10月8日NHK「ニュース7」“各党首に聞く” 安倍晋三は気づかずにアベノミクスは格差ミクスだと告白

2017-10-11 10:30:49 | 政治

日本が主権国家として真に自立するために

 
  →日米同盟破棄→専守防衛


    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 昨日2017年10月10日夜、NHK総合テレビ「ニュース7」が10月22日投開票衆院選挙で「何を訴え、どう戦うのか各党首に聞く」をニュース後半で行っていた。先ず選挙の名付けを尋ねた。安倍晋三は「日本の未来を決める選挙」と書き入れたボードを胸のところに上げた。

 安倍晋三「今日本は北朝鮮の脅威、そして少子高齢化、大きな課題に直面しています。その北朝鮮の脅威からどの党が国民の命を守ることができるのか、そして少子高齢化をどの党が乗り越え、子どもたちの未来を切り開いていくことができるのか、それを決める選挙だと思います」

 遊説でも同じ順序を取っているように「少子高齢化」よりも「北朝鮮の脅威」を先に持ってきて、優先課題としている。だが、少子高齢化の内政問題よりも北朝鮮の脅威という外政問題を優先するということは北朝鮮の脅威の現実化が予想され、その現実化によって少子高齢化社会に於ける国民それぞれの生活を脅かし、国民の生命の脅威、あるいは阻害へと向かうことが危惧される場合である。

 その現実化に対する国家危機管理として少子高齢化という内政問題よりも北朝鮮の脅威という外政問題が優先されることになる。だが、安倍晋三は脅威の現実化――北朝鮮の暴発を計算に入れない、経済的圧力によって北朝鮮がミサイル開発と核開発を放棄して平和的解決迎えることができるかのような対北朝鮮圧力外交に終始している。

 にも関わらず、北朝鮮の脅威を少子高齢化よりも優先させているということは「北朝鮮の脅威」が如何に深刻な状況にあるかを演出して、安部政権しか対処できないと国民をして思わせようとする選挙戦術なのだろう。

 番組は次いで「衆院解散の決断」、「新党結成の動き」、「安部政権5年の評価」、「経済政策アベノミクスの評価」、「消費税の使途」等と順番に続くが、これらの中から安倍晋三自身が気づかずにアベノミクスは格差ミクスだと如何に告白しているかを記述するために「経済政策アベノミクスの評価」について先に取り上げ、「安部政権5年の評価」を後に持ってくることにする。

 「経済政策アベノミクスの評価」

 鈴木菜穂子キャスター「自民党が公約に掲げているアベノミクス5年間の実績というものを見ますと、景気の指標を示す様々な数字は上がっているんですが、ただ、依然として景気回復の実感がないという声もありますよね。

 安倍さんはこういう声をどう受け止めていて、そして今後アベノミクスをさらにどのように進めていくというお考えなんでしょうか」

 安倍晋三「確かにそういう声があることは私達も承知しております。しかし実際にGDP、私達が政権を取る前、かつて536兆円あったGDPは民主党政権のときに20兆円割って493兆円まで落ちた。

 私達はそれを50兆円増やして(拳を握った左手を肩のところで力強く一振りする)、久々に過去最高を記録して534兆円に増やしました。これをですね、もっともっと景気を良くしていく上に消費を増やしていく上に於いて二つの不安を解消していきたい。

 子育て大変、家族の介護大変――という不安を払拭していく。それはまさに幼児教育の無償化を進めていくことであり、そしてそんなに経済に恵まれていない家族に育っても、専修学校や大学にも通える、高等教育を受けることができるように真に必要な子供に限って高等教育を無償化していく。

 これは確かにまさに少子化にも大変いい影響を与えるわけでありますし、子供を育てる上で色んな不安を持っている、経済的な不安を持っている人たちにとってはその不安を解消につながっていく。景気としてプラスになっていく。

 もう一つはまさに社会保障制度の安定化、借金をちゃんと返していって、そして財政再建化していく。これは私たちはしっかりと進めていきますから、二つの不安に応えていくことで、個人消費も伸びていくと思います」

 鈴木菜穂子は「景気の指標を示す様々な数字は上がっているんですが、ただ、依然として景気回復の実感がないという声もあり、そういう声をどう受け止めているか」を質問の一つとした。

 対して安倍晋三は「確かにそういう声があることは私達も承知しております」と答えただけで、どういったことが原因でそういった構造を取ることになっているのかの具体的で丁寧な説明は省いている。

 と言うよりも、説明する責任から逃げている。このことは「私も承知しております」と自分自身の問題だとせずに「私達も承知しております」と複数語として責任の分散を謀ったところにも現れている。

 安倍晋三は「社会保障制度の安定化、借金をちゃんと返していって、そして財政再建化していく」と言っているが、教育費無償化の財源に消費税増税2%分の国の借金返済に充てる5分の4の約4兆円のうちの約2兆円を充てる公約を掲げたことで、タダでさえ達成困難と見られていた2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の財政健全化目標の達成がさらに遠のき、年々積み上がっていく残された国の借金が無償化の恩恵を受けた世代のツケとなって残る、負担の先送りと言われてもいる。

 要するに安倍晋三はアベノミクス経済政策によってGDPを過去最高の534兆円に増やしたにも関わらず多くの国民がなぜ景気の実感を感じることができないのかの原因について満足に説明せずに自身に都合のいいことだけを並べ立てたことになる。

