

岩の上、まわりは海よ、
潮はみちる。
おおい、おおい、
沖の帆かげ。
呼んでも、なお、
とおく、とおく。
日はくれる、
空は高い、
潮はみちる・・・。
(もういいよ、ごはんだよ。)
あ、かあさんだ。
いすの岩から
いせいよく、
お部屋の海に
とびおりる。
日本語は世界で一番むずかしいという人が多い。
ひらがな・カタカナ・漢語・呉語・和製英語・英語・ポルトガル語・ハングル語いろいろミックスされた「言葉のミックスジュース」のような、日本語。
そして、こんな狭い日本なのに「方言だらけ」
日本人の遺伝子は本当に受容能力が高い。
けれど、あり余る言葉の中で、本当に人間を感動させるのは言葉の葉を削いで、削いで、小学校1・2年くらいの表現方法がとってもすてきだといつも思っている。
誰もが、幼いころに椅子や机に上がって、この詩のような体験をしているだろう。
私の一番下の弟は、2階の窓から風呂敷をマントにして「飛びたい!」といって、ほんとうに飛び降りそうな気配でした。びっくりして2・3度止めたことがあります。
子どもというのは現実と空想の境目がまだできていません。
そんな子どもの世界のひとこまを、この詩は、ものの見事に表現しています。
金子みすず・西条八十・北原白秋・野口雨情のすばらしい唱歌から軍歌に変わった、 昭和の15年間。金子みすずが亡くなったのは、昭和5年満州事変が
勃発する前年であったようです。
私は今、ほんのひととき、先人のすばらしい遺産である
日本人のこころのお宿を探訪しています。