7MHz用窓際ラド、使うことは使えていたんだが、実際に使うと無線機のSWR計が表示するSWR値がどうも定まらず、何となく自信が持てなかった。
そこで今日は、このアンテナと3m19㎝の同軸ケーブルを徹底的に調べて、自信を持って使えるようにしたいと考えた。
1.使用する同軸ケーブルを測定
nanoVNAを本体コネクタ部分で較正した。
3m19㎝の同軸ケーブル(3D-2V)をnanoVNAに接続し、ケーブル先端に51Ω抵抗(ダミーロード)を取り付けて計測すると;
R=73.2Ω、X=-493Ω SWR=1.78であった。
VNAのコネクタ部分を手で触れると;R=54.9Ω、X=-1.12Ω、SWR=1.10 となった。
手を離すと;R=55.5Ω、X=-6.73Ω、SWR=1.15 となった。
上記のケーブルに先端から1m部分にパッチンコアを取り付けて、ケーブル(w/51Ωロード)を測定;
コア1個: R=55.1Ω、X=-597mΩ、SWR=1.10
コア2個: R=54.8Ω、X=-574mΩ、SWR=1.09
コア3個: R=53.6Ω、X=-634mΩ、SWR=1.07
コア4個: R=54.2Ω、X=-705mΩ、SWR=1.08
コア5個: コア4個と変わらず
だったので、最終的にコア3個を取り付けておくことにした。
この状態でVNAのコネクタ部分に手をふれても測定値は動かなかった。(安定した)
これで窓際ラドで使う同軸ケーブルの特性インピーダンスはほぼ50Ω前後であることになる。
ただし、この同軸ケーブル3D-2Vの特性インピータンスは本来何もしなくても50Ωであるべきものなので、どうも気に食わない。 どうしてこうなるのか、もっと質の良い同軸ケーブルを使えば本来の50Ωにもどるのか、について追及せねばならない。
・同軸ケーブルを配置している環境?
・同軸ケーブルの長さ、質(損失係数)?
・計測器nanoVNAの精度あるいはVNAが出すノイズ?
・使っているUHFコネクタ(アンテナ側)、BNCコネクタ(VNA側)?
2.同軸ケーブルと窓際ラドを接続して計測;
(VNA本体基準で較正されていることを記憶されたい)
R=37Ω、X=-18Ω、SWR=1.69 @7.010MHz
3.同軸ケーブルとVNAの間にCMCを入れて計測;
CMCはトロイドFT140-43に1.5D-2Vを対面5回巻き(計10回巻き)
R=52.9Ω、X=1.97Ω、SWR=1.06 @7.210MHz (SSBならOK)
4.ラドの移動シリンダを最上部までスライドして計測;
R=53Ω、X=-811mΩ、SWR=1.07 @7.090MHz
SSBならOK、CWではSWR=2~3くらいで使えることは使える。
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う~ん、どうやらこのSRAは、周波数がちょっと高めに同調するようだ。 同調コイルの巻き数の加減が必要のようである。 キャパシタンスを+すると同調周波数が下がるんだから巻き足しが必要なようだ。 コイル長を長くすると同調周波数は下がるんだ。
で、たまたま、たばこを吸うのでガラス窓を開けたんだな。 すると・・・
5.窓を全開したとき(サッシは左に);見えている横棒は網戸の桟で、これはあまり関与していません。
SWR=3.19 @7.019MHz
↓ 映っているVNAのSWRカーブが右寄りでしょ?

6.窓を閉めた時(サッシは右に);
SWR=3.62 @7.000MHz、 SWR=1.09 @7.076MHz
↓ まだSWRカーブが右っぽいでしょ?

7.窓を半開の時、ラドの真横に窓枠(サッシ)が来た時;
SWR=1.27 @7.000MHz、SWR=2.12 @7.014MHz
↓ これならCWで使えますね!

CW用調整=窓半開の時!

今回の計測で分かったこと:
これまでSWRが安定しないので、おかしいな~っと思って使っていた窓際ラド、調子の良し悪しは、なんと、ガラス窓のアルミサッシの位置によってSWRが変わっていたためであることが判明したのでした。
今後は、逆に、CWの時は窓を半開き、SSBの時は窓を閉めるか、全開する、というように調整できるのです。 ちゃんちゃん!
それにしても、VSWRを常に同じに保つためには、周囲からの浮遊容量を拾わないような高さに上げる必要があるみたいですね。 その際の調整は大変でしょうけれど・・・
私は当面、窓際ラドで手の届く範囲の調整方法によってCWとSSBを楽しむことにいたします。 もちろん5Wで・・・
QSO:
この状態でCWのCQに応えてみました。
お相手は過去に2回もQSOしている栃木県鹿沼市の局長さんでした。 過去2回ともRST=599を頂いているのですが、今回はRST=339という結果でした。 ???
VSWRや無線機のSWR値が下がったとしても、実際に送出されている電力は下がっているのかもしれませんね。
・CMCの挿入、パッチンコア3個を取り付けていますので、電力損失による出力低下???
・あるいは電波伝搬の状況???
・あるいは過去のRST=599はラバースタンプかお世辞RSTな???
その次の日:
CMCを取り外し、元の状態で調整してQSOをしてみました。 信号強度はCMC無しの方が強く感じます。 RST=559を頂きました。
パッチンコアとかCMCとかは、挿入すると何某かの伝送損失があるように感じます。
まだまだ完全攻略というにはほど遠いのかもしれません。
また元にもどしてQSOを試みましょ!