日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月 4日】

2006-10-25 07:34:31 | Weblog
《後志利別川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備  考
9 後志利別川 80(内約6.2) 今金大橋 豊田橋 超易 清流日本一の名誉を何度も受けている川

後志利別川
 朝、922:スタート。少し瀬があるだけで、ほとんどトロ場、パドリングばかりだ。
 キセキレイが飛ぶ。セグロも飛んでいる。まあ、いつもの風景。15分過ぎた頃、えっ、白っぽい鳩?珍しい、こんな所で?あれ?でも鳩と飛び方が違う。あっ、鳩じゃない、もしかしたら?目を凝らす。50mほど先の高い所に止まった。静かに流れていく、30m程の時、鳥が横を向いた。「ギャァ、ヤマセミだ」見事な冠が見えた。何と、ヤマセミに出会えた。やったー。初めて見た。カメラを出し、一応撮っておく。遠くて、小さいから、絶対に見えないけれど…。でも、やったー、水辺の貴公子、ヤマセミを見れた。今日最大、いやこの旅で最大の喜びの一つだ。すごい!良かった!
この緑の中にヤマセミが・・・
 それから、5分もしない頃、目の前で50cmほどの魚が飛び跳ねた。名前は判らない。
 その後は、げんきんなもので、他の鳥には目もくれず、一羽いた事はきっとまだ居るはずだ、とヤマセミばかり探している。川がどんなか、瀬がどうかなど、眼中に無くなってしまっている。いや、困ったものだ。が、探すときは見つからないもの。結局、その一羽だけだった。

 無事、豊田橋へ1043:到着、6、2km、81分の後志利別川(シリベシトシベツガワ)の強烈は印象を受けた川旅を終えた。カヌーを車が入れる所まで、草の上をひこじって行き、荷物を入れ、MTBの所へ行く。
土手からの津田さんのお家
見ると、津田さんちで、草刈している人がいる。手を振ったら、お辞儀された。『あっ、奥さんだ。』陰で見えなくなるまで手を振って、車の所へと急ぐ。
 土手道は砂利で良くないので、と下へ降りたのが間違いで、大きく迂回することになり、44分もかかってしまった。 昼前、車へたどり着いたので、昼ごはんにし、それから、カヌーを積み込みに行くことにした。

 食後、すぐ、豊田橋へ向かう。カヌーの所へ着き、ライジャケを取り上げると、白い袋、中を見ると、ミニトマトが沢山入れてあり、「お体に気を付けて 頑張って下さい。 私も影ながら応援しています。私も無農薬の野菜作りに頑張っています。トマト少しですが体に良いので食べて下さい 津田」とあった。
お手紙はこれ!
 何とも、うれしい限り、私を応援してくださるお方がいらっしゃた。動けなくなった車を助けて戴き、無農薬トマトを下さり、応援してくださるなんて、何とすばらしい話。うれしいですね!感謝!感謝!

 積み込み終了、津田さん家へ行き、再度、お礼をと玄関へ入ったが、どなたもいらっしゃらないご様子、置手紙しようかと、車へ戻りかけたら、奥様出てこられて、『わざわざ来られたの?』 『いやー、トマトありがとうございました。丁度、夕べで切らした所でした。ありがとうございます。応援してくださるなんて、うれしいです。楽しく頑張って、素敵な旅にいたします。奥様も、無農薬で頑張っていらっしゃるんですね。私は、COOPは完璧ではないけど、普通のスーパーよりは安心だからと出来るだけ、COOPを利用しています。無農薬、大変でしょうけど、ぜひとも頑張ってください。無人販売でも、無農薬なんて書いてあったら、絶対に喜んで買って行かれますよ。』等などお話し、『私のHPの「へいせい徒然草」には無農薬の事や健康の事書いてますので、是非ご覧になってください。』とも、お願いし、お別れした。車が見えなくなるまで、ずっと、見送ってくださった。心が美しい人はお姿も美しいものだ。ご主人がうらやましいくらい、素敵な女性だった。『津田さん!本当に、色々とありがとうございました。』
 今日もこんな素敵なお方とお会いでき、一期一会の素晴らしい日々を感謝しながら、次の尻別川へ向かう。

 瀬棚町へ入ると、海岸線の様相が変わった。
 積丹半島へ近づくと、奇岩が段々増えてきた。小学校の時、日本の地理の勉強、先生があこがれておられたのかも知れないけれど、岩手の三陸海岸と、北海道全体、中でも積丹半島の美しさを強調され、私もそれらにあこがれていたものだ。
 進んで行くと、道の真ん前に大きな丸い山、それにトンネルが掘ってある。
丸いお山に彫られたトンネル
 右側にも丸い山が連なり、すごい風景だ、トンネルの横の駐車場へ車を入れ、見れば、海側は海水浴場、結構沢山の人がテントを張って短い夏を楽しいんでいる様子。

