日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 7月15日】

2006-10-04 04:34:23 | Weblog
《鬼怒川》

 頭の上で、ポトリ、暫くしてポトリと音がしている。シートに雨の降っている音はしていない。すごく静かだ。おかしいな~、と思いテントを開けると何と霧、それも50m先が見えないほどの濃い霧。霧が水になり少しずつ落ちている音だった。まだ、早い、もう少し、横になっていようとまた、シュラフに潜り込んだ。
 それにしても、涼しい。もう7月も半ばだと言うのに、昼間は長袖のシャツが必要だ、朝や夜はジャンバーを着てても寒くさえ感じる。やはり福山より北の性かなとも思っていたが、先日、こちらの人も『今年はおかしい、涼し過ぎる。』と、言っておられたので、全国的に涼しいのだ。これも地球環境の変化の性だろうか?などと、考えている内に、一眠りし、目覚めると、明るくなり霧は晴れていた。「よ~し、行くぞ!」と、「ひやむぎ」を湯がいて、外の美しい緑を眺めながらの朝食、美味しい!満足!満足!大満足!

 テントを畳み、川原へ下りて行き、カヌーを降ろす。川面までの半分の所まで運び出し、パドルなどを取りに戻ると、車が近づいてきて、おとり鮎販売の親父さん、『ここでは舟遊びは禁止だよ。国土交通省が決めてんだ。危険だからよ!』とのこと。『おかしいな?そんな馬鹿なこと、』 『氏家町の交通省で確かめてみな!』と、まで言う。まだ6時半、今から川を下ってしまえば、仕事始まる頃には、終わってるけどな!とも、考えたが、『ままよ!そんな馬鹿なこと、本当に国交省が決めてるとはけしからん。舟を浮かべようが、泳ごうが個人の自由のはずだ。事故にあうのは自分の責任だ。ごみを捨てたり、川や土手を傷つけたりすることは禁止しても当たり前だけれど、舟遊びや川下りが禁止等とはとんでもない。鮎釣りへの偏見だ!このやろう!』と、言う気分も働いて、『よ~し、クレームつけてやろう!』と、氏家町へ向かう。

 鮎販売の親父さんに場所聞いて、出れば良かったのだけれど、つい、そのまま走り出し、先ずは、役所へ行って聞こうと役所へナビをインプット。結構、距離もあり、時間もかかり、8時過ぎ役所へ着、まだ、準備中の模様。25分頃、庁内へ入れたので、まだ掃除などしていたけれど、国交省の場所を尋ね、地図を描いていただき、向かう。

 『一寸お尋ねしますけど、私はカヌーで川下りしながら日本一周をしているんですけど、鬼怒川ではカヌーを浮かべることは禁止だそうですが、事実ですか?!』少し、勢い込んでの口調になっていただろう。『いえ、そんなことはありません。自由ですよ。誰が言いましたか?』 『上平橋の鮎販売の親父さんです。』 『2箇所ありますけどどちらのですか?』 『どちらか?と、言われても、私はそこしか知らないのですけど…』 『川の左側ですか?それとも、右側ですか?』 『右岸です!』 『じゃあ、○○さんだね。』小声だったので名前は聞取れなかった。『それは注意しておきます。川で遊ぶのは自由です、どうぞ!もし何かありましたら、こちらへ連絡下さい。』と、名刺を下さった。『それ見ろ!あの親父め、嘘を言いやがった。おかげで、時間も食ったし、ガソリン代まで掛かったじゃないか。こん畜生!あの親父に言ってやらねば…』
 帰って、すぐ言えば、残った車にいたずらされても困るので、今はだまっておこう、帰りの準備が出来てから、言ってやらねば…。

 戻って、カヌーを降ろし、準備万端整えて、出発、1004:
 最初はごくごく小さな瀬、次の瀬は上から見ると、長~くまっすぐに続いている、そこら中に白波が見える。浅いし、なだらかなので、初心者にもOKだ。こんなのを腹をこすらないで下っていくと、楽しい限りだ。長~い、長~い、喜びを与えてくれた。
 次々と瀬は現れるが、水は少ない。ボトムをごりごり言わせながら、進む。もう少し水があったら、非常に良い流れなのだけど、川は時期により、日により、変わるのだから、仕方ない。
 鮎釣り師は今までのどの川よりも多い。注意しながら、進む。『どこから来たの?』 『上平橋!』 『どこまで行くの?』 『岡本の~、何とか橋』 『気をつけてー!』 『しっかり釣ってください。』と、分かれた。
 こんな人も居た。『釣れますか?』 『首と手を横に振る。』 『まあ、頑張ってください。』 『鮎が釣れないから、そちらの方が楽しそうだな~?』 『はい、これは楽しいですよ~!』と、大分離れたから、大きな声になった。そりゃーそうだ、釣れるか釣れないか分からないのに竿を振ってるよりも確実に川を下れるカヌーの方が楽しいに決まっている。日本人は何かを得なければ損だという意識が強くあり、物事を損得で勘定するから、世の中がおかしくなってしまっている。損得じゃないんだよ。物事は善悪・正邪で考えなきゃ、いけないんだ。

