったんだろう。
アルカトラズというものが人々に過去の物過ぎたのか…。
しかし、現実にアルカトラズ刑務所から脱出した3人の受刑者がいたそうだ。
脱出が起きたのは1962年6月12日。
スランク・モリス、アングリン兄弟の3人が脱出した。
彼らの用意は徹底していた。
アルカトラズ刑務所は、サンフランシスコ湾に浮かぶ要塞のような刑務所で、凶悪犯が入れられていた。脱出不可能というのが、ウリだった。しかし、サンフランシスコ湾は潮の流れが速く、水低温だ。落ちたらひとたまりもない。陸地まで3キロある。ここが難関となる。船舶も近づける距離が決まっていて、そこに助けを求めることも外部から侵入して助け出すこともできなかった。
しかし、どこにでも探せば、脱出できる可能性はある。排気孔が意外に簡単な作りになっていたため、房から出ることができれば、そこから建物の外に出られる可能性は十分にあった。
受刑者はそれぞれ、中で仕事をしていたので、房から出るためにスプーンを削り、房を取り囲んでいる壁を数カ月に渡って削り続けた。
しかし、房の外の天井には有刺鉄線があり、3人に1人の看守が付き、建物の外にはたくさんの監視塔があった。
夜中も見回りがあり、毛布で人が眠っているようにして誤魔化せるわけではない。
そこで、石工、石鹸などを使い、頭を作った。その上に肌色を塗りつける。
夜の闇の中なら十分に誤魔化せただろう。なんと言っても理髪の仕事をしている者から実際の人毛を手に入れ張りつけるご丁寧さだ。
次にレインコートを50枚手に入れる。これは湾を脱出するためのボートと救命胴衣となった。
ついに決行の6月12日、3人は脱出し、朝になるまで気付かれることはなかった。
あとはボートのでき具合が命運を分けることになる。
FBI,地元警察まで出動して彼らを探したが、発見することはできなかった。
しかし、3人の脱出計画の全貌は1人の受刑者によって、当局に判る。
実はもう1人、アレン・ウエストという男が参加する予定だったが、壁を削るのに手間取り、この日までに間に合わず置いてけぼりを食ってしまったらしい。彼は2回このアルカトラズ刑務所に服役している。
ウエストが語るには、アルカトラズの北にあるエンジェル島に渡り、そこで車を盗み、それで本島まで行くつもりだったらしい。
ウエストの証言通り。翌日13日に、エンジェル島にボートのバドル、2着の救命胴衣、小さなポーチが発見された。
しかし、肝心なボートは発見されなかった。
その内、近くを通りかかったノルェーの貨物船が浮いている水死体を1人発見する。来ているものはアルカトラズで着用しているものと一緒だった。
3人の行方、生死も判らないまま20年が経った時、連法保安局に捜査は任された。
ここは200年以上前からあり、数十年逃げ続けた逃亡犯も捕まえた経歴もあった。
ダイクという捜査官が彼らを探すが、当時、捜査資料がデジタル化されていなかったため、全て紙で箱に入れられて送られてきた。全てが送って来られるのに2年もかかった。
そしてダイクは1つの推理を導く。
1人は死に、2人は生き延びたのではないか?
脱出があった7か月後、白骨遺体が陸地で発見されていた。潮に流されたのだろう。
この白骨が脱獄犯の誰かと判明すれば少なくとも1人の行方は判る。
埋葬された墓地から骨を掘り起こした。
ダイクは恐らく、それはモリスのものだろうと推測した。資料にその遺体の記録が残っていたが、身長が171センチとモリスと合致したこともある。モリスが個人行動を好み、アングリン兄弟とも不仲だったという話もあった。アングリン兄弟が途中で彼を海に突き落とした可能性も考えられた。
しかしそれだけでは決められないので、DNA鑑定に持ちこんだ。モリスの父方の子孫にDNAの提供を頼み、調査に望んだ。
しかし3人とも生きている可能性は低いように思われた。
脱獄後、誰も犯罪を犯していないからだ。
モリスは子どもの頃から家を転々としていた。大きくなるほど凶暴になり、強制施設に送られたこともある。そして脱獄を何度も繰り返していた。脱獄の名人とも言うべき男だった。
彼の特色は知能が高いということだ。
まともな方向へ進んでいれば全く違う人生があっただろうに。
アングリン兄弟は小学校を中退し、車を盗んだりしていた。こちらも何度も脱獄を繰り返していた。
ダイクは資料を見直し、1つの記録を発見した。
翌日13日、ボートを発見したという記述だ。その側には3人の物と思われる足あとも残っていた。
また1つ新たな真実が発見される。当時は車両盗難の被害はないとされていたが、湾岸エリアで盗難車を発見したという記述もあった。
運転手は3人の男に車から引きづり降ろされたと供述している。
いよいよ、白骨死体のDNAが出る。
アングリンに対してはいくつかの目撃証言があった。兄弟が女装して存続の葬儀に参加していたとか。
山奥に住んでいるとか。
中にはわざわざ手紙を寄こし、金を払うからシアトルまで連れて行ってほしいと頼まれたというものだった。
しかし、運転手がもっと金欲しさに2人を撃ち殺し、遺体は現場近くに埋めたというものだった。
手紙から場所を特定し、掘り起こしてみるが、なにも出てこない。
作り話だった可能性がある。
これにくらべ、モリスの目撃証言はなにもない。
そして鑑定結果が出た。
DNAは一致していなかった。
骨はアングリン兄弟のどちらかという可能性もないわけじゃない。
しかし時間の経過と、親族を見つけ出すこと、協力を頼むことが難しく、そこまでまだ手が回っていないそうだ。
アルカトラズ刑務所は脱獄不能と言われていた分、この事件で面目を失い、その1年後に閉鎖された。
脱獄者は捕まえる。時効のない国だ。連邦保安局は彼らが100歳になるまで追い続けるという。