つかこうへい氏の下で再認識したこと

2015-11-20 22:34:16 | 戯曲塾

 ticket-news.pia.jp(出典)


 残念ながらというべきか、私は子役の頃より芝居をしていた。


 つかさんの劇団に入ってくるのは基本オーディションが18歳以上となっているので、それ以上の子達。

 初めて芝居に本格的に触れる。

 芝居をした。

 そういう若者だったりする。


 ここに私との誤差が生じる。


 つか人気絶頂の頃、入ってくるのは、とにかく つか芝居がしたいっ という子達だった。

 だた彼らがその後、芸能界で芝居をしたいかというと、そういうわけでもないようだ。

 つか芝居というのは、本当に特殊なんです。

 なんたって、他の劇作家や演出家でそういわれる芝居ってないでしょう。

 だから独特の地位を築いていた。


 まだつかさんが若く、一緒に芸能界の荒波でもなんでも乗り越えて行こうぜって思ってる「つかこうへい事務所」にいた役者の多くは、一線の舞台に立つ役者になることがある。

 経歴を見て驚くのが、私が脇役でも(この人好きだな)と思うのはつか芝居を通過してきた役者たちだった。

 でも「北区つかこうへい劇団」になってからは事情は少し違ったように思う。

 つか芝居がしたい。

 でも、それだけでは芸能界では通じない。

 それ以外の芝居も身に着ける必要がある。

 ここで葛藤が生じる。


 そしてつか芝居にこだわる人は劇団に残る(ちょっと想像が入る)女優として、俳優として芸能界でやっていきたい人は、ある時期が来ると、事務所に移って本格的に仕事を始める。

 この辺は個人でも考え方の差があるので、なんとも言えない。

 だからあくまで私の想像が強い。


 ただつか芝居を愛する役者の子達は、劇団の中では貪欲だった。


 ここを出て、本格的な役者の道に進むときに、いろいろなことが起きる。


 私の場合、他を知ってここへきてるわけだから、逆だった。


 この子達の言ってることが判らないということがあった。


 《芸能界》という場所を知らない。

 それだったのかもしれない。

 それがどっちが幸福でどっちが残念は判らない。

 ただ一部の講師からは多くの芝居を体験しろと言われた。

 劇団の中でも『エチュード』というのはするのよ。

 私はほかで『即興』と言っていた。


 その場で、設定を与えられて、何人かが出る。

 名前もない。どこへ話を運んでいくかも判らない。

 ここは船の上という設定だけを与えられて、4人がいれば、それで1つの話をその場で作る。


 もちろん、名前も決まっていない。誰がメインになるかも判らない。

 だから、誰かが先に「嵐だっ」と言ってしまえば、嵐の設定で話を進めないといけない。

 そしてまた誰かが「由美子っ、大丈夫」と言ってしまえば、由美子と呼ばれた人はそこから名前は由美子になる。

 大丈夫を由美子はどう受け取り、どう動くか、考えて誰かにまたフルか、先に誰かが「あそこに島が見える」と言ってしまえば、そこへ向かおうとなるかもしれない。

 いや、待て、この辺にはサメがいる。泳いでいくわけには行かない。この船はもうもたない。

 救命ボートは?使えないよと言われれば、それで話を進めていかなければならないというものだ。


 だから、ここはうまい奴、要領のいい奴が有利である。


 あくまで、そこから他の人はそれを盗んでも、うまくなればいい。

 それだけです。



 って、本当はオーディションにまつわる話を書くつもりだったのに…。


 間違えたぜ。


 私の『エチュード』書きになってしまった。

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