日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 7月17日】

2006-10-06 05:15:30 | Weblog
《那珂川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度 備考
27 那珂川 150(内約25) 烏山キャンプ場 なかよしキャンプグラウンドの少し下 穏やかで初心者にもグー

 2日目の朝も、やはりカラスの声で目を覚ました。
 まだ、4時半だ。まどろんでいたが、今日は、帰りの山道が大変だから、早目にスタートしなければならない。夕べの残りご飯やおかずを弁当箱に詰めてはいたのだが、出発準備をし、テントを片付け、鮎つりの人と話をしていたら、時間も大分たち、『えい面倒だ!早いけど食べてから出発しよう。』と、そこで準備していた弁当の朝食を済ます。

 548:キャンプ場前をスタート。早朝スタートの記録更新だ。
 すぐに瀬に入り、爽快!爽快!「旅本」には新しい烏山大橋を超えると堰堤(えんてい)があり、左側が通行可となっているので、左側へ寄せて、進んでいく。結構な流れがあり、水量もまあまあで、気分はグー!が、この先何が、どんなのが待ち受けているか、下見していないので、少し気にはなるが、「旅本」にあるので、行き当たりばったりのこの旅、先のこと、心配しても、どうにもならない。当たって砕けろ~だ!
 ここ那珂川は、「関東随一の清流」と、言われているので、多いに期待はしていたが、それほどでもない。新宮川とつい比べてしまうから仕方の無いことだろうし、川だから、毎日変化してるのだから、記録の通りには行かない。雨の後はどうしても濁ることだから、そんな時は当然記録通りにはならない。
川の2/3を占めるヤナ
 「船戸ヤナ」に近づいた。ヤナは右岸に設置されているので、左岸寄りを、すべるように通過。
今にも落ちそうな礫岩の壁


 この、那珂川は渓谷美もうたい文句にしているのだが、砂岩に石を含んだ礫岩が多く、美しい。
 が、余り岸壁に近づくと、崩れて礫等が落ちる可能性もあるので、美しいけれども、少し離れて、鑑賞しなければいけない。事実、今にも落ちそうな石もちらほらとあるし、最近落ちたばかりの様な形跡もある。
礫が落ちた状態の分かりやすい壁
 その、礫岩の群落を過ぎると、堆積岩が現れた。長瀞峡の岩肌ほどはっきりとはしていないので、美しさには少し欠けるけれど、これもまた美しい。

 おっと!目の前をカワセミが横切った。
 川面近くに沢山の竹が生えていて、これまた、日本の美。倒竹の景観も綺麗なのだけれど、カヌーに取っては危険。竹ほど硬くなくても、葦などでも、流れの強さによっては、「はがはになる」ので、おっと漢字で書けば「葉が刃になる」ので、気をつけなければいけない。
 次々と瀬は現れるので、楽しい、気持ち良いダウンリバーだ。ボトムもほとんどこすらないし、早さも十分。初心者には、もってこいの川、比較的のんびりできる川、鮎釣り師も非常に少なく、流れはどんどんあるから、わずかなコントロールだけで、進んで行く。見覚えのある風景が突然目の前に現れ、あっ、すぐに大瀬のヤナ場だ。

 ブルーの鉄橋が見えて、間違いないことを確信し、昨日置いていた、自転車も見える。さあ、着岸。時間はまだ945。4時間程の那珂川パートⅠの終了。

 「自転車であの峠越え、きついぞ!」と、心に言い聞かせ、スタートしかけたけれど、観光案内所があり、一寸覗いて見ようと、後戻りして、山道以外に平坦な道は無いかどうかを尋ねに行く。
 所がどうも無いらしいがはっきりしない。「待てよ、まだ、10時、ついでにこのまま下の御前山村まで行けば、きっと平坦な道があるに違いない。お聞きしてみると、何と有りそうだ。川もそれほど急流でもなさそうだし、『よ~し、下まで行こう、MTBをバウにくくりつけ、バランスは大丈夫だ。』と、言うことで、明日の予定、パートⅡをそのまま続行することにした。

 1005:出発。ここ大瀬のヤナも右岸に設置され、引き込みの堰止めは川の中央を越えているし、2台のブルドーザーが川の中に入り込んで、作成中で動いているので、音も大きいが、何となく危険性も感じるので、しっかり左側によせて、瀬を滑り降りて、無事通過。
人間が立っている?実は二本足のかかし
 暫く進むと、石原に人が立ている、が、いっこうに動かない、よくよく見ると案山子だ。こんな所に案山子が立っている。案山子に間違いないのだが、足は2本ある。2本足の案山子は何だかすごく気味が悪い。案山子はやはり一本足に限る。余りに珍しいので、近寄って、パチリ。
 丁度、そこへ、国土交通省の職員お2人が、山道から降りてこられた。『お聞きするんですけど、なぜこんなところに案山子が立っているんですか?』 『鵜を追うためですよ。鵜は人間を見たら、逃げるので…。』 『えっ~?あっ、なるほど、鵜のための案山子ですか?それにしても二本足は一寸気味が悪いですね~。』 『そうかも知れませんね、慣れてなかったらね~。』 『温度測っておられるんですか~?』 『そうです。20度ですから、鮎には一寸低いですね、だから、今年は小さいし、釣り価も悪いんです。冷たいと鮎は深い所へ隠れていますから…。』 『なるほど!』それは言えるな!じゃ、浅い瀬で釣るよりも深いトロ場で釣るほうが結果が良いはずだ。ひょっとして、釣り師は知らねーな~!去年瀬で釣れたから、今年も同じ瀬へ、の程度しか考えていないようだ。「柳の下のどじょう狙い」だな。
 と、言うことは、魚は温度により、深浅を使い分けている訳だから、街中の三面側溝の川には深浅が無いから、暑くても、寒くても、逃げ込める場所が無い、魚が苦しんでても、どうにもできない。可愛そうなことだ。それに、シラサギなど鳥に狙われても、穴や深みへ逃げ込めないから、鳥には良いけれど魚には大変だ。だから、魚がいなくなり、川が死に、汚れる。合成洗剤の外に、これも川の汚染原因の一つになっている。

