睡眠中は意識がないため、脳全体が眠っていると考えがちです。睡眠中は脳の上部である大脳が眠っているだけです。脳の下部の脳幹は、心臓の鼓動や体温などを調節するために一時も眠ることがありません。
何故大脳は眠るのでしょうか。それは、大脳は大量のエネルギーを消費する器官で、連続運転すると、脳がオーバーヒートしてしまうからです。これを防ぐために、睡眠が必要となります。また、脳に興奮性伝達物質を補給するために、睡眠が必要となります。私たちが積極的に活動できるのは、脳の興奮性伝達物質のおかげなのです。しかし、一日の終わりには、この伝達物質が少なくなります。それを補給するために睡眠が必要となるのです。
睡眠は記憶にも関係しています。ハーバード大学のロバート・スティックゴールドは、学習した当日に眠ることで、記憶が高まることを報告しています。つまり、学習によって脳に刻まれた記憶が、睡眠によって釘づけされるということです。釘づけされなかった記憶は洗い流されということです。