小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

大下弘(東急-西鉄)には7打数7安打という大記録が・・・

2008年04月02日 | スポーツ
【牧太郎の大きな声では言えないが…:それだっていいじゃないか】

 「青バット」の大下弘(東急-西鉄)には、プロ野球史上唯一の「7打数7安打」という大記録が残っている。

 1949年11月19日、甲子園球場の「東急対大陽」の前日は雨。「明日の試合は中止」と思い込んだ大下は、仲間と宝塚の料亭で深夜2時まで飲み続けた。ところが、当日は快晴。午後1時の試合開始になっても、酒のにおいがぷんぷん。足元もおぼつかない。

 その日のことを、元新聞記者の津田康さんが“酒飲み”の雑誌「たる」4月号で書いている。

 第1打席の第1球、大下は見送り。ここでベンチに戻った大下は、井野川利春監督に「ボールが三つに見えるんですわ」。

 あきれた監督は「真ん中のボールをたたけ!」と怒鳴った。それが功を奏してか7打席7安打。後日、大下は「監督の言うとおり、二日酔いだったから(ホームランは狙わず)軽く当てるのが良かった」と話している。(「大下は酒豪」というのは伝説で、彼の酒量はビール1本程度だった、という説もある)

 彼の生涯成績は1547試合、5500打数 1667安打 打率3割3厘。首位打者3回、ホームラン王3回。竹製のバットで猛打賞を取ったり、なじみの芸者の置き屋に早朝練習用のバットが置いてあったり。大下は愉快な人物だが、詰まるところ、打者は本番の選球眼なのかもしれない。

 大下のことを書きたくなったのは、昨今、若者が「苦し紛れの大事件」を次々に起こしているからだ。茨城の8人殺傷、岡山駅の線路突き落とし事件……。それぞれに個別の事情はあるが、その背景には進学・就職の悩みがあるように思えてならない。「負けないゾ」と思った途端、青春は暗くなったりするものだ。

 「ボールが三つに見えるんです」と監督に言えればいいのだが、監督役の家族、教師、友人に恵まれないと若者は孤立する。孤立するから心が病む。

 力を抜こうじゃないか。ホームランのような輝かしい人生なんて、そうざらにない。オレなんて、ヒット1本、打ってない。「競争」なんかやめて、いいかげんに生きようじゃないか。

 「真ん中のボール」がやって来るまで待てばいい。「真ん中のボール」が来なくってもいいじゃないか。それが普通なんだから。

 監督になった大下は「サインなし、罰金なし、門限なし」という“いいかげんな三無主義”で最下位。それだっていいじゃないか。(専門編集委員)


毎日新聞 2008年4月1日 東京夕刊

 大下は、西鉄ライオンズが日本シリーズ三連覇した時の伝説の野武士軍団のひとり。今、管理された野球が全盛であるとともに、企業人も子どもたちもぎゅうぎゅうと絞られ、詰め込まされた結果、いろいろおかしなことが起ってきているのか。あなたは、伸び伸び教育と詰め込み教育のどちらをとられますか?小父さんが見てきた光景は、「詰め込み」は私立中学入試まではうまく行っているようには見えますがね。家庭に社会に追い詰められた子どもたちは、爆発するしかない。企業よ、家庭よ持ち駒を追い込まないでほしい。現代は遊び心の入り込む余地がないのだろうか。放任主義を見直す時代が来たのだろう。

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