日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月 2日】

2006-10-23 05:10:58 | Weblog

《三途の川》

 早朝から、恐山方向へ車が走っている。カラスの声は聞こえないで、ウグイスや土鳩だ。減量しようと自転車を降ろし、また、三途の川を渡り、着くと、もう車が数台来ている。早い人達だな?と感心し、側のお方に挨拶『おはようございます!』宮城ナンバーの宮田さん(仮名)。ご家族4人で、『父親をここと、ねぷたと岩木山へ連れて行くんです。』と、親孝行なお話。『岩木山は9合目位までケーブルで行けるので、後は簡単だし、独立峰だから、360度のパノラマが楽しめる』のだそうだ。『よ~し、帰りに、時間が有れば、私も行ってみよう!』

 恐山の開門は6時半、まだ時間はあるので、宮田さんと話をしたり、財布を取りに戻ったりし、入場料は500円也。
恐山の異様な光景


 順路に沿って、40分ほどの距離。異様な光景の連続、カラスがすごく多く、異様さを増幅させる、すぐ側へ行っても逃げない。ここへ来る人はカラスを脅かさないからだろう。硫黄の匂いは昨日この地に入った時からしているが、所々で噴出しているし、ボコポコあぶくを出している所もあり、テレビで見たことの有るかざぐるまがあちこちにカラコロ・クルクルと、回っている。噴気を出している所のお賽銭は硫黄で黒くなってしまっている。
恐山らしい沢山の風車
硫黄の噴気でお賽銭も・・・
 一回りして帰ると、宮田さんはまだ、いらっしゃった。『みやげ物買いたいけど店が7時半なので、待ってるんです。中にあった風呂、古くって、木造りで、良かったですよ。入場料に含まれているので、無料ですよ。』それを逃す手は無いと、タオルを取りに戻り、再度入場、受付でチケット見せれば簡単にOKだった。
無料温泉:石鹸は不可
 風呂では、先客が横浜ナンバーの74歳の横井さん(仮名)、と 千葉県から来られた、西野さん、のお二人、話が色々弾んで、楽しいお風呂。旅の楽しさは、どこでも初顔の人と話ができること、特に、一人旅は同行相手を気遣わなくて、マイペースで何でも出来ることなどで、実に気楽なのだ。「旅は一人に限る!」と言いたい。
 横井さんはご夫婦で軽四ワンボックスに冷蔵庫を載せ、車中で寝れるようにして、二週間の旅をしておられるとのこと。これは安価な長旅に最も良い方法だろう。 横井さんは、楽で、安くて、楽しい、最高の旅をしておられる。


横井さん(仮名)
 西野さんは、今まで仕事が忙しかったけど、やっと時間が取れたので、旅に出たとのこと普通車のやはりワンボックスで「マツダ」のキャンピングカーだ。『人生、仕事に追われているだけじゃいけません。折角、この世に生まれてきたのだから、人生を謳歌しなければ…。』と、彼も私と同じ意見と行動だ。
 心はゆったりとし、身はさっぱりとして、出てくると、まだ、宮田さんは居られた。が、開店準備が始まっていたので、もうすぐ、岩木山へ向われることだろう。私はそこで、お別れして、朝の食事を準備していると、ププーと鳴った、宮田さんの出発の合図、『楽しく、親孝行をして下さい!』と、祈った。

 三途の川は、正式名を正津川と言い、大畑町に流れているのだが、すごく綺麗な水で、宇曾利湖から流れ出ている。それほど美しい水の宇曾利湖にカヌーを浮かべないわけにはいかない、本当は泳ぎたい心境だが、気温は16~7度、ウエットスーツはあるけど、ちと冷た過ぎる。で、湖でのカヌーイングは今一面白くない、当然セーリング!
岩手県からの女性一人旅
 準備している所へ、車が入って来た。若い女性だ。どうもお一人の様子。気にしながら、準備万端整えて、『乗りませんか?』と、声を掛けた。それから、話が始まり、『岩手から来ました。』とのこと。北上川の話、越喜来の話、地震の話、等など。写真をお互いに写し合い、メールで送ります。で、お別れした。お名前も判らないまま、お別れしたが、彼女、キット、数日後写真を送って下さったのだろうけど、コンピューターウイルスが猛烈に入ってきていたので、うっかり一緒に削除してしまったようだ。「お礼も言えなくて、ごめんなさい!」