 「安部政権5年の評価」

 鈴木菜穂子キャスター「これまで5年近く長期に亘って築いてきた安部政権を振返ってご自身ではどのように評価しますか」

 安倍晋三「私たちは5年前、3本の矢での策でデフレから脱却して経済を成長させていく、仕事をしっかり作っていく、賃金を上げていく、そうお約束をしました。

 185万人の雇用を増やした。そして正規雇用についても1人の人が正規雇用を求めていれば、1人分の正規の雇用があるという状況、正規雇用の有効求人倍率1。これは日本史上初めて達成することができた。

 有効求人倍率については我々が政権を取る前は全国で8つの都道府県しか1はなかった。それをすべての都道府県に広げていくことができました。給料も5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっていますし、最低賃金を上げていったことによってパートの皆さんの時給も過去最高となっている。

 何よりもこれは素敵だなと思えるのは4月、高校・大学を卒業する皆さんの就職率は過去最高水準となっている。働きたい、仕事をしたいという人にとって仕事があるという真っ当な状況を作ることができたと思います。

 これからは少子高齢化に取り組んでいける。そのために幼児教育をしっかりと無償化していく。全世代型の社会保障制度に切り込んでいくことによってこの少子化を乗り超えていく。

 特に地方は少子化、人口減少に悩んでいると思います。また生産性向上、生産性向上によって中小企業の生産性を高めて行く。地方の経済の主役は中小企業です。そこで働いている皆さんの給料が上がっていくようにしていきたいと思います」――

 「経済政策アベノミクスの評価」でGDPを増やした、教育無償化を進め、財政再建にも取り組んでいくと言い、「安部政権5年の評価」では、「185万人の雇用を増やした」、「有効求人倍率をすべての自治体で1にした」、「給料も5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっている」等々アベノミクスの成果を並べ立てているが、最後に「地方の経済の主役は中小企業です。そこで働いている皆さんの給料が上がっていくようにしていきたいと思います」と誓っている。

 給料が「5年連続で今世紀に入って最も高い水準で上がっている」としながら、中小企業の被雇用者の「給料が上がっていくようにしていきたい」と言わざるを得ない。

 日本の企業の経営規模別割合は大企業0.3%、残り99.7%の零細企業を含めた中小企業の賃金がいわば満足に上がっていない、あるいは殆ど上がっていない賃金状況にあることからの志であろう。

 このことは鈴木菜穂子の指摘した「依然として景気回復の実感がないという声」に反映されている状況以外の何ものでもない。

 アベノミクスによってGDPが過去最高の534兆円を記録したとしていること、5年連続の最も高い給与水準であることなどと総合すると、否応もなしに“格差”以外の答は出てこない。

 GDPにしても押し上げの最大の要因は公共投資であって、次いで企業の設備投資、GDPの6割を占めているとされる個人消費はわずかしか伸びていない。十分に伸びていれば、「景気回復の実感がないという声」はどこからも出てこない。

 当然、GDOに占める企業の設備投資は大企業中心ということになって、設備投資にも格差の構造を骨格としていることになる。

 安部政権は年々せっせと公共事業予算を増やし、公共事業に費やし、格差を構造としたGDPの拡大に励んできた。

 安倍晋三は都合の悪い統計は隠し、都合の良い統計だけを並べ立てながら、自身は気づかずにアベノミクスは格差ミクスだと告白したのである。

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安倍晋三の暴発危険性ゼロの対北圧力外交で国民の信を問おうとしながら、テレビで暴発を匂わせるインチキ

2017-10-10 09:03:04 | Weblog

日本が主権国家として真に自立するために

 
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    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 9月25日(2017年)、安倍晋三は首相官邸で「記者会見」を開いて解散を表明、解散の理由に「国難」と位置づけた少子高齢化と北朝鮮の脅威を上げて、少子化対策の財源として2019年10月増税予定の消費税2%増税分のうち国の借金返済に回す約4兆円の半分、約2兆円を振り分ける使途変更と対北朝鮮圧力外交の是非について国民の信を問うためだとした。

 記者会見から後者の対北朝鮮圧力外交に触れた発言を取り出してみる。

 安倍晋三「民主主義の原点である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはなりません。むしろ私は、こういう時期にこそ選挙を行うことによって、この北朝鮮問題への対応について国民の皆さんに問いたいと思います」

 そして圧力外交の推進を訴えている。

 安倍晋三「北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会と共に一層圧力を強化してまいります。

 北朝鮮には勤勉な労働力があり、資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に伸ばすこともできる。しかし、拉致、核・ミサイル問題の解決なくして、北朝鮮に明るい未来などあり得ません。北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります。

 圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」

 「暴発させる危険」に触れているが、暴発の危険性を計算し尽くした圧力外交を口にしているわけではないのだから、圧力一辺倒が北朝鮮の暴発を招く危険性を一切排除、ゼロとしていることになる。

 要するに安倍晋三が「北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります」と言っていることは圧力外交を北朝鮮の政策変更の唯一の答としているということであって、この点に於いても圧力外交が暴発を招く危険な要素を一切考慮に入れていない、ゼロとしていることになる。

