Max Rod Craft Blog

Max Satohの工作に関するブログ

Spey Lineを考える・・・Spey Rodについても・・・

2019年02月10日 | Rod Craft

最近、ダブルハンドロッド用のシルクラインについての問い合わせをいただいた・・・作れるか?・・・と・・・作れんもんはあらへんけど・・・どんなラインが欲しいの?・・・???・・・

いわゆる・・・スペイライン・・・と呼ばれるものだ。  スペイという言葉はスコットランドの川の名前だそうで、そこでアトランティックサーモンのような大きい魚を釣る釣り方から来たようなことが、どっかに書いてあった。

それで、ダブルハンドキャストだとかスペイキャストだとかについて調べてみたんだな。

う~ん、竿が長いだけで、ワシが昔やってたシンキングラインのキャスティングと同じだな・・・と感じた。

ワシにも、シンキングタイプのWeight Forwardラインや、シンキングタイプのシューティングヘッドに楕円のシューティングラインをつないで飛ばしてた時代があったな~・・・ 加賀FAなんかで・・・

その時のラインをピックアップするときの原理が、そのスペイキャスティングと全く同じなんだな。

フローティングラインなら、水面にあるラインをそのままロッドでバックキャストに持っていけるんだが、シンキングの場合はラインが水中に沈んでいて、そのままバックキャストには持っていけないんだな。  とにかく重い。  だからフォルスキャストやフォワードキャストに持っていく前に、水中のラインを空中に出さなきゃ前にも後ろにもキャストできない。

そこでワシがやってた方法は、何回かロールキャストをダミーで繰り返し、ラインが水から出たころ合いでバックキャストに移り、前にシュートする・・・てな感じでやってた。  または、左右にロッドを大きく振り、ラインを水面に浮かしてからロールキャスト・・・てな感じ・・・ダブルスペイとかスネークロールとか言うんかな・・・バシャバシャとね・・・

デッカイ魚を釣るにはそれなりに太くて長いロッドが必要になるのは当然のことだね・・・釣れた時のことを考えればね・・・

12フィート、13フィートというロッドは、もし竹で作ったロッドだと重くて一日振り続けるのはワシなど年寄には無理。  もちろん両手じゃないと投げられるもんじゃありゃしません・・・だからダブルハンドロッドになるんですわ。

そんな重い竿振り回すくらいならルアー投げてる方が、体の負担はじぇったいに少ないはずだ。

だが、フライフィッシングでフライでサーモンを釣りたい、という釣り師は五万とおり、スペイフィッシングという世界がすでに出来上がっておるんやね。  しゃ~ないね・・・

そこで、スペイロッドとスペイラインについて更に調べてみたんやね。

だいたいスペイロッドの番手ってどうなってるん?・・・こうなってます・・・無茶苦茶になってます・・・

下の表はAFFTAという組合が標準として決めたラインの決まり・・・昔はAFTMAという組合が作った表を使っていたが、シングルハンド用のラインはそのままAFTMA規格が使われている。  AFTMA規格ではフライラインは1番から10番までで、それ以降はサーモン用のラインとされていた。

AFTMA=American Fishing Tackle Manufacturers Association=全米釣具製造組合

AFFTA=American Fly Fishing Trade Association=全米フライフィッシング取引組合  

スペイラインちうのは、そらもう様々なものが作られていて、番手表示が付されている。 ところが、ロッドを作る側からすると、xx番ライン用ロッドといういい方をするには、スペイラインの世界では、もう無理な状態になっておるんだな。  よ~く見てちょ・・・

  

この表のおかしなところは、右側にあるスペイラインの表で、左端にあるライン番手に対応するスペイラインは、H,S,M,L と一つではないんだな。 ましてや、同じ番手#が付いていても、H,S,M,Lのラインの重さが異なるんだな。  

ロッドメーカーは一体、どのタイプのラインを前提にして作ったロッドに番手を表示することができるんやろ?  無茶苦茶やね。

大体ロッドは、一定の重さのラインを飛ばすことを前提にしてロッドテーパーを決めて作るのが常識・・・もちろん、一定の幅は持たせてはあるのだが・・・

ところがAFFTA規格ってやつは、同じ番手のラインでもラインタイプが違うとヘッド重量が、みな違う。  

例えば、番手#7のスペイラインを見てみよう。

ショートヘッドHの#7は、19.5グラム(40フィートで)、ショートベリーSの#7は30.5グラム(55フィートで)、ミディアムベリーMの#7は33.1グラム(65フィートで)、ロングベリーLの#7では42.2グラム(80フィートで)が標準の#7を名乗る。

これじゃ~、何番手用ラインのロッドです、という世界はなくなってしまう。

例えば、ロッド設計で、30グラムのラインをちょうどよくキャストできるものを作ったとしよう。  さて、このロッドは何番手のラインを使えば良いのでしょう?

こんな風にロッド側で表現しないと、ロッドのお客様は大混乱をきたしてしまいます。

このロッドは

ミディアムベリーMの#6ラインをWeight Point 65フィート位まで出して使う
ロングベリーLの#6ラインを約60フィート位出して使う
ショートベリーSの#7ラインを約55フィート位出して使う
ショートヘッドHの#10ラインを約40フィート弱出して使う

・・・ためのロッドです。  

この場合、一体ロッド番手ってのは何なの?・・・

ライン番手ってのはロッド番手と対応していなければ、お客さんが大混乱するじゃないの!

