goo blog サービス終了のお知らせ 

静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

船舶職員養成講習会

2017年01月10日 13時15分17秒 | 学園行事

みなさん、お待たせしました!
今日から学園の3学期がスタートです。
全員、元気に学園に戻ってきました。
再び、日々の生徒の様子をお知らせしますよ!

動画も新しいやつをアップしましたので、ご覧ください。
 実習船やいづ記録2 メバチ(マグロ)の一本釣り  
https://www.youtube.com/watch?v=_bzgMHl1iLU

そして、今日から小型船舶操縦士講習が始まるので、ちょっと早めに始業式を行いました。

講習の状況は、また明日以降にお知らせします。

また、先週から船舶職員養成講習会(4級海技士)が学園を会場にして行われています。
カツオ船などの漁業者が15人、参加です。
金曜日に開講式がありました。42,43期の学園卒業生2名も参加しています。

【船舶職員養成講習会】
大型船舶で必要な海技士資格。
ブログでもご紹介してきましたが、いろいろな方法で取得できます。
まずは海事教育機関のうち、第1種養成施設(乗船履歴がない人を対象)があります。
具体的には、水産高校専攻科、水産・商船大学、海上技術短期大学校、高等専門学校など。
すでに漁船に乗っていて乗船履歴がある人は、第二種養成施設で資格が取れます。
兵庫県芦屋市にある海技大学校、尾道や下関にある海技学院などです。
このうち、海技学院では2ヶ月ほど(級によって期間は違います)の講習を受けます。
しかし、すでに漁師をやっていると「2ヶ月も尾道まで行けない...」と言う人もあります。
そこで、焼津漁協では講師を呼んで、学園を会場に講習会を開催しています。
もちろん、参加費が必要ですし、講習後に行われる臨時の学科試験、口述試験に合格する必要があります。
この講習会を学園生徒は受講しませんが、講習後の臨時試験を受験させていただいています。

 園長のつぶやき
学園の3学期は、あっと言う間です。
来週までは小型船舶操縦士講習がありますが、それが終わると就職の面接です。
そして、2月下旬には海技士の定期試験があります。
その後、3月初めには前述した講習会の関係で行われる海技士の臨時試験があり、3月10日に卒業式です。
生徒たちは遠洋航海実習を経験したことで、一人一人が漁師になるための課題を自覚したと思います。
授業、実習と併せて、それぞれの課題を克服するために努力して欲しいと思います。

それから、日曜日に中学生の学園見学がありました。
併願で普通高校も受験して良いか質問がありました。
この質問、多いです。
もちろん、OKです。

学園の入学試験についてだけでなく、漁師になり方のご相談をお受けします。
園長まで、お問い合せ下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乗船実習エピソード6

2017年01月06日 13時28分23秒 | 28乗船実習

引き続き乗船実習の様子をご紹介します。

12月7日。
前日に続き、天候が良くカツオが釣れます。
一日で6.1トンを釣り上げました。
特に午後は特大カツオ主体で何度か操業して、生徒も興奮。

12月8日。
天候の良い日が続きます。サメに付く群れを発見、スタンバイOK!

残念、カツオはほとんど釣れません。
小さいマグロ(キハダ、メバチ)が59尾釣れました。
それからシイラ。

12月9日。
朝にサメ付きの大型カツオを漁獲。

餌も残りわずかになり、天候も悪化したため翌12月10日は沖縄に進路をとりました。
乗船実習は約1ヶ月ですが、実際にカツオを釣るチャンスは1週間くらいしかありません。
とても、とても、本物の漁師が釣り上げるようには行きません。
それでも、この経験が重要です。(続きはつぶやきに...)
47期生も数名が遠洋カツオ一本釣りへの就職を目指しています。