 いわば圧力こそ、平和的解決の唯一の方法だと主張していることになる

 続いて安倍晋三は「対話の努力は時間稼ぎに利用された」と対話は無効だと排除した上で改めて対北朝鮮圧力外交に対する国民の信任を訴えている。

 安倍晋三「私はこの選挙で国民の皆さんから信任を得て、力強い外交を進めていく。北朝鮮に対して、国際社会と共に毅然(きぜん)とした対応を取る考えであります」

 圧力外交を北朝鮮の政策変更の唯一の答としているということは、いわば「暴発させる危険」を答に入れていない、ゼロとしているということは、安倍晋三は予想したことが予想したままの結果となって現れることを確信する意味の予定調和に立っていることになる。

 この記者会見の3日後の9月28日(2017年)の臨時国会冒頭で安倍晋三は所信表明演説も行わずに解散している。

 安倍晋三は10月8日(2017年)に行われた日本記者クラブ主催の衆議院選党首討論でも、暴発の危険性を考慮しない、ゼロとした対北朝鮮圧力外交を訴えている。「産経ニュース」記事からの抜粋。  

 志位和夫共産党委員長「安倍さんに質問いたします。北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。国連安保理(安全保障理事会)決議の厳格な、全面的な実行が必要です。同時に、破滅をもたらす戦争は、絶対に起こしてはなりません。この点で私が大変危惧しているのは、安倍さんが、すべての選択肢はテーブルの上にある、という米国の立場を一貫して支持すると繰り返していることです。ここでいう選択肢の中には、軍事的選択肢、すなわち先制的な軍事力行使も含まれます」

 そして「先制的な軍事力行使で対応したら破滅をもたらす戦争になる」として「先制的な軍事力行使は絶対やるべきでないと米国に求めるべきだ」と要求した。

 安倍晋三「日本はずっと北朝鮮と対話してまいりました。私もこの問題、94年からずーっと注目し、かかわってもきました。その間、何回も日本は対話をし、北朝鮮と約束をし、コメの支援をし、あるいはKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の合意について、1000億円、日本はお金を貸した。

 そのうち400億円は返ってこない。400億円は失効したんですけれども。という状況であります。KEDOの合意においても、2005年の六者(6カ国)協議の合意においても、核を廃棄すると、北朝鮮はそう約束したんですが、この約束は2回も裏切られてしまいました。

 この話し合いをまさに時間稼ぎに使って、ここまで核・ミサイルの能力をここまで変えてしまった。私たちはもう、騙されるわけにはいかないんです。ですから、しっかりと圧力、あらゆる手段の圧力を高めていき、北朝鮮に、政策を変えるから話し合ってもらいたいという状況を作ってこさせる必要があります。すべての選択肢がテーブルの上に乗っている。我々はこの米国の方針を支持しております。そうしたことも含めて北朝鮮には圧力がかかっているということであります」

 安倍晋三はトランプが「テーブルの上に乗っている」としている「すべての選択肢」に軍事攻撃という選択肢が含まれているにも関わらず、「あらゆる手段の圧力」を「北朝鮮に、政策を変えるから話し合ってもらいたいという状況」をつくる唯一の答としている。

 要するに暴発が危険性としてあり得るとする答を一切用意していない。あくまでもその危険性をゼロとしている。

 党首討論第2部、日本記者クラブ企画委員4人による代表質問でも、安倍晋三は些かもブレずに同じ答を出している。。「産経ニュース」(党首討論会詳報7)  

 安倍晋三「北朝鮮は残念ながら、今までこちら側が善意をもって話し合いをしてもうまくいかなかった。安倍政権においても、北朝鮮と話し合いをしたこともあります。ストックホルム合意をしています。しかし残念ながら、それも裏切られています。あの時も制裁を一部解除していますが、だからこそ米国の力を中心に、国際社会が連携して、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況を今こそ作り上げなければならないと考えています」

 この発言でも圧力を北朝鮮の「『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況」をつくり出す唯一の答としている。

 ところが党首討論があった同じ10月8日の夜、インターネットテレビ局「AbemaTV」の番組に出演、解散記者会見や党首討論での圧力=平和的解決の発言を翻している。

 「毎日新聞」(2017年10月8日 11時28分)         

 安倍晋三「あらゆる手段で圧力を高めていくから、状況は緊迫していく。今年暮れから来年にかけて選挙をする状況ではなくなる

 (国連安保理対北朝鮮制裁決議の履行によって)石油製品がカットされたら大変なことになる。基本的に緊迫度は増す」

 言っていることは対北朝鮮圧力外交の進捗によって「今年暮れから来年にかけて」「状況は緊迫していく」から、その時期は「選挙をする状況ではなくなる」との理由で臨時国会冒頭解散の正当性の訴えとなっているが、状況緊迫の原因を「石油製品がカットされたら大変なことになる。基本的に緊迫度は増す」としている。

 例えこの発言が臨時国会冒頭解散の正当性の訴えであったとしても、ここには圧力=平和的解決の予定調和的要素は些かも含まれていない。暴発ゼロどころか、「石油製品がカットされたら大変なことになる」と予想、逆に暴発の危険性を匂わせさえしている。 

 要するに安倍晋三が解散記者会見で暴発を招く危険性はゼロで、圧力のみが北朝鮮の挑発的な政策の変更を迫って平和的な解決に導く唯一の方法だと提示、そのような対北朝鮮圧力政策の是非について国民の信を問うとし、党首討論でも同じ趣旨の発言をしていながら、テレビ番組では圧力政策によって「石油製品がカットされたら大変なことになる」と暴発の危険性がゼロでないことを匂わせているということは単に発言が矛盾しているということではなく、選挙に於ける国民に対する信任の問いかけに矛盾を生じさせていることを示す。

