虚無僧一路がこだわる「尺八=チーパ(管)」説について、再度披露したい。
どの本を見ても「長さが1尺8寸だから尺八という」と書かれている。
ところが、正倉院に伝わる8本の尺八、法隆寺伝来の尺八(現国立博物
館蔵)は、みな1尺4寸前後と短く、不揃いである。1尺8寸(54cm)の
尺八など江戸時代半ばまで存在しなかった。1尺8寸が標準管とされる
のは、江戸時代の半ば以降である。ということは、“尺八”の名にこだ
わって、江戸時代に1尺8寸が標準となったのではないだろうか。
古代尺八が、みな短かったことから「唐代の1尺は、今の半分だった」
という説が、まことしやかに、まかり通っている。しかし、唐尺が29.64cm、
唐大尺が35.7cmであることは、定説である。法隆寺は唐大尺が35.7cm(高麗
尺35.6cm)で造営されている。
1尺をほぼ30cmとするのは、洋の東西、偶然か、同じなのだ。1尺と1フート
それぞれ、腕、指、足など人体が基準になっているからだ。
「唐代に笛の音程が、中国の音名黄鐘(和名壱越、洋楽=D)を基準とし、
その笛の長さが9寸だった。そして、その倍が1尺8寸なので、“尺八”
と名づけた」という苦しい説もまかり通っている。どう考えてもおかしい。
基準が9寸なら、「きゅうすん」と名づければ良いではないか。なぜ倍の
尺八なのか。どうしても「尺八」を長さと決め付けているから、こんな
ややこしい話になる。そもそも「唐代に呂さいという人物が決めた云々」
という話は、室町時代の『体源抄』に書かれているもので、中国に出典が
あるのか、私は見聞きしていない。
もう一度、古代尺八が「1尺4寸前後と短く、不揃いである」点に注目
しよう。笛は長さだけではない。管の内径の太さでも音程は違ってくる。
古代尺八の長さが不揃いなのは音程を合わせるためだ。そして1尺4寸
ということは、洋楽のA(ドレミファの“ラ”)が基音だったのだ。
Aを音階の基準とするのは、洋の東西共通だが、これは偶然ではない。
音階はすでに、紀元前、ギリシャのピタゴラスによって定められており、
それが東洋にまで伝播したから、洋の東西共通なのである。
さて、音階、音程が古代から東西同じとなると、当然、その楽器も西から
東へ伝播したはずである。尺八は中国のオリジナルではない。それらしき
管楽器は、エジプト、メソポタミア、ペルシャ、インド経由で伝わった。
その管楽器の名前が「チーパー」だった。そして、「チーパーが中国に
はいって尺八という漢字が当てられた」と考えるのが自然である。
江戸時代、中世室町時代までの「一節切(ひとよぎり)尺八」を復元する
のに、「尺八」の名にこだわって、1尺8分(32cm)にした。古代尺八も
1尺8分(32cm)が基準だったとする説もあるが、1尺4・5寸の尺八が
多く存在することを説明できない。
平成の虚無僧一路のホームページも見てください。
どの本を見ても「長さが1尺8寸だから尺八という」と書かれている。
ところが、正倉院に伝わる8本の尺八、法隆寺伝来の尺八(現国立博物
館蔵)は、みな1尺4寸前後と短く、不揃いである。1尺8寸(54cm)の
尺八など江戸時代半ばまで存在しなかった。1尺8寸が標準管とされる
のは、江戸時代の半ば以降である。ということは、“尺八”の名にこだ
わって、江戸時代に1尺8寸が標準となったのではないだろうか。
古代尺八が、みな短かったことから「唐代の1尺は、今の半分だった」
という説が、まことしやかに、まかり通っている。しかし、唐尺が29.64cm、
唐大尺が35.7cmであることは、定説である。法隆寺は唐大尺が35.7cm(高麗
尺35.6cm)で造営されている。
1尺をほぼ30cmとするのは、洋の東西、偶然か、同じなのだ。1尺と1フート
それぞれ、腕、指、足など人体が基準になっているからだ。
「唐代に笛の音程が、中国の音名黄鐘(和名壱越、洋楽=D)を基準とし、
その笛の長さが9寸だった。そして、その倍が1尺8寸なので、“尺八”
と名づけた」という苦しい説もまかり通っている。どう考えてもおかしい。
基準が9寸なら、「きゅうすん」と名づければ良いではないか。なぜ倍の
尺八なのか。どうしても「尺八」を長さと決め付けているから、こんな
ややこしい話になる。そもそも「唐代に呂さいという人物が決めた云々」
という話は、室町時代の『体源抄』に書かれているもので、中国に出典が
あるのか、私は見聞きしていない。
もう一度、古代尺八が「1尺4寸前後と短く、不揃いである」点に注目
しよう。笛は長さだけではない。管の内径の太さでも音程は違ってくる。
古代尺八の長さが不揃いなのは音程を合わせるためだ。そして1尺4寸
ということは、洋楽のA(ドレミファの“ラ”)が基音だったのだ。
Aを音階の基準とするのは、洋の東西共通だが、これは偶然ではない。
音階はすでに、紀元前、ギリシャのピタゴラスによって定められており、
それが東洋にまで伝播したから、洋の東西共通なのである。
さて、音階、音程が古代から東西同じとなると、当然、その楽器も西から
東へ伝播したはずである。尺八は中国のオリジナルではない。それらしき
管楽器は、エジプト、メソポタミア、ペルシャ、インド経由で伝わった。
その管楽器の名前が「チーパー」だった。そして、「チーパーが中国に
はいって尺八という漢字が当てられた」と考えるのが自然である。
江戸時代、中世室町時代までの「一節切(ひとよぎり)尺八」を復元する
のに、「尺八」の名にこだわって、1尺8分(32cm)にした。古代尺八も
1尺8分(32cm)が基準だったとする説もあるが、1尺4・5寸の尺八が
多く存在することを説明できない。
平成の虚無僧一路のホームページも見てください。