 あっ、またカワセミが飛び立った。ここら当たりは、渓谷の中で、釣り師も少ないので、綺麗な自然が残っていて、中々素敵だ。ゴイサギやトンビが割りと近くまで行っても逃げないでいてくれる。うれしい限りなり。
 そう言えば、今朝、お会いした、釣り師さんとの話の中で、彼は『鮎のシーズンになると川の匂いが変わるのだ。あなたは川に出ているから、感じるでしょう!』と、言われた。『あー、いえ、私は釣りをしないから、それは感じません。バードウオッチングはしますけどね。ですから、鳥が居たら、じっと見ている方ですよ。魚も見るだけですよ。』 『そうなんだ、私はきっと先祖が狩猟民族らしくて、魚でも鳥でも見たら、「どうやって捕まえようか」と考える。が、あなたは農耕民族の子孫だから、私のような考え方をしないんだ!』この考え方は正しい!肉食動物と草食動物の性格の差。また、肉好きの人と野菜好きの人の性格の差に、きちんと表れていますよ~。

 大瀬から後は、残念ながら、厳しいところも無く、緊張しなければならないところも無く、どんどん流れ、カヌーの進行方向を川の流れに、平行にさえしてしていれば大丈夫!と、言った感じで、所々に小さな渦を巻いていたり、瀬の流れが岩にぶっつかり、下手をすると岩に張り付いたりしないことも無いかも知れないけれど、そこまできつい瀬は無い。もし、そうなった時は、岩をしっかり押してやれば、楽に離れる程度だ。渦に乗って、どんな動きになるか試してみるのも、面白いので、お試しあ~れ。
 そんな流れのところもあるが、大体において、穏やかな流れなので、パートⅠよりも初心者に安心で楽だ。

 また、川原へ国交省のお方が見えたので、近づいて行くと、先程のお方とは違うお二人で、『今日、上流の烏山で、土座衛門が上がった。投網を打つ人なのだ。』と、言うことで、今朝そこを出てきたばっかりなのだ。見つけておれば、まだ、助かる時間だったかもしれない。その人達に、近くのキャンプ場の位置をお聞きし、そこに向かう。この辺りから、トロ場になり、パドリング、風は向かい風、きつい。漕がなければ、上流に押し戻される。長いトロ場だ。大分疲れてもきたので、早くゴールにしたい。
 新しい赤い「御前山橋」の手前に「なかよしキャンプグラウンド」と言うのがあり、カヌースクールなどもやっているようだ。そこに寄せていって、お声掛けすると、主さんがおいでになり、ここもキャンプ場で、他には、ここから5km位下にもある。とのこと。でも、あとまだ5kmもパドリングするのは、そして、MTBで帰る事も考えると、この辺で止めた方が良さそうだ。目の前の橋の下には、車が降りている。「やった~!」あそこに上げよう。1245:着。

 1250、MTBで帰路へ!
 腹も減ったので、途中で、「鮎塩焼き」の看板、酎ハイ500mlを飲み、昼間からの酒、疲れた身体へのアルコール、何だか、わずかしか飲んでないのに、酔いがまわったみたいで、自転車漕ぐぐのがすごくきつく感じる!やっぱり酒飲んで運動するときつい!失敗だな!でも、塩焼きも酎ハイもうまかった。きついけど頑張るしかない。
 途中で、花輪もまだ新しい開店したばかりの食堂「和泉」で昼食、美味しくて、安い昼食戴いて、記念にタオルまで貰う、『儲かっちゃた!』
 元気も出て、坂道では、立ち漕ぎ、十数回、急坂での歩きは4回も。
 でも1km位ずっ~とゆるやかな下り坂、すずしい風を受けて、すごく気持ちが良かったし、疲れも取れた。
 1610:キャンプ場へ帰り着く、『ほっ!』

 暫く、じっとして休憩、思い出すと、約30km余の3時間20分の非常にきついMTBの旅。車でカヌーを積み込みに戻る。車ではわずか50分の距離だった。
 御前山橋の所へ戻ると工事は今日は終わり、誰もいない。かろうじて横を通れるが、川原には下りられない。困ったな!と思いきや、川原から車が動き出した。やった、ついている、これで道が分かるぞ、とじっと見ていたら、ずっと先の方から上がりそうだから、そちらへ向かって移動開始。橋から400m位の所に上がってきた。2本の杭も普通車には丁度通れる幅が開けてあり、助かった。
 やっとカヌーの所へたどり着き積み込み完了。
 これもやはり、私はついている。車が上がってこなかったら、道が分らなかったのだから・・。

 ここから5kmほど下の「那珂川大橋」のすぐ近く、道の駅「かつら」の背後にある無料のキャンプ場へ向かう。
 テント設営。まだ、少し明るいので、整理しておく。夕刻、雷がなっていたが、結局、雨にはならなかったので、助かった。
《道の駅「かつら」裏のキャンプ場泊》

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