海の左手には、三本杉と呼ばれている、丸い岩山が3本立ち並んでいる様子は、中々の奇景だ。岩は結構やわらかく、崩れやすいので、ネットが張ってはあるけれど、余り近づくのはよそう。中国の桂林を彷彿とさせる珍しい風景だ。
三本杉の岩山
 ここから、寿都へ行こうと走り始めた。道の駅「よってけ!島牧」へ寄ってった。この海の幸の豊富な海岸線だから、魚や貝類が並んでいると思いきやキーホールダーやパンフレットわずかなどこにでもあるメーカー品のお菓子類程度、何とお粗末。東北の道の駅はどこもすばらしいので、それを期待していたこちらが間違いか?が、海岸線は中々に美しい、昔ながらと言えば叱られるかも知れないが、古い軒並みも残っており、手入れの出来ていない家もあるけど、風情はしっかり残っている。新品の華美さで無く、古さや重厚さが素敵だ。新しい建物必ずしも美しいものではないからなぁ。
 曇り空だが、ずうっと見渡せ、向こうに島影が無い。瀬戸内だと島が必ず見えているのだけれど…。

 途中、寿都まで行かないで、黒松内町から蘭越町へ行こうとナビを変更。山越えに走りはじめた。空は晴れ渡り、暑ささえ感じるようになった。海抜が高くなるほどに、雄大な風景が広がり始め、風力発電の風車が回っている手前では、ついに『ウワー、すんげ~、これだ、これが北海道だ!』と、思わず声が出た。濃淡の緑のじゅうたんが敷かれ、乳牛が座ってて、その向こうには、枯れ草の巻いたのが、いくつもごろごろと置いてあり、ズーット向こうに山が控え、正に一服の名画を見るような、いや、名画よりも、はるかに雄大で、美しいと感じる、お見事!

 黒松内の町へ入り、道の駅「くろまつない」へ寄る。ここもあまりぱっとしない駅。レストランと少しのこの地域で作られる肉製品と乳製品、後は都会と同じものばかり、と、言った感じ。でも、虫食い穴のあるチンゲンサイが100円で沢山入っており、パンとソーセージと共に買う。今夜はこのソーセージで、安全な野菜炒めだぞ!絶対美味いのが出来るぞ!楽しみだ。と、車へ近づくと、後ろから声、『やぁ、また、会いましたね~!恐山であったものです。』えっ、えーとどの人だっけかな?『あぁ、こんにちは!』2、3言話していて、『そうだ、裸で無いので、判らなかった。お風呂であった西野さんだ!』と、ようやく思い出した。それからは話がスムーズに終始し、熊石町に無料の野天風呂があり、あそこの道の駅は良かったとか、良くなかった、道の駅で多くの車が寝ている、等など。出来れば、またお会いしましょう、と、お別れした。
 この大きな北海道で、数日前に別れた人とまためぐり合うなんて、まるで、奇跡。すごいものだ。

 こんな奇遇の体験、過去には、私は何度もあるのだけど、21歳のときやはり北海道、苫小牧で、街を歩いていたら、後ろから聞き覚えのある声、振り返ると、同じ高校、柔道部の一年下の木村君が数人でしゃべりながら歩いていた。共にびっくり仰天!
 また、24歳の時、四国の霊峰、石鎚山から、面河峡へ下山している時、前からやはり聞き覚えのある声、カーブを曲がった所で、ばったり、何と小学校から高校までずっと同じだった、神谷君が登って来ていた。一言、声を交わしただけのすれ違いだが、これも驚き。
 もう一つは、徳島の阿波踊りの真最中、23歳の時、徳島の街を友と歩いていたら、前から両腕に女性と腕を組んで来る「一人のおのこありけり、そのおのこ」何と同じく同級生の竹津君、彼は高松在籍、出張で徳島入りしてたとのこと、その内のお一人が今の奥様だそうだ。確かめていないけど…。
 まだある、40才代の時、台湾の台北の空港でやはり同級生の穂垣君と会った。地球は狭いものだ。
 が、北海道は大きい!広い!一寸、次の川へと言っても、すぐに、50km、100kmと走らなければ行かれないほど広いのだ。

 蘭越町の中心部へ到着。先ずは寝所の確認、目指した豊国橋の下が抜群に良い寝所。カヌーも降ろせる、グー! 次は情報集め。街へ行き、酒屋さんで尋ねる。『私は川は判らないけど、この先の「居酒屋、暮六つ」さんが鮎釣りやっておられるから、よく知っておられるでしょう。』と、お聞きし、尋ねるがまだ開いていない。隣のCOOPでゆっくり買い物し、出てくると行灯に灯が入っていた。
 もう、お客様が3人も座って楽しそうにやっておられた。ご主人は電話で話中、内容はやはり鮎のことのようだ。長引きそうなので、『また来ます。』と、出た。
 実は、久しぶりに巷の空気を吸ったので、もっと吸いたくなって、MTBで出なおそうとしただけなので、豊国橋の下へテントを設営、安心し、そして、夜の街へ出た。
 久しぶりに、黒光のしているカウンターに向い、ご主人が作ってくれた、焼き鳥や野菜炒めを食べ、うま酒をのみ、尻別川の話をいっぱいお聞きし、ほろ酔い気分で店を後にした。
 あぁ、今日も素晴らしい・素敵な一日だった。 『幸せだなぁ!』と鼻をこすった。


《豊国橋泊》

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