 また、こんな人とも出会った。まだ水温が低い性らしく、兎に角、釣り価はよくない模様だ。カヌーが通ると、『そっちの鮎、こちらへ追ってくれ!』と、言う。『もう、大分そちらへ行きましたよ。しっかり釣ってください。』と、言いながら、パドルで水面を叩く。彼らは喜んでくれた。楽しい互いの冗談だ。こんな人たちばかりだと楽しい、楽しいダウンリバーになるのだが…。
 釣り師が居るとできるだけ遠くを通る。また、竿を上げていれば、近くでも通る。こんな人が居た。竿上げていたから、割と側を通った、『あっち行け、邪魔だ!』と、言う『何言うか!あんた竿、上げてたじゃないか、だから、問題ないじゃないか!』 『わしは金払っとるんじゃ!』 『あんた!何、言うとるか!それは鮎に払らった金で、川には払らっとらんじゃないか?』相手は黙った。ついでに追い討ちを掛けてやった。『あんた!そのタバコどこへ捨てるつもりなんだ?!川へ捨てるんじゃろうが!あんた見たいな、マナーの悪い釣り師が居るけー、鮎が釣れんようになるんじゃ。川へごみを捨てるな!川を大事にしろ!馬鹿たれ!』と、つい悪態までついてしまった。興奮してるから、福山弁丸出しだ。でも、気持ちが好かった!

 また、次の所で『ここは舟は禁止だぞ!』と、言ってきたので、『そんな馬鹿なことあるもんか!川は自由じゃ!国交省で聞いてみろ!』 『わしらは金、払っとるんだぞ!』と、「2番」の番号札をこちらに見せた。待ってましたとすかさず『それは鮎への金だろうが。川の使用料じゃないじゃないか!』

 大体、カヌーにしろ、ラフティングにしろ、鮎釣り師を恐れている。へこへこする必要は無い。彼らは川から恵みを受けていながら、川で殺生をし、そしてマナーの悪さは天下一品。タバコはポイ捨て、ゴミは捨てて帰る、釣り針なども放りっぱなし。魚も鳥達もかわいそうな姿をさせられている場合がある。ただ、人の目に触れるのは氷山の一角だ。海でも、湖でも、川でも、釣り師は人間としてのマナーを守って欲しい、もっと紳士になって欲しい。
 カヌーイストやラフティンガーは皆、紳士・淑女だよね!そうだよねっ、ねっ、ねっ!

 カヌーやラフティングはガソリン燃やさないし、空き缶などもきちんと持ち帰るし、ゴミの一つも残さない(でしょう!)吸殻やゴミ、川や川原に絶対に捨てないで下さいよ~!持って帰るのですよ~!。私は確実にそうしてるけど…。
 このような自然を愛する趣味を持つ人は、自然を大事にしているけれど、自然から何か利を得ようとする人間は総じてマナーが悪く、自然破壊を平気でしている。そして、文句ばかり言い、他人の性にする。己が反省することが一番大事なのに…。

 ここ鬼怒川は数ケ所のトロ場があったが、ほとんどが瀬で数は分からない、それも緩やかな流れの、グレードで言えば1、5級程度までなので、優しい、初心者には持ってこいの川だ。
 と、思いながら、ゴールが目の前、鉄橋が見えていた頃、大きな音が聞こえる、細い瀬で水のほとんどが集まっている瀬、両側に釣り師がいる、カヌーに立ち上がって前方を見るが、しぶきは真っ白で高く上がっている、落差もありそうで、先が見えない。流れも速く、急激に瀬が近づいた。しゃあない、行け!と、一番よさそうなところから、突っ込む。行くと、大きな石がごろごろしてて、大きく階段状に、次々と落ち込んでいる。もう、シャーナイ!なるようにしかならない。必死で、コントロールするが、流れが強く、思い道理にはならない。でも、流れがここでも助けてくれて、大石に乗り上げそうになったけど、流れにくるっと回らせられて、大石と大石の間の流れにズボ~ンと滑り込み、一段下へ落ち込み無事、下まで、一気にすべり下りた。
 後ろで一人が罵声を浴びせてたけど、何と言ったか聞き取れなかった。こちらは必死で戦っていたのだから、それ所じゃない。『ごめんなさ~い!』で一巻のおしまい。突っ込む前に『行きま~す!』とか『お邪魔しま~す!』とでも大声出しておけば良かった!が、必死だったから、余裕が無かった。
 すぐがゴールだ、やれやれ!それにしても最後のところは、やばかったな~!