 いわば暴発ゼロとした対朝鮮圧力外交で国民の信を問おうとしたことはインチキだったことになる。

 国民の信を問うことにインチキまで用いて選挙に勝利し、政権を担当しようと意図する。安倍晋三の程度の低さを知ることになるはずだ。

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安倍晋三10/8党首討論:加計政治関与疑惑「私が関与したと言った方は1人もいない」は無罪証言とならず

2017-10-09 12:19:13 | 政治

日本が主権国家として真に自立するために

 
  →日米同盟破棄→専守防衛


    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 2017年10月10日公示日、2017年10月22日投票の衆議院議員選挙に向けた党首討論が2017年10月8日、日本記者クラブ主催で行われた。第1部は出席党首が最も訴えたい冒頭発言後、党首が他の党首を指名して行う質疑が行われたが、1回限りの一問一答形式で、答弁に対する反論、あるいは再質問は許されてはいない。相手が質問にまともに答えなくても、安倍晋三のお得意技だが、不満を抑えて次の質問者に発言を譲らなければならない。

 発言は2017年10月8日付「産経ニュース」記事に依った。文飾は当方。   

 希望の党代表小池百合子「情報公開について、安倍首相にうかがいたいと思います。PKO(国連平和維持活動)の日報問題しかり。森友・加計疑惑等々、これについても情報公開が足りないことで、自衛隊に対しての信頼性、また(国家戦略)特区という制度についてのネガティブな印象が大変高まってしまいました。

 私は東京都においてこれまでも公金の支出、70万件に亘りますが、これをホームページに全部掲載するなど、情報公開を進めてまいりました。公文書の管理も大変重要な課題です。これについて、安倍首相としてどのように対応されるのか。

 また、加計・森友問題についても十分な納得が国民はいっていないのではないか。これについてどうお答えになりますでしょうか」

 安倍晋三「いわゆる森友問題、獣医学部新設の問題でありますが、私もこれまで予算委員会や閉会中審査で丁寧に説明を重ねてまいりました。一部説明の足りない点、あるいは姿勢については反省すべき点はあると思いますが、ただ委員会の中で明らかになったことは、前川(喜平・前文部科学事務次官)さんも含めて私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は1人もいないということは明らかになっています。

 また、(国家戦略特区ワーキンググループ)民間委員の八田(達夫)さん、原(英史)さん、民間委員の皆さんは口をそろえて『1点の曇りもない』ということは明確にされています。

 また、愛媛県の加戸(守行・前)知事はずっとこの問題に取り組んでこられた、門を開けようと頑張ってきた方でありますが、『行政が歪められたのではなく、歪められた行政が正された』と言っておられます。予算委員会を、報道されなかった部分も含めて全部ご覧になった方々はかなり納得されたのではないかと思います」

 確かに前川喜平前文部科学事務次官は2017年7月24日の衆院予算委員会閉会中審査で安倍晋三が言っているような趣旨の答弁をしている。

 自民党小野寺五典「前川さんは、在職中、これは次官というお立場にありますので、何度か総理と官邸でお会いをされる機会があるんだと思います。その際、この獣医学部の新設について、直接総理から何か指示やお話があったことはありましたでしょうか」

 前川前事務次官「この今治市における加計学園の獣医学部の新設の問題につきましては、文部科学省は基本的には内閣府から様々な指示を受けていたということでございますので、その結果はペーパーに残っておりまして、その中に、官邸の最高レベルの言っていること、あるいは、総理の御意向と聞いている、こういう文言があることは御承知のとおりでございます。

 私は、これは事実であるというふうに思っておりますし、そのように恐らくは内閣府の藤原当時の審議官がおっしゃったのであろう。その先のことは、これはわかりません。藤原さんが誰からそれを聞いたのか、それはわかりません。

 私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが、しかし、9月9日と記憶しておりますけれども、和泉総理補佐官から、国家戦略特区における獣医学部の新設について文部科学省の対応を早く進めろ、こういう指示をいただきまして、その際に、総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ、こういうお話がございました。

 これにつきましては、私は、総理は御自身では言えないのだというふうに思いましたので、そのことについて総理にお伺いするということは考えてもみなかったわけであります」

 自民党小野寺五典「今のお話を伺うと、前川参考人は、直接総理から何らかの指示を受けたことも話を聞いたこともない、ただ、さまざまな文書、出ている文書は私は真実だと思うし、その際、藤原審議官の話も実は正しいのではないかという印象を持っているというお話だと思います。

 実は、この一連の話を聞いていくと、この疑惑に関して、いわゆる総理の関与ということ、これが、先程来お話が出てくる、唯一発言されているのがきょう来ていただいている前川参考人の発言ということになります」

 小野寺五典はこの後、同じ参考人として出席している総理補佐官の和泉洋人に前川前事務次官が言っているような指示を出したのかと質問、和泉洋人はそのような事実はないと答弁。