どうすべきかは、最後に教えてあげるとして、スペイラインの現状を見てみよう。

下の図は、いろんなサイトからパクってきたスペイラインの種類を表している。  いろいろあるね~・・・

Traditionalというのは、シングルハンド用WFラインと似ているので問題はないが、ラインのテーパー付けはシングルハンドとは異なっている。 

Scandinavian(Scandiと略)タイプは、まさにスカンジナビア半島でよく使われている方式で、シューティングヘッド。  アンダーハンドスペイキャストってのは、このラインに対応している。

RageというのはAirfloというメーカーのシューティングヘッドで、短くてRageな(荒くれな)シュートをするためのもの。 Scandiよりも短い。

Skagitというのはアメリカのスカジット川で使われれる、短めのシンキングチップで重いフライ を投げるためのシューティングヘッド。 流れが速いので早くフライが沈むように工夫されている。

こんなにいろいろなタイプのスペイライン、シューティングヘッドがあるんよ。 

各メーカーが更に、こんな仕様表を出している・・・

Airfloの短いシューティングヘッドだけでもこれだけの種類がある。 

次はRIOというメーカーのSkagitタイプ、こちらは良心的にライン番手での表記はない。

 

 AFFTAが混乱を生成するための規格表を決め、ラインメーカーはAFFTAには従うが、いろんな種類のラインにいろんな番手を付けている。  間に立ったロッドメーカーとお客さんは、右往左往という状態ではないか。  

昔からフライの世界では、ゲージによる直径表示、NAACによる太さ表示、AFTMAによる重さ表示、が標準とされて今日まで来ている。 そこに持ってきてAFFTAが、また昔にさかのぼるような標準規格をだすなんて・・・

こうすれば混乱はなくなるのだよ。

どんな種類のスペイラインでも、

Weight Pointでxxxグラムのものはxx番とよぶ。 
ロッドはそれ(重さ)に対応した番手xx番を付す。

こうすれば、ロッドメーカーは重さでロッドテーパー設計ができるし、
ラインメーカーは自由なラインテーパーを設計できる。

そして最も大事な点、お客様は混乱なくロッドもラインも同じ番手番号で対応して選ぶことができる。

”このロッドは、スペイラインのメーカー表示で、Weight Pointにおいてxxxグラム(グレイン)のシューティングヘッド、Traditional、Scandinavian、Skagit、Rage、などのラインに最適です。”

”このラインは、xxxグラム(グレイン)を最適な負荷として設計されたロッドに適合します。 ロッド番手とライン番手が対応しています。”

とはいえ、AFFTAしかスタンダードがない以上、ロッドメーカーの方で、次のように表記しなければなりません。

”このロッドはスペイ用 Hの7番です。 ロングベリーの#7ラインは投げられません。”  とか、

”このロッドはスペイ L‐#7 650グレイン 用”   

”スペイ 7番 300~650” と書いてあるようなロッドは、愚の骨頂で、これはスペイラインのAFFTA規格をそのままロッド上に写しただけの脳味噌しかない人が作ったロッドだとしか考えられません。

 そういうことだろっ!?

今時点では、ロッドメーカーもどんな条件でロッドを設計しているのかも分からず、とにかく#xxのスペイ用のシルクラインを編んで頂戴、といわれても、何を作って良いものやら・・・かいもく分からないのであります・・・はい

 シルクラインのスペイラインをご依頼される方は、次のように依頼していただければ編むことができます。

Weight Point xxフィートに於いてライン重量 xxグラム(あるいはグレイン)、Total Head Length xxフィートのシューティングヘッド、あるいは、WFスペイラインで全長xxフィートのTraditionalスペイラインで、Total Head Weight xxxグラム(あるいはグレイン)、をシルクで編んでちょ~・・・と。

当然、ロッドの方はそれに適合するロッドであることは依頼者の責任範囲となります。

ついでながら、バンブーのダブルハンドロッドの製作を依頼されるかたは、次のように依頼される必要があるでしょう。

Scandiタイプのシューティングヘッドを投げるロッドで、全ヘッド長 xxフィート位、Weight Point xxフィート位で、ヘッド重 xxグラム(またはグレイン)のラインを丁度良く投げられるロッドを設計して作ってちょ・・・ロッドの長さはxxフィート位で・・・と。

あるいは単に、”ダブルハンドのM-#7 12フィート 510グレイン用”を作って・・・と。

AFFTAのSpeyライン標準の表は、ラインの種類を重さ別に整理したものである。  主にラインの視点からね・・・

ロッドメーカーは、単純にシングルハンド用ラインのようには参照しにくいが、表はS,H,M,Lの4種の別のSpeyラインが1表にまとまったものだと考えれば存在価値ないでもない・・・

ロッドメーカーはSpeyロッド上には、このS,H,M,Lを付したライン番号を表記するようにするべきなのである。

ただ、Speyロッドの xx番といったら、おおむねこの程度の硬さ・柔らかさというグループ感は欲しいね。 同じ7番のロッドなのにSとHライン用では雲泥の差があるってのは・・・どうもいただけないのであります。

次回はロッドメーカーの視点も入れた規格を作ってもらいたいものだ・・・ぶつぶつ・・・

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