 1328:着。3時間と24分間の楽しい、素敵な鬼怒川を体験させてくれた。
 それにしても、鬼怒川では4名の釣り師から、クレームを言われた。今まで、どこの川でも、言われたことは無かったのに…。少々ガラが悪いのかもしれない。それよりも、おとり鮎販売所が『この川では舟は禁止だ!』など、流布しているから、釣り師が横柄になっているのかも知れない。
 自転車で上平橋へ、と言っても、帰りは自転車だから、地図がない。通った道も定かでない。土手を帰れば一番近いかも?でも、ここの土手は舗装されていない、がたがたして中々進めない、うっかり支流に進めばとんでもない遠回りにもなりかねない。では、と土手を降りて、土手の姿を見ながら帰るとしよう。と進む。ところがこれも落とし穴があることを、この前の利根川で体験済み。即ち、これもやはり、支流が流れ込んでいたら、その支流の土手に沿って進んでしまうので、全くのそっぽへ行ってしまうことになる。これ十分に気をつけないといけないことなのだ。そこで、滅多に人と出会えないけど、田畑の中に立派な農道が出来ていたので、それを走る。細い農業用の水路には水がどんどんと流れ、段差の所ではごうごうと言っている。今、農業用水が必要な時期なのだろう。

 途中の農家へ入って行き『塩谷町の「うえひら橋」へはこちらでしょうか?』 『あぁ、かみたいら橋ですね。これをまっすぐ行って、玉生(たまにゅう)街道を右へ曲がって、ずーっと、ずーっと行けば着きますよ。』
 まだ、相当の距離がありそうだ。頑張らなくっちゃ。そうだ、あの親父さんにどう言ってやろうかな!
 帰りつき、帰りの準備万端整えて、おとり鮎の親父さんにクレームを言いに行ったが、本人にしてみれば、『昔から舟は禁止だった、今、変わったのは知らない。昔は事故が起こっていたから、わしは、あんたに親切心で言ったんだよ。』と、言う。事故が多かった等と、言われて見ればそれもそうなら、親父さんが悪いのでもない。親切心だったならば、なおのこと、返って感謝すべきか? ただ、古い間違った情報を伝えないで欲しかった。また、釣り師たちに正しい事を伝えて欲しい。

 鬼怒川が終わった。次は、那珂川だ。が、その前に、近くに、名水百選の「尚仁沢湧水」があり、水も無くなっていたので足を伸ばす。
 2度ばかりお聞きして、たどり着くと、数台の車、皆さん沢山のタンクを持参、でも、湧水はどんどん出ている。全てのボトルを満杯にし、これで当分大丈夫だ。美味しい水が飲めるぞ~!
 ここでも、「日本一周」を見て、話しかけてこられた。『私もやってみたいなぁ、うらやましいなぁ!』 『あなたは、まだ、お若いのだから、やれますよ、絶対にやれます!夢を持っててください。毛利さんも子供の頃から、宇宙飛行士になりたいと夢を持ってたからなれたので、突然に降って沸くものじゃないですからね。ぜひ、頑張ってください。絶対に、出来ます。難しいことじゃありませんから…。』と、話した。

 今日はカエルアドベンチャーの斉藤さんに合えるかな?近いところだから、コンビニから電話する。道順は言葉では説明のしにくい所のようだ。行って、近所で聞けば分かるだろうと、ナビで近くまで行くことにした。
 例により、人は歩いていない、店も無い、畑仕事の人も近くには見えない。兎に角、人の姿が見えない。仕方なく、民家に入り、尋ねる。『あぁ、カヌーやってる人ね。知ってるよ。○○○へ行って××へ行けば良い。』と、お聞きする、その通りに行ってる筈だが、行き着かない。また、尋ねる。『あぁ、斉藤さんね。△△△の方だよ。○○があるから××へ。』と、お聞きし、その方向へ行く。
 さすが、カエルさんは多くの人がご存知だ、名前が良い、一度っきりで絶対に覚えられる。が、場所を伝えるに、これといった目標物がない様で、「舗装された道路を右へ折れて」とか、「T字路にぶっつかる」と、言われても、湾曲したTであったり、舗装道路へぶっつかると言われても舗装道路は沢山あるし、と、中々難しい。お聞きしているこちらも覚えきれないなど、でも、徐々に近づき、4度目にお聞きしたら、斜め後だった。

 斉藤さん、丁度、非常にお忙しがしく、いらいらしておられただろうに、ゆっくり話をさせていただき、多くの情報も戴き、貴重な「カヌーで旅する本」まで戴き、那珂川のキャンプ場までお教え戴き、大変にありがたいことだった。お別れの間際だったけど戴いたコーヒーはこれまた薫り高く、非常に美味しかった。
 もう、少々暗くなってきたので、お別れし、ナビをお教え戴いた烏山町の「境橋」を指定して走る。その橋のすぐ横に無料の「烏山キャンプ場」が有るのだ。

《烏山キャンプ場泊》

”宗さんのHPへ戻る”