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Max Satohの工作に関するブログ

投網考  投網を設計するとはこういうこと?

2015年12月28日 | 投網

投網を自分なりに作る、あるいは、自分なりに構造を理解する、とか、大きさや形を設計する、とかいうことはどういうことなのだろうか?

まず、投網の大きさ・・・どうやって決める?

投網の大きさを表すものとしては以下のものがあります:

丈(たけ):  つるした時の縦の長さ、網の上部から錘(おもり)まで。

直径:     拡がった時の直径。 直径は丈の2倍を超えることはできません。  真平らに拡がる投網の場合の直径は丈の2倍ということになります。

裾回り:    拡がった時の裾回りの長さ。 

以上は概括的な投網の大きさになります。

さらに、どんな魚を狙って投網を投げるのか? ということから

目合い    網目の大きさについて節(せつ)、という単位で表す・・・を決めます。

節(せつ)  とは、網目を縦に伸ばした状態で、15.15㎝(五寸)の長さの中に、結び目が何個あるかを数えて、その数を、節(せつ)といいます。  その際、両端の結び目も数の中に入れます。  したがって、網目としては、(節数-1)、の節間(ふしま)があることになります。  

この節間の1つを半目(はんめ)といい、半目が2つで1目となります。

網を編む場合は、上の半目に次の列の半目を結びつける、というように編むことから、編むための単位が半目になります。

さて、魚の大きさから目合いを決めると、半目の長さが決まります。

たとえば、獲りたい魚が、鮎(中)とかキス(大)、ウグイ(中)、フナ、などであれば、11節~12節の網を選ぶことになります。  12節の場合、半目は、15.15㎝÷(12-1)=13.7≒14㎜ ということになります。  計算上、胴回りが28㎜(14㎜x2)以上の魚なら捕えられるということになります。  それ以下の魚は網目をすり抜けます。

また、魚を選ぶことで、網を編む糸の太さも概ね決まってきます。  12節の場合、網の上部(ソラ)に1.5号、下部(オケガワ、袋)に2~3号、といったようになりますが、糸の太さにルールはありません。 細ければ切れやすいが、網は拡がりやすいわけです。  狙い以外の大物が入った時のことも考えて置かねば、大物に網を切られることもあり得るわけですね。  逆に、上部は拡がりやすさを考慮して1号ということもあり得るわけです。

投網の先輩達は、ソラは細く、総目は太目に編むようです。

さて、と・・・目合いを決めたら、次は網の大きさです。

投網を投げたとき、きれいに丸く拡がったことを想定して、どのくらいの直径の網がいいのか、これは自分で決めることになります。

目標の直径を決めると、計算で目標の裾回りの長さが決まります。  おなじみの算数の公式、

円周長さ=直径 x 3.14   で計算します。

岩綱の長さはこれに合わせることになります。

円周長さが決まると、計算で裾回りの目数を決めることができます。

裾回りの目数 = 円周長さ ÷ 半目の長さ

ちょっちょっと待って・・・なんで半目の長さで割るの?

クリックして拡大してください。

この図をよく覚えておいてくださいね。  節の考え方は、網目を横に目いっぱい伸ばしても同じなんですね。  縦に12節なら横でも12節なんですね。

後で丈のところでも関係してきます。

クリックして拡大してください。

丸く拡がった時の網目の状態を想定してください。  目いっぱい横一文字に開いているのか、80%開いているのか、40%なのか・・・

網目は横に拡がると、縦の長さが短くなるという宿命があります。  拡がりを横に目いっぱいとした場合、網の縦の長さがグンと短く縮んでしまうことになります。

そこで、拡がり具合=網目の50%と前提すると、これは正三角形の1辺(底辺)=半目の長さと同じになります。(上の説明図を見てください)

これで、裾回りの目数が何欠(目)なのか、が決まります。  欠は目を横に数える時の単位で、目と同じ意味です。

自分で編む場合には、目標の目数が決まりますし、原反を買って作る場合には、その大きさも決められます。

さて・・・と、裾回りの長さは決まったけれど、丈はどうやって決めるのでしょう?

投網は拡がったとき、理論上、円錐形になります。  縦長の円錐形もあれば、平べったい円錐形もあり、どちらも同じ裾回りの長さを持つことができます。

では、投網の形状を決めましょう。  

浜辺や浅い湖沼、川などでは、瀬打ち という平べったい形状の網を使うようです。 深い場所で打つ場合は、釣鐘型、その中間は標準的な型、という程度の区別はありますが・・・

次の図は、ワシが編んだ米式Cast Netの設計図です。

クリックして拡大してください。

図を見ると形状が良くわかります。

図中、赤い三角形の形状を目標とすると仮定すると、各段の丈の長さ、各段最上部での欠(目)数、段内での増やし目(出し目)の数が下の表のように計算できます。  この網は8節(半目21㎜)です。

クリックして拡大してください。

各段の節数は25で、24列編むことになります。  50.4㎝(丈)x10(㎜に変換)÷21㎜(半目)=24列

24列編む間に120欠の目を、増やし目、または、出し目して、目数を増やしていくわけです。  4列毎に20目の出し目、6列毎に30目の出し目、8列毎に40目の出し目、12列毎に60目の出し目、24列毎に120目の出し目、いずれの方法でも、24列の中で120目が増えれば良いわけです。  

この表に沿って編んでいけば、形状図の赤い三角形の投網が編めます。  ただし・・・投網が開いた場合、丈は理論値の1.7/2 (85%)に 小さくなります。  目いっぱい開いた場合、錘ラインは目を50%開く状態で長さを決めている筈ですから、錘ライン以上には開きません。  この際の直径は、丈の縮む分だけ小さくなるわけです。  目標通りの直径にしたいのなら、この縮みの15%分だけ段数を伸ばさねばなりませんね。 

形状を変形させてお皿を伏せたような形にしたい場合は、図の上で、横方向の長さ(緑の矢印)を測定し、半径との比率を計算し、裾回りの目数に掛ければ、各段での目数を調整できます。  半径の半分ならその位置の目数は、500欠の半分の250欠、ということになります。  その次の段との差が、増やし目の目数となります。

2450円で買った投網はどうなっているでしょう。

下の図が、展開した絵になります。

クリックして拡大してください

12節の原反をつなぎ合わせて作ってありました。

1段目は12節200欠、丈は80㎝、2段目は12節400欠、丈80㎝、3段目は12節800欠、丈80㎝で、やや裾広がりの形状です。  直線的な円錐形なら200欠,400欠,600欠と増えるはずですね。  一方、2段目以下は、400,800,1200 と等比級数になっていますので、直線的です。

図で見てみましょう。

クリックして拡大してみましょう

4段目は総目(手取りより下の部分)となり、12節1200目、丈は1mです。

5段目に12節1200目で、90㎝長の部分があり、ここが袋となるように、吊り糸(つりそ)をつけてありました。  つりそはほとんど長さがありませんので、丈は、80㎝+80㎝+80㎝+1m=3.4m ということになります。  

ワシの考えでは、この1段目は不要なのではないでしょうか。 やたら丈が長いので扱いにくいんですよ。  ここまで開くこともないし・・・1段目はカットして原反として他の用途に使えますしね。  いつかカットしてしまいましょう。

錘の重さについては、自分の体力と相談して投げられる重さを選べばよいでしょう。

 

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