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えすみの日記

ふつーの主婦ですが、日本の未来を真剣に考えたい!

奇跡のリンゴ

2010-08-21 10:11:24 | 読書
【奇跡のリンゴ】石川拓治著、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班監修、幻冬舎。

いやはや、感動しました。

副題にもあるとおり、

絶対不可能といわれ、だれも成し遂げたことのない
リンゴの完全無農薬栽培を実現させた人。

青森のリンゴ農家、

木村秋則(あきのり) さんの物語。


無農薬?それがどうしてすごいことなんだ?

農業に縁のない人にはピンとこないかもしれません。

元々リンゴという果実は渋味が強く実の小さな野生種でした。つまり、とても食べられるものではなかった。

現在の甘くて大きなリンゴは
人間の好みに合わせて、品種改良を重ねて結果うまれたものだといいます。

しかし、品種改良の結果、リンゴの樹は害虫や病気に非常に弱くなってしまい、

たくさんの農薬をつかわないと簡単に壊滅的な打撃を受けてしまうのだそうです。

木村さんはふとしたきっかけで、30年ほど前、リンゴの無農薬栽培を始めるのですが、

この努力が半端ないです。

しかし農薬をやめて何年も実はおろか、花も咲かないのです。

畑は害虫が大発生し、病気も頻発して
木村さんは農薬以外でできるあらゆることを試しては失敗します。
努力しても、努力しても結果が出ず。
みるみる弱って枯れていくリンゴの樹々・・・。

一家は収入が激減し、
困窮して、日々食べるものすら、困るほどに・・・。ちょうど、日本がバブルにわいていた頃こんな苦労をしていたことに驚きました。

だれにも強制されたわけでもない、やめようと思えばやめられたのに苦しくてもがんばった木村さんとご家族。

そして、

苦しんでギリギリの果てに見つけた『答え』。
その答えにいたる過程は感動的でした。

まだ読んだことのない人のために詳しくは書きませんが、
泣けました。

この答え(無農薬栽培に本当に必要なもの)が、述べられているページを読みながら

私は何度もアニメの風の谷のナウシカの場面を思いだしていました。

猛毒の瘴気を発する腐海の植物の胞子を集めてこっそり育て、

恩師ユパを驚かせたナウシカ。「きれいな水と空気があれば腐海の植物も毒を出さないんです。汚れているのは土なんです・・・」

腐海の最深部に迷い込んだナウシカ。人をよせつけない最深部で、人間を苦しめているはずの腐海が自浄作用で大気や水をきれいにしようとしている働きがあるのを知って涙する。

ナウシカの腐海に対する愛情と、
木村さんのリンゴに対する愛情。

失礼かもしれないけど、
私の中で重なって見えました。

半端じゃない、苦労を重ね花が咲き、実をつけてようやく収穫ができるようになるまで約10年。

10年・・・。

木村さんはすごい人です。

思いっきり感動したい人にオススメします。