ガラスの仮面  女神の仮面

2013-05-07 12:30:00 | ドラマ/映画/ドキュメンタリー
 マヤは橋を渡っている最中、亜弓は正気に返り、彼女を助けた。
 私はなにをしていたのだろう?今まで誇り高く生きてきたの彼女にとって、それは驚くことだった。今まで卑怯な手で役を得たいと思わなかった。けれどマヤ相手では…そう思っている自分にマヤに負けるよりもっと惨めだと思った。

 マヤは救ってくれた亜弓に礼を言い、みんなに知らせてくると走っていった。

 亜弓は余計、このまま東京に戻るわけにはいかなくなった。

 翌朝、マヤが散歩に出ると、亜弓が必死に練習をしていた。
 そして、突然、マヤを見ると、なにをしに来たの?ライバルが泥だらけで練習しているのを笑いに来たの?私はあなたに敗北感しか感じたことがない。
 あなたを見ているとどんな努力も無意味に思えてしまうと、一方的にまくしたてた。
 あなたには判らないでしょうね。自分のことだって見えていないんだから。

 マヤは驚き、亜弓さんは天才なのに、というのに、よして本当の天才はあなたよ、と亜弓はいう。なにを言っているの亜弓さん、私をからかって…、亜弓は本当は才能があるのに気付かない、そういう所が大嫌いと言い切る。

 梅の谷であなたの演技を見たとき、どんな努力をしても叶わないものがあると知って、自分の生き方全部否定されたような気分だった。

 あの芝居にはマヤ自身、何故?が付きまとっている。何故あの芝居ができたのか、マヤ自身自覚できていなかった。そしてもう1度あれを演じてみたいと思っていたが…。

 そしてつり橋の木がくさっていたこと、見殺しにしようとしたことを亜弓は話す。

 あなたが現れたときから、不安、焦り、憎しみ、今まで感じたことのないものが溢れて出て、自分が嫌いになったわ。

 その話を聞き、マヤは泣きだした。
 どうして泣くの。
 だって、亜弓さんが可哀想になって。
 同情は止めて。
 同情じゃないわ。私も同じ気持ちだったから。
 マヤ自分こそ、ずっと敗北感持ってた。
 そう、じゃ、おあいこというわけね。
 

 言うなり、亜弓はマヤの頬を打った。
 紅天女は私が生命にかえてもやるという亜弓にマヤは亜弓を叩き返した。私がやるわ。
 そして、それまで言えなかった本当の感情をぶつけ合った。

 髪を引っ張りあい、泥を投げ合い壮絶な様相になって来た。

 いい加減疲れた2人は、痛いじゃない、顔が晴れたらどうするの?亜弓がいうのに、私だって同じよ、口の中切っちゃった。

 そのあと2人はばかばかしくなって笑いあった。
 しかし、あなたはライバル、紅天女は私がやるわ、と亜弓はいう。
 いえ、紅天女は私がやるわ。

 お互いの闘志は再び、紅天女に向かって真っすぐに向かった。


 紅天女の心は自然界を揺るがす。女神の心。2人はそれを考えた。

 そして関係者を集め、初めての若い紅天女候補の演技が披露された。

 英介と真澄の関係も変わり始めていた。仕事オンリーから、やっと本当の親子の関係ができてきたのかもしれない。

 亜弓、マヤ、それぞれの魅力で見せたが、亜弓には華がある。その言葉が何故か大きく聞こえた。

 そして、本物の紅天女を月影が演じる。もう最後だろう。彼女はそう思いながら、舞台の上に立った―――。

 
 ここまで取っ組み合いができるのは、紅天女の里だからか。そこへ閉じ込められ紅天女漬けにされたストレスだったか。

 けれど、そこまでの気持ちを相手から引き出されることは悪いことじゃない。
 善意だけでできている人間などいない。亜弓はマヤがいなければ、その暗い人間の持つ側面に気付けなかったろう。またマヤもあそこを目指したいという亜弓に追いつこうとしようとは思わなかったろう。

 だから、ライバル。

 まさに出会うべくして出会う2人だったのだと思う。

 むしろこっちの方が、それだけの才能を競える相手と出会えたことが羨ましいくらいだ。

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