 それから、カヌーを出し、丁度、良い風、ビュンビュンに走る。水は実に綺麗だ。ダークブルー。熊野川より綺麗だ。ただ、硫黄分を少々含んでいるだろうけど、兎に角、すっごく綺麗だ。魚も生息しているそうだ。空が曇っていて、暗いから底までは見えないけれど、兎に角、深い色、お見事!ずっと沖出しし、左奥の原生林の近くまで行き、熊でも見れないかと楽しみに進んだけど、そう簡単に逢えるものではないのも分かっている。ボツボツ帰る方向へと進み始めた時、一転にわかに霧が降りて来て、陸岸が見えにくくなったと思いきや、全く見えなくなった。小さな湖なので、心配はないし、風の方角で、出廷した方角は分かっている。が、風がどんどんきつくなる。『オー、中々やるじゃん!』と、言うくらいまで、きつくなってきた。もし、彼女乗っていたら、きっと不安になったに違いない。小さな湖なので、波が立たないのが楽だ。ただ、今日は寒い。その対策はしないで、出ているので、もし間違って、沈でもしようものなら、後が大変だ。風上に上って行くと、本堂と地獄のあいだの緑の山が見え初め、本堂も見えた、自分の車も見え出した。霧も少し晴れてきた。1時間足らずのセーリングだったが、綺麗な水と丁度良い、風で、素敵で、楽しい宇曾利湖セーリングだった。これだから、セーリングカヌーは素晴らしい。色々な遊びができるんだから…。
宇曾利湖セーリング >
 片づけが終わった頃から雨になった、昨日、水汲みした所まで帰って、使った霊水を補給し、満杯で、大間へ向けてGO!

 本州最北の海岸線を雨降る中、ひた走りに走り、フェリー乗り場に到着。
 船は60分前に出たばかり、次の船は16時30分、何と4時間もある。では、では、と待合室で昼食を始めた。盆に乗っていると言えども、土鍋のままでご飯を食らい、丸ままのきゅうりにマヨネーズと塩を振りかけてかじり、トマトを丸まんまかじり、缶詰めをパコッと開いて、そのまま箸を突っ込む、こんな食べ方を、きっと待合室の皆さん驚かれたに違いない。へっへっへっへ!
 ここでまた、電源を借りて、整理。次々と体験する事象を、忘れない内にと、打ち込むのだから、幾らでも時間が必要だ。
 また、船の中でも電源借りよおっと。

 やっと、乗船時間が来て、乗り込む。昔は、テープが舞い、銅鑼(どら)が鳴って、出航風景には独特の雰囲気があったものだが、ごみ汚染の関係もあるのだろうし、そんな送り出しに水さかずき的な風情が必要でもなくなり、時間が来たら、ふいっと出航してるように、感じた。味気ないと言えば、味気ない。時代の変化だ。少々寂しい。
 乗船時間は2時間と10分。さあ、とPCを打ち始め、電池が切れた。電源借りようと思うが、部屋にコンセントが見えない。おかしいな?コンセントが無いはずが無いのだがと、2等船室見て回ったが、どこにも見当たらない。残念、無ければ仕方ない。眠ることにした。30分ほど横になっていたが、眠くないものは寝れない。起き上がって、地図を広げ、時間つぶしだ。後、30分ほどで函館に到着すると言う頃、奥側で寝ていた若者が、カーテンに隠れていたコンセントを示し、『借りたら!』と、薦めてくれた。が、一応、船員さんに許可を貰わないといけないので、もう時間も少ない故もあって、『あっ、そこにありましたか?見えなかったなぁ。あ、ありがとうございました。もう、時間が無いから、いいです。』と、礼を言い、始めに見つけられなかったことを残念に思った。

 右舷に、雨に霞んだ黒っぽい山が見え始め、バウ方向には都会の風景、まもなく北海道に着く。デッキへ出て写真を写す人もいる。荷物をまとめ始めた人もいる。甲板員は舫(もや)いロープを投げる準備を始めた。
 いよいよ、北海道の地へ足を踏み込む時が来た。福山を出てから、60日弱だ。長いような短いような、忙しい、楽しい、素敵な日々だった。これからまだまだ楽しみが、喜びが、美味しさが、いっぱい待ってくれている筈だ。さあ、上陸!

