昨年あたりからベイトフィネスという言葉が目にちらついていた。
これはあくまでもブラックバスのカテゴリーだが、ベイトリールが好きな私としてはちょいと気になるんである。
ベイトリールは小さなルアーを使えないというのが常識だが、
最近、極めて軽いスプールが開発され、小型ベイトリールにそれをつけて5グラム前後の小さなルアーでも使えるようになったのだ。
何故そこまでしてベイトリールなのかというと、それなりの理由がある。
さる軽量スプールのメーカーが言うベイトフィネスのメリットである。
A:ラインセレクトの自由度は6~10ポンドラインの中から自由にラインを選べ、ストラクチャーやシチュエーション、バスの大きさに対して、 ラインブレイクを激減させ、根ズレ強度に優るフロロカーボンの使用を可能とした。
B:手返しの効率UPでキャスト回数を稼ぎバスとの遭遇率を飛躍的に向上させた。
C:距離感のコントロール時、サミングで距離や弾道を的確にコントロールが出来る。
D:ベイトの方が飛ぶと言う新事実。ベイトではガイド抵抗も少なく、6ポンド以上の使用時ならベイトの方が飛距離を出せる。
E:ロッドの本数が限られるオカッパリでは、高い汎用性(ライトリグ~小型ハードベイト)やラインブレイクの不安が少ないベイトフィネスのメリットが最大限生かされる。
ベイトフィネスにはデメリットは無いのか?
ベイトリールのデメリットはバックラッシュ。ベイトフィネスであってもバックラッシュを抑止することが最大のテーマであり、スプールレスポンスとブレーキセッティングが不可欠であります。
ベイトフィネスに対応するリールの条件はスプール自重(ライン含む)による回転慣性が小さい事です。回転慣性が小さければ回転の立ち上がりも早く軽くキャストしただけで飛距離も充分に得られます。
ということらしい。
メーカーの言うことを頭から信じることは出来ないが、確かになあ、と思えるところもある。
私は釣りのイロハを越前の釣り師つーさんに習ったが、そのイロハの中にはスピニングリールは存在しなかった。
スズキ釣りから始まったが、リールは何の問題もなくベイトリールだった。
磯でスズキを狙うため、専ら11フィートや13フィートのロッド(Gクラフト、セブンセンス)にベイトリールを付けてスズキを釣っていた。
その後、メバルをやるようになりジグヘッドなどの極小ルアーを使うことで初めてスピニングリールを使うようになった。
今はメバルやアオリイカなどの釣りが主流になってきてスピニングを使うことが多いが、それでもスズキを釣るときは今だにベイトリールを使ったりもする。
要するに、基本的にベイトリールが好きなんである。
だから当然のこと、このベイトフィネスをメバル釣りにと考える。
2グラムのジグヘッドがキャスト出来るというのだから使えない筈はないだろうと。
私にとってのメリットはまず6~10ポンドのフロロを使うのだから根掛かりに強いだろうし、ラインブレイクをしてもすぐに直せること。システムがシンプルだということ。
そしてPEラインに比べ値段が安いということ。
また、サミングやフリーフォールがし易そうだし、大物とのやり取りもスプールを抑えることでコントロールし易いのではないかと想像する。
メーカーお抱えの釣り師たちがスピニングより飛ぶと言っているが、それはちょいと信用出来ないな。
とにかく、やってみる価値はありそうだし、新しいことに挑戦するのは想像するだにワクワクするではないか。
そしてこの冬、想像が膨らみワクワクがバクハツしてとうとうフィネススプール装着の中古のリールを手に入れてしまった。(アブガルシア、エリート)
しかし、ロッドが問題だった。
バス用なので、みんな短くて長くても7フィートだ。
私は基本的に長いロッドが好きで、メバルでも一番多用しているのは9.3フィートだ。
ベイトリールとのバランスもあるのだろうが、8フィートは欲しいところ。
で、いろいろ考えているうちに、ある知り合いのことを思い出した。
彼は大阪で手作りロッドの店(マタギ)を経営していて改造などもやっていると聞いていたので、早速電話してスピニングロッドをベイトフィネス用に改造出来るか聞いてみると友人価格でやってくれるという。