【サメ付き】
カツオは流木やヒゲクジラ(プランクトンを食べる種類)、ジンベエザメに群がります。
しかし、海鳥を発見して、その場所に近寄って初めてサメなどがいることが分かります。
流木はともかく、クジラにつくのは大型の捕食魚から身を守るためと言われています。
そして、群れにはカツオだけでなくマグロ類が混在することも珍しくありません。
クジラじゃなく、流木でも群がるくらいですから、マグロが一緒に泳いでいても気にしないのでしょうね。

 園長のつぶやき
こんな話を目にしました。
留学経験やボランティア活動など、多くの経験を積んだ大学生。
就職の面接で
 「留学した経験から言うと...」
 「ボランティアで○○と言う成果があった」
と自信を持って面接官に話します。
しかし、面接官は必ずしもその経験を評価をしません。

と言うのも、
留学は「金を払って得た経験」、
ボランティアは「無償(タダ)のサービスで得た経験」です。
でも、会社が求めるのは
「顧客から代金をいただける仕事が出来る人」
です。
留学もボランティアも貴重な経験です。
だからと言って、「次元が違うところで成果を誇られても...」と面接官は思うそうです。

さて、漁師の場合です。
趣味で釣りをする人はたくさんいます。
漁師は減っているのに、レジャーフィッシングは大人気です。
そして、趣味の延長で漁師になりたいと思う人も居ます。
そのこと自体は、悪いことではありません。

しかし、趣味の釣りではベテランで、技術も名人級とします。
魚を獲ることに絶対的な自信がある。
..だとしても、優秀な漁師になれるかは別問題。
漁業の現場では、何事にも柔軟に対応出来る人が求められます。

例えば、この乗船実習。船酔いなどで辛いことも経験します。
さりとて、乗船実習も「やらせてもらっている」もの。
カツオ一本釣りも、この程度の経験では、プロとして通用しません。

一方で、乗船実習は決してムダではありません。
乗船実習では、実際の漁業現場のシステム(餌の管理、凍結魚のシフトなど)や、カツオを釣り上げる喜びを経験します。
そして、多くの生徒が「思ったように動けなかった」と思うのです。

つまり、自分を知り、漁業の現場を知り、プロの漁師になる心構えを養う実習なのです。
そのため、単に乗船実習をこなすだけでは全然ダメ。
船酔いで辛くても積極的に自分から行動することが重要になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乗船実習エピソード5

2017年01月05日 13時33分28秒 | 28乗船実習

さて、引き続き乗船実習の様子をご紹介します。

12月4日。
波が高く、午前中は操業が休み。
生徒は自習です。
夕方に操業をしましたが、小さいカツオでまもなく中止です。
もちろん、当直当番は回ってきます。

こんなきれいな夕日は、普通の生活では、なかなか見ることが出来ません。

12月5日。
朝から双眼鏡で見張りを行い、午後に群れを発見。
餌食いが悪くて、中カツオを少しだけの漁獲です。

一方で、海洋観測も実施。貴重なデータになります。

12月6日。
天候が良く、船酔いがゼロに。
夕方、ようやく群れを見つけ、体力の限界まで漁獲。

カツオ566尾、平均体重も9キロ。
生徒も興奮です。

【遠洋域での海洋観測】
遠洋域の海の状況は、沿岸域にも影響を与えます。
気象ではエルニーニョの話が、テレビの天気予報でも扱われるようになりました。
海洋研究の分野もハイテク化がすすみ、県の研究所でも人工衛星情報を積極的に活用しています。
http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/01ocean/
人工衛星のデータで水温や、クロロフィル(葉緑素で植物プランクトンの量がわかる)などのデータが入手できます。
しかし、どれも海面のデータ。
海の中の状況は分かりません。
このため、実際に船で海洋観測を行いデータを取得するのは重要です。
人工衛星と違い、測定できるのは広い海の1点ですが、それでも貴重なデータになります。
  
