日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 7月19日】

2006-10-08 04:44:10 | Weblog
《久慈川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
26 久慈川 124(内約11) 太子町観光ヤナ場 上小川キャンプ場やなせ きついけど実に楽しい

 今朝は敷いた草のおかげで快適な目覚めができ、遅くまで寝ていて、618に起きた。早くしないと、鮎釣り師がどんどんと入ってきたら、出られなくなる。
 川はすぐ側だが、近くにはカヌーを降ろせる所は無いので、「大子観光ヤナ」と、言う大きなヤナ場とその建物の大きさには圧倒されたけれど、そこからしか降ろせそうに無い。
太子観光ヤナの建物
 水辺までは、21段もの階段を降りて、出廷準備に入る。
 向うの左岸側に素敵な瀬があるのだけど、釣り師が3人ほどいるので、仕方なく、手前の弱々しく、流れのない、面白くも、楽しくもない所から、
ヤナと我が愛艇
 800:丁度にスタート。
 「旅本」によると、久慈川はオープンデッキは不可のマークだけど、長瀞や富士川へ行ってるから、『まあ、何とかなるだろう。』と、出たとこ勝負で、チャレンジ。

 初めは優しい瀬が続き、楽なもの、釣り師も所々、あちこちにいるけど、狭い川ではあるが、まあ、何とか距離を置いて通過することができる。ある瀬で、両岸から、5人の竿、どこにしようかと迷っていると、一人の紳士、あえて「紳士」と言うけど、竿を上げて、手招きをしてくれた。深みのある川筋で、大変ありがたかった。前を通る時、『ありがとうございました。』とお礼。この様に、紳士と会うのは非常に楽しいものだ。こちらもしっかり紳士にならなくては…。
 今年は、那珂川での調査結果をお聞きしたように、また、多くの釣り師も感じているように、水温が低いので、深みに逃げているし、コケの成長も遅いが故に、えさ不足で、鮎の成長も十分でなく、皆さん釣れない・小さいと手や顔を横に振る。今年はどこの川も鮎、不作の年だ。
 この久慈川は、大水は余り無いのか、曲がりくねっているし、底が石でなく岩盤だ。だから、非常に難しい、と言うか、ヤバイ!
 そんなコースを取りにくいところを通過中、30代位の男性、竿の3倍ほど離れ、岩があちこち出ている所を四苦八苦しながら通っていると、『もっと、あっち行け!』と言った。『鮎がそっちへ逃げて行ったから、しっかり釣ってくださよ~!』と、穏やかに言った。『もっと、あっち行け!』私もカチン!『あんた!そのタバコどこへ捨てるつもりか?あんたみたいなやつがいるから川が汚れるんだ。川を汚すな!馬鹿やろう!』と、またも罵声まで言ってしまった。はしたないな~!

 久慈川では大子のヤナ場から三分の一位下った、袋田の辺りから岩盤でなく、砂が増え始める。
 大体、鮎は石についたコケを食べているから、香りが良いので、香魚とも呼ばれているのだが、砂では、コケがつかない。だったら、鮎はいない。と、思いきや、そんな砂地の所でも釣り師は糸を流している。『なぜ?』と、言う思いから、聞いてみると、『砂地の所々に、岩が出ていて、そこへ鮎が集まるので、それを狙っているんですよ!』とのこと。『なるほど!餌場が少ないだけに、鮎が集まってくる?賢い!』と感心する。色々な釣り方、考え方、狙いが有るもんだ。
 こんな話も聞いた。鮎は藻を食べている。所が、擬餌針で釣っている人がいる。以前、徳島の吉野川でも、そんな人がいたのだけど、今度は詳しくお聞きすることができた。それは面白い話で、不思議と言うか、眉唾と言うか、信じて良いのかどうか、迷う所だけど、『深くて、淀んでて、上流に温泉がある所では、毛ばりで鮎がよく釣れる。箱根でもそうなんだよ!』と、おっしゃられた。

 あなた、どう思う?温泉とどんな因果関係が成り立つのかわからない??!でも、事実なら面白い。これも若い人の研究対象になるかもね。
 久慈川は結構速い流れで、瀬の連続、トロ場と言っても早く流れている。大きな瀬の音がする。立ち上がって見ると、白波立っている。ひょっとするとこれが彼の有名な「シャモの瀬」かな?よ~し、一丁やるか!と、またも立ち上がって、見える範囲でのコースを見付ける、最初は見えるから良いけど、落差が大きいので、その後は、ぶっつかって、目の前で、瞬時に判断し、コースを取っていかねばならない。それが一寸遅れたり、力不足だと、流れに負ける。ファイト~一発!GO!
 入ったからには途中止めできない、厳しい、荒い流れと岩と釣り師との間を縫うように下る。ビリー!「やった!行け!」横向きになった「ヤバイ!」即バック!「直った!OK!それ、行け!」大岩と大岩の間へGO!OK!うまく行った!下の大波に突っ込む、波に乗った、『よっしゃー!OK!上出来!少し痛んだろうけど、無事通り抜けた。やったぞ!』気分爽快、満足感十分!パドルを頭上に掲げた。

