ラジオから尾藤イサオの歌が流れていた。
誰のせいでもありゃしない、
みんな おいらが 悪いのさ
なつかしい。
60年代、安保闘争で荒れた時代だったが、「みんな自分が
悪い」と自己批判する自虐的な時代でもあった。
20年ほど前、名古屋のライブハウスに尾藤イサオが出演する
というので見にいった。30年前そのままのスタイルに驚きと
賞賛だった。
何曲か熱唱したあと、突然ばたりと倒れた。しばらく動かない。
「もう歳か?、ホンとに倒れたのか?」いつまでも起き上がら
ない。観客が不安にかられた頃、「明日のジョー」のイントロで、
ビンボウダンスのような姿勢から起き上がる。見事な演出に
やんやの拍手喝采だった。
「立ち上がれ~」の明日のジョーは、バブルはじけて、濡れ
落葉となった団塊の世代に、励ましの応援歌のように聞こえた。
今は、何もかも「あんたが悪い」と他を非難する時代になって
しまった。尾藤イサオの「みんな おいらが 悪いのさ」は、
新鮮に心に響いた。
日曜劇場 / ノーサイド・ゲーム(2019年7月放映、TBS) に
木戸祥助(日本蹴球協会・専務理事)役で出演していた。
御年76歳。まだまだご健在。