 要するに小野寺五典は前川前事務次官の「私自身は、総理から直接伺ってはおりませんが」の発言を根拠に「総理の関与」は直接的伝聞に基づいているのではなく、前川前事務次官がただ一人口にしている単なる間接的伝聞に基づいた印象に過ぎないという疑惑の構図を描いてから、同じ参考人として出席していた総理補佐官の和泉洋人に質問、和泉洋人は獣医学部新設に関して何の指示も出していない、「総理は自分の口からは言えないから代わって私が言うんだ」と伝えた事実もないと否定、小野寺五典はこの否定と前川前事務次官の間接的伝聞に基づいた証言とを併せて疑惑の構図を否定すべく巧みな誘導を試みたのである。

 この誘導が成功したかどうかは別問題である。世論調査を見ると、政府の説明は信用できないが大勢を占めていたから、成功していないことになる。

 小野寺五典と前川前事務次官の遣り取りに文科省発見の文書の内容を加えると、疑惑自体の構図とは別に疑惑に関与する形で登場する人物たちそれぞれがどのような役割に基づいて行動したのかの役割の構図が自ずと浮かんでくる。

 先ず2016年11月9日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で獣医学部新設の方針が決まる前の2016年9月から10月にかけて文部科学省が内閣府の担当者との遣り取りを記したとされる文科省内で発見された「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」なる題名の文書には次のような記述がある。一部抜粋。

 〈○設置の時期については、今治市の区域指定時より[最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。

     ・・・・・・・・・・

 ○「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり。〉・・・・・・・

 この文書が事実を伝えているのかいないのかは措いておくことにするが、文書上は新設方針が決まる11月9日前に既に開学時期について「平成30年4月開学」と決めて、新設計画を進めていたことになる。

 当然、新設計画を進めるに当たっては獣医学部新設の事業主体がどこか決まっていたことになる。決まっていなければ、事業主体として名乗り出る教育機関があるかどうかも分からないうちに、あるいは名乗り出たとしても、海のものか山のものか分からないうちに開学時期だけを先に決めるということはあり得ない。

 「大臣」とは文科相の松野博一を指す。内閣府は国家戦略特区を所管している。要するに内閣府が安倍晋三の指示による「総理のご意向」を受けて、獣医学部新設の先頭に立っているという政治関与に関わる役割の構図を描いていることになる。

 これも2016年11月9日の「第25回国家戦略特別区域諮問会議」で獣医学部新設の方針が決まる前の2016年11月1日の日付の内閣府から文科省行革室宛てのメールには、諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度を直ちに行う」とした新設方針は当初は〈獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を可能とすることを認めるため、関係制度の改正を直ちに行う〉とあったものに対して、「広域的に」と「限り」の言葉を付け加えて文言を整えた〈指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです。〉との記述がある。

 勿論、この記述も事実か否かの真偽は措いておくが、当時内閣官房副長官を拝命していた萩生田光一は安倍晋三の側近中の側近であって、安倍晋三の腰巾着とまで言われている。

 国家戦略特区所管の内閣府の担当大臣であり、国家戦略特区諮問会議の進行役である山本幸三が大学新設担当の文科相や文科省職員、さらに民間議員も含めた諮問会議メンバーに諮って決めるべき獣医学部新設に関わる地域条件を萩生田光一の指示で書き換えた。

 と言うことは、安倍晋三の指示による「総理のご意向」を受けて安倍晋三の側近中の側近、腰巾着の萩生田光一が先導役で内閣府と共に獣医学部新設を主導、新設に関係してくる文科省や農水省を動かしていた政治関与を骨格とした役割の構図が自ずと見えてくる。

 このような役割の構図は世の中にいくらでも存在する。テレビのサスペンスドラマでも日常普段のように見かける。それが犯罪であろうと社会的に合法な行為であろうと、一人が指示して、自身は一切表に出ず、表に出るのは部下に当たる単独か複数の人物で、彼もしくは彼らが指示者に代わってその指示に従って動き、目的の計画、あるいは陰謀を達成するいう役割の構図である。

 かつてのバブル時代、大手の不動産会社が土地転しで儲けるために自身の手を汚すわけにはいかず、間にダミーの中小の不動産屋を複数社使って土地を転売させては値を吊り上げ、思惑の土地価格に値上がりしたところで売買契約書上では最終的な高値で買ったように見せかけるが、実際は裏でカネを出して最初に買った値段で引き取るといったことが頻繁に行われていたが、土地転しを命じる大手の不動産屋は決して表には出ず、表に出るのはの常に中小の不動産屋であった。

 また、暴力団の世界にもよくある役割の構図でもある。親分は表には出ず、子分に表の役割を命じる。

 安倍晋三の加計学園獣医学部新設に関わる政治関与疑惑がこのような役割の構図を取っていたなら、いわば安倍晋三は一切表に出ずに指示を出すだけで、指示に従って表に出て動いたのが萩生田光一や内閣府の山本幸三、同じく内閣府の国家戦略特区ワーキンググルーを取り仕切った審議官藤原豊だったとしたら、安倍晋三が「前川(喜平・前文部科学事務次官)さんも含めて私から言われた、あるいは私が関与したと言った方は1人もいないということは明らかになっています」 と言おうと、政治関与疑惑の免罪符とすることはできない。

 当然、「(国家戦略特区ワーキンググループ)民間委員の八田(達夫)さん、原(英史)さん、民間委員の皆さんは口をそろえて『1点の曇りもない』ということは明確にされています」と口を酸っぱくして言おうと、安倍晋三自身が表に出て企んだことでなく、実際のことを知っているのは安倍晋三本人と萩生田光一等のその仲間であり、その仲間の疑惑の否定は当然のことで、安倍晋三が言っていることは無実の証言とはならない。