 ”は~るばる来たぜ~函館~!”が出てきてもよさそうだけど、そんな悠長なこと言っておれない。指示に従って、さっさと下船しないと、後には沢山の車が待っている。押されるようにして、船を、港を後にした。
 さてと、早速、寝所の捜索。船中で、ナビを見て、運動公園を見つけていたので、港から近い所をインプットしていた。
 さすが、函館、店も大きなのがある。それを横目に見て、進む、途中の「新ありかわ橋」の下には車が降りている。即、見に行く。「パークゴルフ場」とあり、市民が自由に出入りできる。それがまた、芝生が見事、駐車場の周りにも、同じ芝が綺麗に植えてあり、何とフカフカのベッドになる。ありがたいね。こんな素敵な所が広々として、有るなんて、ここに、決・め・た!

 次は今夜の食事、途中で見つけていたビッグショップへ向かう。ここは何とパチンコ店から、子供のゲーム店、食品・薬・衣料・みやげ物・靴もめがねも、兎に角、何でも揃う、今まで色々な郊外型のショップを見てきたけど、ここまで店を揃えている所は初めてだ。大きな駐車場も、満杯。止めれる所をずいぶん探した。空いていないのだ。
 函館と言えば、イカ。イカと言えば、今がシーズン。当然、イカがどっさり並んでいる。夕刻なのでさばいてしまいたいからなお安い、5ハイで198円。と言っている。欲しい、でも、1ハイ程度しか食べれない。冷凍庫が有れば買って置くのだが…。
 結局、今まで食したことの無い、秋刀魚の糠漬け、95円也を買った。もう一品、ニシンの糠漬け¥98も美味しそうだったので、どちらにしようかと迷ったけど、両方は食べられない。

 泊地に帰り、テント設営中、白いワンボックスカーが3台入ってきて、若者たちが何やら準備、雨模様だから、バンドの練習でもなさそうだし、非常に静かに行動している。薄気味悪いほど静かだ。こちらはこちらで、秋刀魚を焼いて、美味い夕食、美味い純米酒。北海道の初夜、幸せだな~!
 白い車達は、ブルーシートで三台を覆い、話し声が少~し、たま~に聞こえるが内容は分からない、笑い声はしていない。何だか、例の白い車・白いシートの騒ぎのことが頭をよぎった。9時半ころ、急に静まり返った。「こと」と音も・声もしなくなった。
 その後、こちらも寝入った。

 朝、4時頃目が覚めた。ブルーシートは、夕べと変わっていない、まだ静かだ。何ら物音がしない。変なの?!それにしても、何だか行動が辺だったな~?何か事件に関係していないのだろうか?まさか、集団自殺でも無いだろうな~?側へ行くのも何となく、気味が悪い。
 新聞社に言ってみよう。北海道新聞函館支局にTEL。『それは警察へ言って欲しい。番号は○○○。』そちらへTEL。『調べに行かせます。』との返事。長く感じたけど、暫くして、音を立てないように、静かに、ゆっくりとパトカーが近づく。やれやれ来てくれた。一人は向こうへ、一人はこちらへ。『通報してくれた人ですね。』 『はい』 『今、調べているけど、どうもバーベキューをしたらしいですよ!』 『えっ?そ、そんな?』 『バーベキューの道具やビールを飲んだ後があるから、』 『え~、それにしては静か過ぎたけどな~!』 『詳しくあちらで調べているけど、間違いないでしょう。』何と、結局は宴会だったようだ。それにしても静かな宴会だな?我々には、考えられない。確かに、今時の若者は、静かに飲んで、静かに、話をして、静かに寝てしまう。我々の若い時代、手拍子打って、大歌を歌い、大声で喋りまくり、時には、取っ組み合いもし、そこら辺でごろりと横になって、寝たものだ。余りに静かな宴会だったから、何だか、気持ち悪いような気さえしたのだが…。驚きだ!

《函館泊》

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