木陰でどんじゃら

　「写真撮るから」
　と、突然植木の中に押し込まれた。
　相変わらずこの家のお姉さんは思いつきの人だ。
　
　撮影コンセプトは「森の木陰でどんじゃらほい」

　なんのことやら判りません。

　写真を撮りながらぶつぶつ呟いている。
　「ほら、もっとどんじゃらしてる風に」
　なにがどんじゃらだかさっぱり判らないのに、どんじゃらできんだろうが。
　「だからさ、そこがあんたのセンスって言うかさ」
　ずい分いい加減なこと言うな。全部こっち任せかよ。　
　
　って放っておいたらどんじゃら～、どんじゃら～　あっちが歌い出しちゃったし。

　どんじゃらしてるのはそっちの頭じゃねーの？言ってやりたかったが、めんどくさいのでやめた。
　
　ああ・・・眠りたい


　
　

　もうちょっと協力してくれても良さそうなもんなのに。ノリが悪いというか、冷めてるというか・・・・。
　「おいらはどんじゃら羊だよ」くらいのポーズがとれんのか、お前は。
　
　何年芝居やってる人の家にいるんだ。
　呆れてものが言えないよ。

　携帯のレンズを向けながら、ふと私は思う。
　けれど私達ってたまにこうやって撮影会してきたよね。私のインスピレーション撮影に付き合わされて、あんたもずい分恥ずかしいポーズも撮ってきたよね（えへ）
　
　木陰でどんじゃらって、多分はめをはずすことじゃん。１日働いて、最後にお祭り騒ぎさ～、って羽目を外すことじゃないのかな。
　だから私もあんたにはめを外して欲しかったりするのよ。
　
　いっつも淋しい顔してないでさ。
　ハジけて欲しいって、言わば「姉心」な訳よ。