 今治市から開示できる記録には今治市役所の課長と課長補佐が2015年4月2日の15時から16時30の間に獣医学部の設置に関して首相官邸を訪問したという記述があるという。但しその記録は首相官邸の誰が面会したのかは黒塗りになっているという。

 例え黒塗りになっていたとしても、用件は獣医学部設置に関してだから、面会者は獣医学部設置に話が通じる人物ということになる。

 政府側はそれが誰なのか、野党の追及に対して訪問者記録は破棄して、誰か分からないを押し通し、面会したとされる当時首相秘書官の柳瀬唯夫は記憶にないの一点張りで、安倍晋三政治関与無実の証拠とはなり得ていない。

 もし安倍晋三が一国の首相の名誉に関わることだからと今治市に対して黒塗りにしている記録の開示を求めて面会者が柳瀬唯夫でなく、(黒塗りにしていること自体が有罪の証拠でしかないが)、獣医学部設置に話が通じる人物でなければ、今治市側の用件と矛盾することになる点を差し引きして、疑惑はある程度晴らすことができることになる。

 いずれにしても、安倍晋三の「私が関与したと言った方は1人もいない」は決して疑惑の無罪証言とはならない。無罪証言とはならない発言で以って無罪を証言しようとしている。

 このこと自体が疑惑を限りなく黒にすることになる。

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希望の党の消費税増税凍結→代替財源→内部留保課税を二重課税と批判するなら、法人税を累進課税にすべき

2017-10-08 11:16:40 | 政治

日本が主権国家として真に自立するために

 
  →日米同盟破棄→専守防衛


    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 希望の党が消費税増税凍結を打ち出し、その減収分による社会保障費、国の借金返済等財源を2016年度過去最高約406兆円に達している企業内部留保(企業利益剰余金)への課税の導入検討を公約として掲げた。

 対して安部政権財務相麻生太郎は10月6日の会見で「内部留保は税金を払った後のお金で(導入すれば)二重課税になる」と否定的な見解を示したという。

 また内部留保(利益剰余金)は全て現預金で保有されているわけではなく、そのほんの一部で、企業の海外展開の原資や設備投資等の事業の発展に資する資産に回される必要経費であって、課税されてそれらの資産が減殺された場合、企業規模拡大の阻害要因となって、国際競争力を失うことになるという反対意見もある。

 例え内部留保(利益剰余金)が企業自身の発展のために再利用されるプール資金であったとしても、基本的な性格は儲け(利益)であることに変わりはない。それだけ儲けている、あるいはそれだけ利益を上げていることの指標となる。

 かくこのように企業が儲けていながら、賃金は満足に上がっていない。後者が満足に上がっていないということは企業側が自らの年々の儲け(利益)に対して企業内人材の年々の賃金への配分に釣り合いを与えることができずに、逆に片方だけに偏る格差化に向かっている両者間の状況を放置、企業の発展にのみ内部留保(利益剰余金)資金を回していることを意味する。

 国家主義的国家が国家の発展のみを優先して、個人の発展を二の次とする国家と個人の格差の構図と二重写しとなる。安倍晋三が国家主義者だから、企業がそれに倣っているということもあるのかもしれない。

 第2次安部政権は2012年12月26日に発足している。残業手当などの超過労働給与(所定外給与)を除き、基本給・職務手当、通勤手当、住宅手当、家族手当等を含んだ「所定内給与」(年単位)の2012年以降の推移を見てみる。

 2012年 297万7千円 (民主党政権下)
 2013年 295万7千円
 2014年 299万6千円
 2015年 304万円
 2016年 304万円

 民主党政権から第2次安部政権に移行した最初の1年は2万円程度下がっているが、2013年から2016年までの3年間で企業が軒並み最高益を上げているのに対して「所定内給与」は8万3千円しか伸びていない。率にして2.8%。

 内部留保2013年度約327兆円に対して2016年度約406兆円。その伸びは79兆円。伸び率は24%

 この79兆円は国家の一般会計予算を100兆円近辺とすると、一般会計予算に近い金額となる。

 要するに内部留保(利益剰余金)として貯め込むことができた儲け・利益は2013年から2016年までに24%の伸びを見せているのに対して所定内給与は同じ年間で伸びは2.8%、この大企業のみに利して個人には利すことのない国家主義的偏りは目に余る。

 内部留保(利益剰余金)が企業の海外展開、設備投資等の事業発展に向けた投資に大部分が占められているにしても、給与も企業内人材に対する投資の一部である。その投資は仕事に対するモチベーション向上と消費拡大となって現れる。双方共に企業の業績に反映されることになる。

 だが、この投資が満足な数字を取らないために安倍晋三がアベノミクスの成果だとして好調な経済指標だけを取り上げて声を張り上げようとも、個人消費は見るべき活発さを取ることができずに冷え込んだままの自縄自縛状態に陥っている。

 現在の企業利益は官製の部分が大きい。日銀金融政策による低金利・株高・円安、さらに法人税減税に大部分を負っている。このことが内部留保(利益剰余金)というプール資金となって現れているはずだ。