 そこから、暫くは、大きな瀬も無く、快適、快適!
 カワセミが側から飛び立った。やはりカワセミを見ると一瞬でも、さわやかな気分になる。これが、ヤマセミだともっと、もっと爽快、一生忘れないほどになるだろうけど、この辺りなら、いてもおかしくない感じだけど、姿は見せてくれない。
 またも、大きな音、さあ、また大きな瀬が近づいているぞ。今度はどんなのかな?
 これもきつい、きつい!大きな岩が次々と出ている、その間を必死でかい潜る。今度もバシッ!と言う音。「やられた!でも、無視無視、平気平気!なるようにしかならぬ!行っちまえ!突っ込め~!」今度も中々強烈、強烈!何とか無事、降りきった。トロ場で、水を掻い出す。早くやらねば、いつ次の瀬が現れるか、油断できない。

 もう、大分来たのにまだ着かない。少々不安になる。そんな時、長いトロ場に入った。その先から、水の落ちる音、何だか瀬の音と違うようだ。
 『えっ?あれ?おかしいな~?こんな所に堰でもあるのかな~?この音は堰の音のようだぞ?怪しい!一度、岸から見るべきだ。が、もし、堰に引き込まれたら、大変だし、先ずは、一度上流へ引き返し、釣り師に聞いてみよう。』釣り師は自分の釣りに必死で、こちらの声を聞いてくれない。あきらめて、上に家がありそうなので、上がってみる。

 ”ピンポン!”、女子高校生が出てこられた。『お聴きしたいんですけど、近くに、漢字3文字の名前のキャンプ場がこの近くにありますか?(実は上小川の名前を思いだせなかったのだ)それとこの下に堰がありますか?』 『あぁ、堰はありません。下の三叉路を左に行けば、キャンプ場ですよ。漢字三文字じゃないけど…。』 『ありがとうございました。』左へ行って見るが、昨日見た所と何となく雰囲気が違う。もう少し、下かな?まあ、大きな堰さえなければ、何とかなる。

 カヌーを浮かべ、鉄橋の下で、大きな一定の音がしている。堰のようだけど、違うと言うことだから、行ってみよう。と、近づき、立ち上がって見ると、落差が大きい、釣り師が右側にいるので、左の流れに行こうともっと近づくと、何とテトラの頭がぼこぼこ出ている、『こいつはヤバイ、最悪だ!』見計らって、テトラの手前の岩に降り立った。危ない危ない!ここはゆっくり、少しずつ降ろそう。

 『こんな危ない所、なぜ作るんだ。』と、言いたいけど、おいそれとはどうにもならぬこと。何とか下まで降ろし、ほっと一息!と、言ったところ。やはり、今、お聞きしたキャンプ場は違ってた。「じゃあ、まだ下なんだ!大分来たんだけどな~!」釣り師がまた数人やっている、その向こうに、ブルーのカヤックが見えた。『おっ、カヌーがいる。あっ、もう一隻。やったー!教えてもらえる!』
 と、近づいて行くと、私と同年輩位の男性と、若い男性、『こんにちは!』 『こんにちは!どこから来られましたか?』 『大子のヤナ場の所からです、2箇所きつい所がありましたね。それとそこの鉄橋の下』 『最初のは、シャモの瀬で、後のが○○の瀬ですよ。釣り師はいかがでしたか?』 『お一人は、竿を挙げて、こちらへおいでと招いてくださった紳士もいましたし、他の一人は、竿の3倍も離れて通っていたのに、「あっち行け!」と、言ったから、「お前、そのタバコの吸殻、どこへ捨てるつもりだ。川へ捨てるな!川を汚すんじゃないぞっ!」って、言ってやりましたよ。』 『前のは、地元の人ですね、後のは、遠方の人ですよ!』 『なるほど、それは言えますね。』 『どこまで行かれるんですか?』 『それが、分からなくなってるんだけど、漢字3文字のキャンプ場で、橋の下でしたけど、ここでは無いですね!』 『それは「やなせ」です。鉄橋と橋と2つの橋があったでしょう。』 『そんな気もしますけど、はっきりとは覚えていないんです。』 『次の橋ですよ。もうすぐです。』 『そうですか、良かった。もう3時間も下ってきたので、行き過ぎたかと心配していたんですよ。』 『大丈夫、大丈夫!すぐそこです。大体、大子からだと、3時間はかかりますよ。後、一踏ん張り、頑張ってください!』 『ありがとうございました。元気が出ました。』

 1100:着。11kmを3時間ジャスト。ここも、抜群に楽しい、エキサイティングな川だった。すばらしい!
 痛んだところは直せば良いこと。楽しさの方が最優先だよ~ん!
《猪苗代湖畔志田浜キャンプ場泊》

”宗さんのHPへ戻る”