それならばと、改造してもらうことに決め、8.3フィートのロッドを送ったのだ。
それから数ヶ月後、ついにその改造されたロッドが届いた。
日にちは掛かったが、丁寧な仕事でとても改造とは思えない仕上がりだった。
前置きが長くなっちまった。
そんなわけで、昨日天気もよく凪だったのでベイトフィネスの試し釣りに出かけた。
場所は輪島のとある漁港。突堤の先のテトラ。投げ易く、水深も適当にあり試し釣りには最適な場所である。
先ずはメバル用6グラムのプラグを投げてみる。
これは問題なく飛んでくれる。とてもいい感じでバックラッシュの心配は全くなかった。
しかし、軽量スプールはラインを沢山巻けないという欠点がある。
スプールの軽さが命なので、6~10ポンドラインでせいぜい40メートルくらいか。
今回は8ポンドを40メートル巻いてみた。
フルキャストすると殆どラインが出てしまうが、そのことを頭に置いておけばそう問題はなかった。
その後、5グラムのフロートリグをキャストしてみる。
これも問題なく飛んでくれる。使えそうだ。
次に問題のジグヘッド。
先ずは4グラムのジグヘッドをキャストしてみる。
狙ったところより左にずれて着水するが、そのことを頭に入れてキャストすると大体狙ったところには落とすことができる。
30メートル前後は飛んでくれる。
そして3グラムのジグヘッド。
この日のメインの試験だ。
やはりキャストするのにコツがいる。
左に流れて着水する傾向は4グラムより強い。恐らく常に掛かるブレーキのせいだろうと思われる。
投げる時、テイクバックを大きくし、早めに指を離す必要がある。
手首だけで鋭く投げようとするとバックラッシュだが、大きいアクションでロッドにルアーの重さを乗せてキャストすればバックラッシュはなかった。
飛距離は20メートル、上手くキャスト出来た時で25メートルくらいか。
慣れればもう少し飛ばせるだろう。
メバルを釣る場合、殆どはテトラ際や磯際で釣るわけで、20メートルも飛べば問題はないのだ。
遠方を狙うのでないならば、かえって無駄がなくていいかもしれない。
今回の試しの殆どの時間は3グラムジグヘッドの練習だった。これに慣れれば2グラムも使えるようになるだろうと。
このスタイルはフロロラインということもあり、どちらかというと横の釣りではなく縦の釣りに適しているように思える。
キャストし、テンションフォールやフリーフォールで底まで落とし、シェイクさせたり、ワインドで引いてみたり、ずるずる引いたり、大きくリフトさせフォールさせたり、なんだか小さなイカ釣りのようなアクションだが、全体にそれらのアクションがやり易いと思った。
表層ではまったく釣れる気配のない漁港内のベタ凪の海だが、底ではなにかと反応がある。
先ずは小さなカサゴクン。
その後、こいつ。
小生のルアーでの最小記録だろうな。
そして記念すべきベイトリールでの初メバル。
ちっちゃ。
ソイクンも来た。これも小さいやつ。
続いて今度はまあまあの引き、ソイクン。
赤メバルクン。
そしてロッドも絞り込まれ、なかなかのファイトを見せたカサゴクン。27センチ。
その他、時折アジなども。
今回はキャストなどの試しが目的で釣ることは問題外だったが、このスタイルで実際魚が掛かるのは初めてのことで小さいながらも楽しいのだった。
なにせ底での釣り、何度も根掛かりしたが、流石にフロロは強くて殆どはフックを伸ばしながらも回収出来たが、それでもジグヘッドのロストは二度あった。
しかし、PEラインのようにラインの途中からブレイクなんてことはなく、ジグヘッドとの結び目が切れただけでその修復の簡単なこと。
これは面倒くさがり屋の私にとっては大きいメリットだ。
さて、これからの実際のデカメバル釣りにどのくらい使えるのか分からないが、テトラ際や磯際、底を狙うなど、根掛かりし易い場面では出番がありそうだし、
プラグやフロートリグなども比較的近距離を狙う場合、回転良く使えそうだ。
次回はこのスタイルで尺を狙ってみよう。