船体のグラッシング(Glassing)の前に、いくつか検証しておかねばならないことがある; それは
・コニシボンドE206W(冬用)の具合
これは冬用、つまり、寒い時期の気温に合わせて製造されている筈だ。 今の5月の気候下で、どのように反応するのか・・・知っておく必要がある。
作業時間はどれほどか(冬で55分程度とされている)、硬化時間はどれほどか、量と塗装可能面積の関係。
その前にE206自体がどんなものなのか・・・粘度(塗りやすさ、拡げやすさ、臭い、固まり具合、など)
・グラスクロスの扱い
丸い部分へのカットの仕方、ヘリの処理の仕方、など。
そこで、強度や割れが気になっていたパドルを練習台にグラッシングしてみようと思った。
E206の調合
質量で主剤2に対して硬化剤1、とあるが、Aboutで紙コップを横から見た目分量で調合。 硬化剤の匂いは独特だ。 下水のにおいに似ている。
主剤の缶からは微量であるが、液体が漏れ出ておった。 車で運んだりしたからか、缶入りでも漏れ要注意だ。 主剤は、キッチンで使う小さめのお玉ですくって紙コップに入れる。 硬化剤はボトルが小さいので、ボトルから直接紙コップに入れた。 割りばしで混ぜ合わせ、1~2分落ち着かせる。
お玉の掃除は、ティッシュで拭くだけ。 もちろんゴム手袋をして行う。
ブレード部のグラッシング開始
作業台に2本の角材を置き、接着剤が落ちてもワークを汚さぬようにする。
パドルのブレードの上に、カットしておいたグラスクロス(110g/m²)を置く。
クロスは、1枚は2㎝程度幅を大きめに、もう1枚は5㎝程度幅を大きめにカットしておいた。 最初は小さい方から始め、乾燥後、表面等を調整した後、反対側から大きめのクロスで包み込む予定だ。
やってみた感じでは、あまりにサイズ通りにカットすると、カットしたところはクロスの繊維がほずれてくるので、大きめにカットしておく必要がでてくる。
クロスの上に接着剤E206を適量垂らしていく。
垂らしては拡げる作業を続け、できるだけ均一になるように広げる。 この時の拡げ方が大事のようだ。
あまり量が多いとクロスの繊維が見えないほどになるし、量がすくないと白いクロスがくっつかない。
コツは、表面はクロスの縦横の網目が見えている程度が良いらしい。
E206の粘度は、水平面または緩傾斜に置いて作業するには適度だと思う。 急斜面、縦面だと液だれして下の方に接着剤が溜まってしまうはずだ。
最も大事なのは、均一に拡げ、かつ、クロスが浮かないように接着すること。
こんな感じ
ブレード側面は、こんな感じになってる。
繊維が立っちまう
カットしてから側面を丸めて接着、というのはうまく行かない。 短繊維が写真のように立っちまうのだ。
角のグラッシングは特にノウハウが必要のようだ。 ある程度乾燥が進んだ頃合に、も一度抑えてくっつくか、見て見よう。
反省として、先にテープか何かでクロスを固定しておいて、接着剤を広げるだけにできるような、そんな段取りが必要なようだ。
どれ、乾いたかな・・・見てこよう・・・
(経過観察)
目分量で混合した所為なのか・・・2時間経ってやっと液体がジュレ状(べとつく様)になってきた。 この粘度では積層に使うにはもう無理だが、乾燥という意味では55分では固まらない。
もともとE206は、注入して固まらせることを目的として製造されてものだが、平面への積層という意味では自分で実験しながら使い方をマスターせねばならない。
コーナーの接着はクロス引っ張っておいて接着剤を置いていく感じにできるように段取りする。 クロスの端っこをどうするか・・・工夫がいる。
E206調合後4時間経過したところで、
紙コップに残ったE206は透明度を増し(やや薄黄色)、全体としては硬い水あめ状になっている。 割りばしで表面をつつくとくっつき、引き離すとイボのように山になる。
残ったE2064時間後
パドルの方は、薄く乗ったところはべとつくことはべとつくが、表面はさらっとした感じ。 他の部分は、触るとまだくっつく。 側面は粘度はかなり高くなったが、まだべとつく。
あとすこし・・・
乾燥時間については、おそらく普通のエポキシと同じような感覚で取り扱えば良いようだ。
6時間30分後、薄く積層したクロスの方は手で触ってもべとつかないくらいに乾燥した。 気温22度くらい。
ポトンと落ちた塊はまだべとついている。 カチンカチンになるにはあと数時間くらいかかりそうだ。
コップのエポキシは柔かいプラスチックといった風情に固まっている。
グラッシングはほぼ乾燥(6時間30分後)
総合評価としては、E206は低粘度で、グラッシングには使いやすいエポキシといえるだろう。
値段は3Kgで¥7Kとリーズナブルだ。