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川柳・ボートっていいね!北海道散歩

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虫の音に・・桐ひと葉 E

2008年02月09日 | 川柳
    火事とけんかは江戸の花・・江戸っ子だってねえ!鮨くいねー!!

    幼いころから、何度も耳にしてきた時代劇の「名ぜりふ」である。
 
 元禄時代は、大衆文化の宝庫である。私たちが今、娯楽として楽しんでいる「カラオケ」なども、ルーツは三味線を爪弾きながら、または鼻歌交じりで手拍子で歌った当時の謡曲・小唄・新内・俗曲などと呼ばれ親しんできた庶民の「流行歌(はやりうた)」の延長線上にあるのではないでしょうか。

 今も、歌謡曲・ポピュラー・Jポップス・などといつの時代も新しい造語と慣れ親しんでいく器用な日本人がここでも垣間見られます。

          むしの音に(江戸小唄集・千種より)

   むしの音を とめてうれしき 庭づたい あく紫折戸(しおりど)に
   桐ひと葉 憎らしい秋のそら 月はしょんぼり 雲がくれ

 恋しい主さんを今日も待っている。身請けされた俗にいう囲われて奥座敷に住む、元遊女の心情を歌ったものだそうです。

待つだけの身の上に、外の紫折戸(小庭の入り口に竹で組み込まれた小さなしきり)を行ったり来たり、虫が鳴いている小庭の中をも裾の風と下駄の音で虫たちも鳴き止んでしまう。

あー!主さんが来たんだわ!と、紫折戸をあけて迎えに出ると、なーんだ・・桐の大きな葉っぱが、カサッと落ちた音。

アーあー憎らしい秋の空。あーあーがっかり、今夜は来ない主さん。お月さんも雲に隠れてしまったわ・・。

   花柳界では、この歌が大好きな昔の芸妓さんたちが多いと聞いています。

 私も15年ほど前に、「小唄から女性史」を学びたくて、「素人さんには教えたことがない」という、函館で一番偉い芸者さんに、無理を承知で、三味線の本調子に合わせ、いろいろな種類の小唄を毎月5日間、続けてさらいに(習いに)伺わせていただきました。

 一回一時間、お師匠さんは三味線の手を緩めることなく、右手が腱鞘炎にかかっているにもかかわらず熱心に指導していただきました。

     背筋はピンと!正座で習います。(足がしびれて困りました)

 「この虫の音はねー・・芸妓が大好きな唄なんだよ・・よーお!シャンシャンシャン・・よッ!虫いいいのおおおおおおおねえええにいいいいい・・」と謡いはじめるわけです。
 
 なぜ、芸妓さんに人気があるかといえば、それもそのはず、やっとつかんだ遊女の射止めた主さんとは相思相愛、その「幸福感」が、たっぷり表現された繊細な女心が美しく描写された小唄だからなのでしょう。

私が小唄をやめた時は、お師匠さんから「このくらい覚えたら・・もういいよっぉ!どうせ芸者になるわけじゃなし・・、でも今まで教えた弟子の中では・・あんたが一番覚えが良くて・・筋がよかったねっ!」と、お褒めの言葉までいただきました。

 芸者さんになれなかった、私ですが・・・、芸で生きる女性のプライドとたくましさも教えていただいたような気がします。

    いずれ、「小唄からのぞく女性史」を、書きたいと思っています。

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