アイソン彗星はここに来て増光していますが、残念ながら月明かりがあり、少々観測しにくい日が続きます。そこで今朝は切り口を変えて彗星の分光観測をしてみました。
まずラブジョイ彗星のスペクトルを撮影してみましたが、見てみるとダストが太陽光を反射しているせいでしょうか。目立った輝線スペクトルや吸収線はなく連続スペクトルになっています。
対してアイソン彗星は対照的に輝線スペクトルが目立っています。グラフを見ると4つの大小のピークがありますが、4700Å付近(C2分子) 5100Å付近(C2分子) 5500Å付近(C2分子) 6000Å付近(C2分子・NH2分子)の輝線スペクトルが確認できます。彗星核の色が青緑色っぽいのは輝線スペクトルによるものです。
眼視や写真だと同じように見える彗星でも分光観測をすることによって違いが出るのはとても興味深いです。彗星はダストとガスの尾がありますが、彗星の状態や地球に対してどんな向きになっているかなどの要因をいろいろと考察するのも彗星観測の楽しみの一つかも知れません。(kon)
画像上:ラブジョイ彗星のスペクトル
画像下:アイソン彗星のスペクトル
いずれも11月19日撮影
口径60mm屈折望遠鏡と100本/mmの回折格子を使用