 園長のつぶやき
12月6日は大型のカツオをたくさん釣って、魚を獲る喜びを味わうことが出来ました。
戦後の魚が海にあふれて、魚の値段も高かった時代と違い、今の漁師は特別に高収入とは言えません。
稼げる漁業もありますが、かと言ってお金目当てで漁師になっても、仕事は楽しくありません。
やはり、好きでなければ出来ない仕事です。
そして、漁師の魅力の本質は魚を獲ることです。
写真の生徒たちの表情が、それを表しています。
この感動は、漁師だけの特権です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乗船実習エピソード4

2017年01月04日 13時10分58秒 | 28乗船実習

ブログをご覧の皆さん、あけましておめでとうございます。
そして、一週間のご無沙汰でしたが、本日からブログの再開します。
今年もよろしくお願いします。

さて、引き続き乗船実習の様子をご紹介します。
学園の2学期は来週スタートです。

12月1日。漁場に向けて南下中です。

餌イワシの管理や、当直業務をこなします。

12月2日。漁場海域に到着。
船上で最後のカツオ釣り練習です。

 

そして目視でカツオの群れを探します。

張り切って始めましたが、これはこれで船酔いを誘発。

しかし、大型カツオを発見し、二挺釣りで釣り上げます。

操業の後は、点呼。

海水の風呂で疲れを癒やします。

12月3日。
この日も群れを見つけて、一本釣りを行いました。

 

【漁師のおかず分け】
ほとんどの漁業では、獲った魚の一部を乗組員に現物支給します。
特に定置網漁業では200種類以上の魚が入網するので、おかず分けも魚も日によって様々。
たくさん獲れた魚は価格も下がるので、それを乗組員に分けるのは理にかなった習慣かも。
遠洋カツオ漁船では、獲ったカツオが船内食に使われます。
漁師は魚が好きなので、毎日食べます。
ところが、マグロ漁船では獲ったマグロを食べません。
一匹が大きいし、値段も高いからだと思います。
その代わり、と言って良いか分かりませんが、
混じって釣られるサメはまるまる乗組員の収入になるそうです。
マグロの水揚げは船主と、船員で分けるのですが、サメは全部が船員の収入。
マグロとサメでは値段が全然違いますが、それでもちょっとした小遣いになるようです。
そうは言っても、サメよりもマグロが針に掛かって欲しいのが漁師の気持ちです。
  
 園長のつぶやき
みなさん、おせち料理を楽しみましたか?
私の生まれた漁村には大型定置網があり、冬の主役はブリ。
かつてはブリ養殖も盛んだったので、正月のごちそうはブリの刺身でした。
また、カツオの水揚げ基地であった西伊豆では、今でも潮カツオと言う
荒巻ジャケのカツオ版みたいなものを今でも作っています。

しかし、多くの方は正月にマグロの刺身を食べるのではないでしょうか?
初セリですごい値段がついて有名になった大間のマグロ。脚光を浴びたので、マグロ漁は大間のように小さい船で一本釣りを行うものと思っている方が少なからずいます。
常識外れの高値はつかなくなりましたが、それでも大型の本マグロを獲れば、1尾で大きな収入です。
テレビの影響はすさまじく、マグロはすべて大間のように沿岸漁業で獲っていると思う人が少なからずいます。
あれを見ると、簡単に大金が稼げると思いますよね。
もちろん、そんな甘い話はありません。

このブログをご覧の方は、もうご存じですね。
マグロの多くは遠洋はえ縄で獲ったものです。
遠洋漁業でも、もっとも航海が長いし、10m以上の波がある海でも操業する過酷な漁業です。
大間から学園に来て、遠洋漁船に就職した卒業生もいます。

みなさんが食べるマグロのほとんどは、遠洋マグロはえ縄で漁獲したものです。
マグロを食べながら、遠い海でのマグロ漁を想像するのも良いかも。

1月5日 訂正!
昼のニュースで、築地市場での初セリの結果が報道されていました。
大間のマグロ、212キロで7400万円以上でした!
すごい。
ただ、大間のマグロがすべて、こんなに高値で売れるわけではないので誤解しないでください。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする