日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 7月31日】

2006-10-21 04:18:04 | Weblog
《馬渕川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
16 馬渕川 142(内約26) 諏訪ノ平駅の裏 八戸大橋  易 易だが、一箇所強烈な瀬あり

 昨夜は早く寝たので、目が覚めたら、まだ、1時前。余りにも早すぎる。そうだ、マックスバリューへ行こう。整理が出来る。ありがたいお店だ。こんな店は絶対に流行る。懸案だったメールの返事や日々の記録や写真との整合等など沢山の用事をすることが出来、朝3時頃、そうだここは八戸だ、八戸と言えば漁港、漁港と言えば早朝の活気。活気と言えば港の食堂。と、連想がつながる。
 『よ~し、今日は魚市場見学をしよう!』

 6時半頃、バリューを出て、漁市場へ。4kmほどの所、すぐ着いた。不安を押さえ、中へ入る。別にとがめる人も居ない。変な目で見る人も居ない。やれ一安心!
 岸壁で、一塊になって、人が働いている。荷揚げだ。船にランプがいっぱいついているから、イカ漁の船だ。
イカ釣り船
大活躍の女性
新しい発泡スチロール箱の積み込み >
船から、何か声を出しながら、スチロール箱を送り出している。初めは何と言ってるか分からなかったが、段々耳が慣れて、「20」「15」「30」等と言っている。同じ箱なのに、どこが違うのだろうか?と、箱を見ると、「30」「25」「20」等と書かれてあり、それにマジックでチェックが入れてあり、それを読みながら、同じ数字の塊へ積みあげている。数字はイカの入っている数、「15」は大きなイカが15ハイ(匹)入っている事なのだ。だから「30」は小さいイカが30パイと言うことになる。
 若いお兄ちゃんが150箱~200箱、ほとんど一人で船から陸へ、勿論その船の中も船倉から出している人、そこから、お兄ちゃんに送る人、陸ではそれぞれの数字の箱を同じパレットに積み上げる人、パレットに50箱づつ積み込み、フォークリフトで運ぶ人、船名と数量を記録する人、明日のための新しいスチロール箱を準備している人、等など、船が着くたびに、その人たちがグループで移動しているのだった。

 一寸小型の船が帰ってきた。じいちゃんが船頭さんだ。港に舳先(へさき)を着けて、舳先から積荷をばあちゃんが送り出している。すごい!港の女は強いと言われているが、男女平等だろうし、ひ弱な人間じゃ、このスピードと重量をそして、100箱も200箱もの連続の送り出し、少々の体力じゃやっていけない。

 服装が違い、港の仕事していない様な人に聞いてみる、『あれはご夫婦でやってるんですね!奥さん、すごいね!』と、感心して聞くと、『あれは旦那が一人で乗ってるのよ、奥さんは船が着いたら、すぐに乗り込むのよ!』 『えっ、一人で乗ってるの?では、一人で釣って大きさを分けて箱詰め、一人でやってるの?』 『そうだよ、何でも一人でやってるのだよ!』 『すごい!そりゃ、すげー、たった一人じゃ~、猛烈に忙しいねー!一人で、こんなに水揚げしたんじゃな~、すんげー!今日は大漁じゃね~!母ちゃん、力が出るはずじゃわ!今日は祝杯で~!』 『あんな大きな船でも、100箱取れない時もある、が、この人は、今日は150箱位だから、おお大漁だね!』
超大ダコ"
ビッグなマグロがずらりと
 港に次々と船が入る。今はイカが最盛期、イカ船ばかりだ。が、市場には、たら、かつお、マグロ、フグ、かに、さわら、ひらめ、たこ、驚いたことに結構沢山のアンコウが上がっている、これは箱に裏返しに入れてあり、初めは何だろうかと暫く気が着かなかった程だ。なぜ、裏返しに入れてあるかは聞き忘れた。多分、想像だけど、アンコウは体が柔らかいから、大事なキモ(肝臓)をつぶさないためだろうか。

 車が魚置き場にバックで入って来る、荷は勿論、魚。ここの港じゃなく、他所の港で、近海漁をした船からの水揚げを運んできたようだ。イカ以外の色々な魚が運ばれてくるので、市場がにぎやかになる。アジや秋刀魚も少々いる。大きな「時無しの鮭」も結構いる。こいつはうまいんだよね~。刺身が抜群にうまい。川に上った鮭はえさを食べないから、身が細り味が落ちる、が、海の鮭はしっかり食べて、川へ上る準備をしているので、栄養たっぷり、油が載ってて、すごくうまい。一度食べたら、忘れられない味、福山でも探せば手に入るが、「おいそれ」とはいかない。以前、魚の卸元さんに直接お願いして、食べたり、他人に贈ったりしたが、すごく喜ばれた。値段も少し良いけど…。
 その後、せりが始まり、独特の声、独特のしゃべり、ましてや津軽弁(南部弁?)、何を言ってるか、数字でさえ分からない。暫く聞いていたが、邪魔になってもいけないので、去ることにした。

 目の前の、市場食堂へ行き、朝食を…。朝から、イカ刺定食など食べたのはひょっとして、初めてかもしれない。会計は500円也。安い!ありがたや、ありがたや。
 今度は函館か、小樽の港食堂で、イクラ丼やうにの山盛り丼の朝食に、ありついてみたい。テレビで見た、あれだ!

 さて、今日は馬渕川。大橋に帰り、テントを収納、MTBを川原の木に結わえ、上流へ。南部町の諏訪ノ平駅の裏、カヌーを降ろし、準備万端、OK! 一昨日、お願いしていた桃畑の横の所へ車を置かせて頂き、川面へ。と、言っても、ここは道から6m程ほとんど真下へ、急勾配をすべり降ろす。
出発地から見下ろす馬渕川 >
 前の流れは、岩がそちこち、あちらこちらに顔を出しているので、中々難しい出発地なのだ。

 1012:スタート。ここの岩だらけをクリアーすると後は問題なし。県道134号線の橋をくぐり、3km位下ると、堰があるとのこと、堰はポーテージしなければならない場合が多いのだが~~、水の落ちる音がする、見ると泡立ちが見えない、水平線が綺麗だから、問題の堰のようだ。が、今日は水量があるので、堰の幅全体から流れ落ちている。これなら問題ない筈だと、一気に突っ込む、GOOD!簡単に滑り降りた。わずかだが、こんな時が快感を覚える一時だ。
 暫くトロ場が続く。カモがいる。二羽が木の枝の陰に隠れている、こちらを見ている、おっと、面白い!今日はまたまた面白い光景を見せてくれた。それは、一羽は、逃げようか、隠れていようかと、うろうろ迷って、不安そうな目、もう一羽は顔を低くし、嘴まで水面に沈め、身体も幾らか沈めているように見える。水に隠れようとしている風情、このカモの目は比較的落ち着いて見える。カモのこんな目つきや姿、始めて見る事ができた。身を隠すこともするんだ。水とんの術だな。

 オニヤンマが先ほどからカヌーに止まる。写真を撮ろうとすると、逃げる。また、近寄って止まる、カメラ、逃げる。近寄る、逃げる。エイ、もう、止めた!
 水音が聞こえる。瀬だ。小さな瀬で浅いので、少しボトムを擦った。この程度はいつものこと。
醜い光景だ!
醜い光景Ⅱ
 どこの川でも見る風景だが、増水したときに、ゴミが流れる、それが回りの木に引っかかり、ぶら下がっている光景、誠に汚い。ビニール系が当然の多い。その、醜い光景2態。
 でも、水面に近いところで無く、ずっと上の方は緑が多く、時に露出した岩とが見事な景観をあらわしてくれることも多々あるのですよ~。
山の上は緑濃く美しい
 また、トロ場、左のうっそうとした大きな木からゴイサギが6羽飛び出した。続いて、数羽、続いて、いや、一斉に次々と飛び出した。右岸の木からも、飛び出した。なっ、なっ、何と150羽位が飛び出した。ゴイサギのコロニーだったようだ。150羽が一斉に同じ方向へ飛んでいる姿、中々壮観。見事な光景!これも見ることは珍しい。
 今度はカワセミだ。左岸から、一羽が50mほど先へ飛んで逃げた。続いて2羽目がやはり50m先へ逃げる。また、3羽目がその先へ逃げた。カヌーが下って行くので、また、川下へ逃げる。次々と3羽が皆、同じように、川下へ、川下へと逃げる。また、近づく、また、逃げる。面白いと言うか、当たり前だけど、鳥にして見れば、危険なものから離れようとするから、川下へ逃げるが、こちらは川下へ進んでいる。当然、また鳥は逃げなくてはならない。数回繰り返すと、川から離れて、陸の方へ逃げて行った!

 珍しく、雀が川辺にいた。雀は人家の近くにいるものだが、川筋での雀は珍しい。
 燕はよく川でも見る。が、今日のツバメはこれまた、珍しい行動。ツバメは普通、飛んでる虫を捕まえるのだが、水に落ちている虫を捕らえたのだろうけど、水面に3回も接して飛んで行った。3匹の虫をくわえて、巣の子供に持って帰った様だ。子供達への餌やりも見たくなった。3匹の子供に食べさせるのかな?それとも口を大きく開けた子に全部食べさせるのかな?キット後者だ。大きな口を開けたものが勝つ、これが自然界の掟・姿なのだから。
 それとも、水を汲んで子供に与えたのかな?それとも、自分が水を飲んだのかもしれない。