 国の政策に大きく負いながら、企業内人材には賃金という形で還元する、あるいは投資することを怠り、政府が内部留保(利益剰余金)への課税に反対だと言うなら、全体で一般会計予算に近い金額の儲け、あるいは利益を上げていることは事実なのだから、内部留保(利益剰余金)の何%かは税収に変えて、その税収を何らかの形で国民に還元する方策と見い出さなければならないはずだ。

 例えば法人税を一定税率ではなく、大企業程、社会的責任は大きいのだから、企業の営業利益に対応させて累進課税方式とすれば、大企業の金額の大きい内部留保(利益剰余金)をある程度調整できることになって、累進課税で増えた税収を社会保障費や子どもの教育費等に回すことができる

 法人税減税が企業の国際競争力維持のための措置だとしても、内部留保(利益剰余金)との関係で見なければ、国家主義的傾向の放置となる。もし安倍政権が内部留保(利益剰余金)も法人税の課税方式も法人税率もこのままでいいと国家主義的状態の維持にのみエネルギーを注ぐなら、安部政権のリセットを目的に国家主義を是正して、企業優先と個人優先を両立できる、いわば低所得層も含めた中間層優先の政策を掲げることのできる政党の政権獲得を望むしかない。

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菅義偉の消費税増税「政権交代前の状況なら延期」は希望の党選挙有利警戒&国民に対する安心感の植え付け

2017-10-07 11:53:59 | 政治

日本が主権国家として真に自立するために

 
  →日米同盟破棄→専守防衛


    →自衛隊憲法明記


 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認


 →核政策を対話コントロール→防衛費削減
  

     →教育費無償化財源

 官房長官の菅義偉が10月6日(2017年)の閣議後記者会見で、〈2019年10月に予定する消費税率引き上げの判断に関して2012年12月に発足した第2次安倍内閣への政権交代前の経済状況なら延期するとの考えを示した。〉と2017年10月6日付「47NEWS」記事が伝えている。

 具体的には有効求人倍率0.83や1ドル=75円に近い円高水準に戻った場合だそうだ。

 菅義偉「そんな厳しい経済状況で引き上げたら、日本経済が底割れしてしまう」

 その上で経済成長を軌道に乗せて増税できる環境を整備することに意欲を示したと解説している。

 この意欲はアベノミクスに寄せている信頼に基づく。そして環境整備のプロセスが可能なら、有効求人倍率0.83、1ドル=75円の経済状況は中国の景気失速、あるいはアメリカの景気失速といった外的要因を受けての影響ということになる。

 記事は、〈消費税増税の延期を巡っては、安倍首相が9月26日に「リーマン・ショック級の事態が起こらない限り、基本的に引き上げていく」と述べていた。〉と書いている。

 安倍晋三のこの発言は希望の党の小池百合子が2019年10月の消費税8%から10%への増税凍結を打ち出したことを受けてのものである。

 9月26日(2017年)夜のテレビ「東京」の番組に出演。

〈民放の番組で、再来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、平成20年の世界的な金融危機、リーマンショックのような事態が起きないかぎり、実行する考えを示しました。〉と2017年9月27日付「NHK NEWS WEB」と伝えている。   

 安倍晋三「今年4月から6月までの四半期も、名目GDP(国内総生産)が3%成長した。消費も穏やかに回復している。現在の状況からすると、(消費税の)引き上げを行う経済状況を生み出すことができるのではないかと考えている。

 当然、引き上げなければ、私たちが進めていく政策を実現する予算は確保できない。リーマンショック級の事態が起こらない限り、基本的には引き上げていきたい」(NHK NEWS WEB

 「リーマンショック級の事態」については自身が消費税増税の障害と決めていて前々から何度も口にしている。ところが、そのような事態が発生したわけでもないのに消費税増税を2度延期している。

 10月4日(2017年)のブログにも書いたが、第二安部政権が発足後最初に迎えた国政選挙は2013年7月21日投開票の参議院議員選挙で自民・公明両党が全体で過半数を上回る135議席を占め、野党が過半数を占めていたねじれを解消することができたのは選挙前に「アベノミクスとは世界経済と日本経済のWin-Winです、経済成長と財政再建のWin-Winです」とか相務めていた宣伝が結果を出したわけではなく、勝因は政権発足から7カ月しか経過していないことから、前民主党政権に対する国民の失望の記憶が未だ生々しかったことと、2013年4月から実施の日銀の異次元の金融政策が円安・株高時代を演出してくれたことにある。

 次の国政選挙は2014年12月14日投開票の衆議院議員総選挙だが、2014年11月8日に消費税2015年10月税率10%への引き上げを2017年4月に1年半の延期を表明。国民が暮らしを最大の利害としていることに大きく作用したはずだ。

 この作用が最大の勝因となって、自民党は単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得、公明党35議席と合わせて議席数の3分の2以上を維持する勝利を収めた。

 第2次安部政権発足後の3度目の国政選挙が2016年7月10日投開票の第24回参議院議員選挙。半年前の2016年6月1日に通常国会の閉幕を受けて首相官邸で記者会見を開き、2017年4月1日に延期・予定されていた8%から10%への増税を「1年半前の総選挙で、私は来年4月からの消費税率引上げに向けて必要な経済状況を創り上げるとお約束しました」と言いながら、2019年10月1日に2年半も大幅に再延期している。

