現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

尺八の名称について

2007-10-28 09:21:42 | 尺八・一節切
虚無僧一路がこだわる「尺八=チーパ(管)」説について、再度披露したい。

どの本を見ても「長さが1尺8寸だから尺八という」と書かれている。
ところが、正倉院に伝わる8本の尺八、法隆寺伝来の尺八(現国立博物
館蔵)は、みな1尺4寸前後と短く、不揃いである。1尺8寸(54cm)の
尺八など江戸時代半ばまで存在しなかった。1尺8寸が標準管とされる
のは、江戸時代の半ば以降である。ということは、“尺八”の名にこだ
わって、江戸時代に1尺8寸が標準となったのではないだろうか。

古代尺八が、みな短かったことから「唐代の1尺は、今の半分だった」
という説が、まことしやかに、まかり通っている。しかし、唐尺が29.64cm、
唐大尺が35.7cmであることは、定説である。法隆寺は唐大尺が35.7cm(高麗
尺35.6cm)で造営されている。

1尺をほぼ30cmとするのは、洋の東西、偶然か、同じなのだ。1尺と1フート
それぞれ、腕、指、足など人体が基準になっているからだ。

「唐代に笛の音程が、中国の音名黄鐘(和名壱越、洋楽=D)を基準とし、
その笛の長さが9寸だった。そして、その倍が1尺8寸なので、“尺八”
と名づけた」という苦しい説もまかり通っている。どう考えてもおかしい。
基準が9寸なら、「きゅうすん」と名づければ良いではないか。なぜ倍の
尺八なのか。どうしても「尺八」を長さと決め付けているから、こんな
ややこしい話になる。そもそも「唐代に呂さいという人物が決めた云々」
という話は、室町時代の『体源抄』に書かれているもので、中国に出典が
あるのか、私は見聞きしていない。

もう一度、古代尺八が「1尺4寸前後と短く、不揃いである」点に注目
しよう。笛は長さだけではない。管の内径の太さでも音程は違ってくる。
古代尺八の長さが不揃いなのは音程を合わせるためだ。そして1尺4寸
ということは、洋楽のA(ドレミファの“ラ”)が基音だったのだ。

Aを音階の基準とするのは、洋の東西共通だが、これは偶然ではない。
音階はすでに、紀元前、ギリシャのピタゴラスによって定められており、
それが東洋にまで伝播したから、洋の東西共通なのである。

さて、音階、音程が古代から東西同じとなると、当然、その楽器も西から
東へ伝播したはずである。尺八は中国のオリジナルではない。それらしき
管楽器は、エジプト、メソポタミア、ペルシャ、インド経由で伝わった。
その管楽器の名前が「チーパー」だった。そして、「チーパーが中国に
はいって尺八という漢字が当てられた」と考えるのが自然である。

江戸時代、中世室町時代までの「一節切(ひとよぎり)尺八」を復元する
のに、「尺八」の名にこだわって、1尺8分(32cm)にした。古代尺八も
1尺8分(32cm)が基準だったとする説もあるが、1尺4・5寸の尺八が
多く存在することを説明できない。

平成の虚無僧一路のホームページも見てください。



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