民家が取り付けた防犯カメラを撤去するよう命じた判決がありました。
日経の記事はちょっとわかりにくいので以下に要約します。
2024年3月17日 日本経済新聞朝刊(Web閲覧は日経に会員登録の必要あり)
撤去請求訴訟 隣家のカメラ、我が家凝視
「常に軟禁されている感覚」 「異変」の犯人捜し計5台
要約
一戸建ての山田さん(仮名)の家の前に油が撒かれていることが何度かあった。
山田さんは隣の竹内さん(仮名)が撒いたのではないかと思った。なぜなら、
竹内さんが2階のバルコニーで家庭菜園の作業をしている後に油を発見することが
多かったから。
山田さんはその後竹内さんに声を掛けて、家の前に油が撒かれたことについて
被害届を警察に出すことについて了解を求めた。竹内さんは身に覚えがないので、
お好きにどうぞ的な返事をした。山田さんは警察に被害届を提出後、防犯カメラを
5台取付けた。
しばらくして、竹内さんは山田さんが取付けた防犯カメラがいつも自分を監視
していることにより精神的に追い込まれて2階のバルコニーでの家庭菜園ができ
なくなった。そして竹内さんも逆に警察に相談をし、警察からの指示と思われ
るが山田さんは竹内さん宅全体が映るカメラ1台を撤去した。
それでも竹内さんは精神的なダメージが回復しないので、山田さんの取付けた
残り4台のカメラを撤去するよう裁判所に訴えた。判決は、山田さんに防犯カメラを
撤去することを命じた。
判決理由として、竹内さんが2階のバルコニーに上がって家庭菜園の世話をして
いる映像だけで、油を撒いている映像はない。
防犯カメラが撮影した映像も肖像権として扱い、過去の最高裁の判例で
「人は、みだりに自己の容貌等を撮影されないということについて法律上保護
されるべき人格的利益を有する」、また、「人は、自己の容貌等を撮影された
写真をみだりに公表されない人格的利益をも有する」として肖像権を認めている
ことに準じた判決と推察される。
防犯カメラの映像が肖像権やプライシーの侵害の恐れがある例を説明します。
1. 戸建て住宅の場合、人の出入りが映る、干している洗濯物が映る映像。
2. 集合住宅では、撮影は共有部分に限り、各戸の玄関や洗濯物が映る映像。
マンションの駐車場やエントランス等の人の出入口、通路を映すカメラでも
各戸の出入りが映る場合は避ける。どうしても映る場合はカメラのマスキング
という機能を使って隠します。
3. 防犯カメラの設備を適切に管理しなければなりません。これは一般宅、管理組合、
法人も同様です。特にビデオレコーダーにパスワードを設定し、責任者や担当者しか
操作できないようにする、家庭で導入したカメラでも世帯主しか操作できないように
する必要があると思います。他の家族や友人に録画した映像を見せることもだめです。
マンション管理組合では、防犯カメラの運用についての細則を用意し、理事長ほか
数名の任命担当者以外は設備の操作をしてはいけないことにします。
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