 大きな音が聞こえる。ゴーゴー言っている。これは少々の瀬ではないぞ~!やばいぞ~!立ち上がって様子を見るが全く先が見えない。水が白くはねているのは見えるが、先がさっぱり、見えない。落差が大きいので、見えないのだ。こいつは、100%ヤバイ!陸へ上がって見なければ、いけない。右岸に、川漁師さんの桟橋があり、そこから上がれた。
ヤバ~イ流れ!
真近では
 上に道路があり、瀬の上側近くへ行く、木陰の間から全ては見えないけれど、何と何と、これはスゴイ・ヒドイ、大きな岩がいっぱい突き出していて、それに水がぶち当たっていて、大きく白くなってはね上がり、岩はあちこちばらばらになっていて、通路は無い。コース取りが難しい、誠に難しい、暫く見て、『よ~し、あの、小さいしぶきと右の大きいしぶきのあいだを抜けて、下の岩の間を抜ければ、後は、何とかなるだろう、大丈夫、よ~し、あのコース!』と、決めて、行くことにした。道路沿いには「八戸水道○○」と看板が掛かっていた。

 カヌーに乗り込み、小さいしぶきと大きいしぶきを立ち上がって探すが、下からでは見えない。これでは駄目だ。』と、流れに抗して、川上へ戻る。流れながら、もう一度探すが、やはり見えない。『こいつは、やっぱり、ヤバイな~!あまりに岩が大きすぎるし、多すぎる。駄目だ、ポーテージしよう!』と、左岸へよせた。

 ここはもう少し水が少なければ、岩ばかりの所、担いで下りるしか出来ないだろう。逆に、もう10センチ水が多ければ、どこかに通れる場所が出来るはず。

 ここからはゴールまで瀬はほとんど無し。パドリングのみ。馬渕川は全体的に瀬が少なく、少ない流れのトロ場ばかり、兎に角、漕いだ。漕いだ。やっと、鉄橋と大橋が重なって見え出した。ゴールだ。
 橋をくぐって、右岸に数段の階段があったのだ、が見えない。斜め護岸だから難しいのだけど、早く終わりたい一心で、小さな木が生えている所へ強引に上がった。
 実は、ここから100mほど下流に予定していた階段はあった。

 1012:スタートで、ゴールが1627:だから、6時間と15分の奮闘、最長の川下りとなった。ここでは、鳥たちの新しい、珍しい生態を見せてくれたと言う大きな・大きな収穫があった。うれしい!実に、楽しかった!

 1時間26分でスタート地へ戻り、準備していると、軽トラが来て、話しかけてこられた。『どこから来た?』 『福山です!』 『おぉ、福山か?福山は行った事がある。昔、トラックに乗ってたからな、広島も行った。40年トラック乗っていたからな!』 『基地はどこだったのですか?』 『八戸!』 『じゃぁ、魚、運んだんですね。』 『ほとんどがね、それとか○○!』 『えっ?』 『漁具。船が置いて帰ったのを持って行く。』 『あぁ、なるほど!』等などその他、色々な話がこんなにスムーズには出来なかった。申し訳ないけど、度々聞き直す。それでも分かりにくい事がある、その時は仕方ない、分からないまま、話は先へだった。

 写真を撮らせて頂き、名前をお聞きする。『私はムネカタと言います。親父が弘前の生まれで、おじいさんが八甲田遭難事件の捜索に行ったのです。この辺に「宗片」の名前はありませんか?』 『無いな~、おじいさんが八甲田の捜索隊?』 『えぇ、弘前隊でした。お名前お聞かせいただけますか?』 『さわぐち!』 『沢口靖子さんの沢口さん?』 『そんだ!』一件落着!
沢口さん
 遅くなった。今日も同じ大橋の下で寝よう。そして、早めにマックスバリューで世話になろう。今日はたっぷり漕いだので、ご苦労ぶりに、カツオの刺身、四分一だ、どさっり有るぞ!300円でお釣りが来る値段。マックスは、ありがたい。後は、冷奴に蒸しナスにしよう。
 蒸しナス、と言っても、蒸し器を持ってきてる訳じゃない。以前、水に漬けて蒸しナス風にしたら、何だかやはり美味しくない。キット、美味しさが水に逃げるからだろう?では、どのようにして、蒸しナスを作れるか?と考えた。私は現在、川辺にいる。川には水がある、砂もある、小石もある、草もある、時に木切れもある。何かをどうにか利用したらきっと出来る。あなたなら、どうする?
 「考え中!」「考え中!」「考え中!」
 私はこうした!鍋の底に石を並べ、水を入れ、なすを石の上に置き、熱する、石がナスを水につけない中敷の役目をしてくれる。美味し~い蒸しナスのでき上がり~!
《八戸大橋泊》

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