 要するに「消費税率引上げに向けて必要な経済状況を創り上げる」とした「お約束」を守ることができなかった。

 と言うことなら、菅義偉が言っている「増税できる環境整備」の「お約束」も当てにはならないことになる。実態として安倍晋三が有効求人倍率が全国全ての地域で1以上になった、雇用を200万人創出した、賃金が上がったと好調な経済指標のみを声高に言い立てたとしても、個人消費そのものが低迷状態を長々と引きずっている以上、消費税を増税したら、個人消費を完全に冷え込ませて、アベノミクスの失敗を誰の目にも明らかにすることになったはずだから、増税延期は正解だったことになる。

 だが、延期表明は全て選挙前に行い、そのことが国民が暮らしを最大の利害としていることから増税延期によって生活に打撃を受ける懸念が遠のき、選挙に有利に働いて、安部政権はいずれの選挙も勝利を収めることになった。

 いわば増税延期はアベノミクスの化けの皮が剥がれない用心と同時に国民が暮らしを最大の利害としていることによって選挙勝利に功を奏したのである。

 但し後者の場合、結果的にそうなったのか、あるいは前者と同様に意図した利用だったのかが問題となるが、最初の消費税増税延期を受けた衆議院議員選挙の勝利については国民が暮らしを最大の利害としていることが結果を出したことは否定できない事実であって、そうである以上、消費税増税延期に味を占めたはずだ。

 当然2度目の増税延期は選挙の勝利のための意図が多分に混じっていたことになって、その分、利用しようという思惑が優勢であったはずだ。

 ところが今回は2019年10月1日に予定通りに増税する表明を行った。いわば増税宣言したとしても、裏返すと、延期表明しなくても、選挙は勝てるとの胸算用があったからだろう。

 なかったなら、何だかんだと口実を設けて再々延期を表明したはずだ。アベノミクスを継続させて、その勝利を謳うためにも、あるいは何よりも首相在任期間を1日でも伸ばして歴史に記録を残すためにも選挙勝利は至上命題としていたはずだ。

 安倍晋三は2017年5月27日に首相在任期間が第1次と第2次政権合計で1980日となって小泉純一郎と並び、現在それを追い抜いて佐藤栄作の2798日、吉田茂の2616日に次いで戦後単独3位となっている。

 上位2者に並ぶことはないだろうが、可能な限り数字の上乗せをして、上位2者に近づきたいはずだ。

 選挙は勝てるとの胸算用があったはずなのに、突如希望の党が躍り出て、与党1強・野党多弱の状況を覆して勢力拡大の勢いを見せ、その上消費税凍結を打ち出した。

 安倍晋三としたら消費税増税延期を選挙の道具に利用して、この利用が選挙に有利に働いて勝利を獲得、味を占めたことが頭に学習したこととして残っていたはずだから、次の総選挙は勝てるとの胸算用があったにも関わらず、希望の党が消費税凍結を打ち出したことで学習したことが逆に希望の党側の選挙勝利の道具となって選挙に有利に働く懸念へと彩りを変えたとしても不思議ではない。
 
 いわば安倍晋三が味を占めたことが今度は小池百合子が味を占めることにならないかという思いへの味を学習している人間だからこその変化である。

 だが、9月25日に首相官邸で開いた記者会見で2019年10月1日に予定通りに増税すると宣言したばかりか、その使途変更まで具体的に数字を上げて説明してしまった。

 全ての実現は選挙の勝利が前提となる。負けたなら、新たな連立相手が出てこない限り、発言したことが全て反故となるだけではなく、政権まで失うことになりかねない。当然、小池百合子の消費税増税凍結が安倍晋三の消費税延期と同様に選挙に有利に働く道具として利用されることがないよう、手を打たなければならない。

 だが、一度増税を宣言した手前、舌の根が乾かないうちに増税を覆して延期に持ち込むことは言葉の信用という点だけではなく、首相の人間としての信用という点でも不可能なことである。

 だが、選挙は10月10日公示・10月22日投開票と迫っている。そこで9月26日にテレビに出て、増税は「リーマンショック級の事態が起こらない限り」との文言で2019年10月は絶対的増税ではなく、経済情勢に対応させることになる相対的増税だからと増税条件に幅を持たせることで国民に安心感を与えて、警戒している小池百合子の消費税増税凍結の選挙有利を少しでも削ぐべく牽制したということなのだろう。

 そして菅義偉が10月6日の閣議後記者会見で安倍晋三と同様に「政権交代前の経済状況なら」と条件付増税延期を口にして国民に安心感を与えると同時に小池百合子の増税凍結が選挙に有利に働かないように牽制した。

 安倍晋三の発言にしても、菅義偉の発言にしても、所詮、消費税を選挙の道具として頭に置いていることからの発言であって、選挙での勝敗の見通しで増税か延期か、いずれかを決める基準となっている。

 小池百合子の消費税凍結も選挙の都合で打ち出した政策でないとの保証はない。

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日米同盟破棄→専守防衛→自衛隊憲法明記→NPT締結条件北朝鮮核保有承認→防衛費削減→教育費無償化財源

2017-10-06 11:22:23 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 先ず日本人は権威主義を行動様式としている関係から人間同士を上下関係で受け止めやすい傾向にある。このことは日米関係にも影響しているはずだ。

 日本は自国安全保障を日米安全保障条約を通して米国に負っている。だからと言って、自国安全保障は米国の恩恵の上に成り立っているわけではない。

 日本の安全保障は米国の安全保障にも関係していくことになるからだ。ゆえにより対等且つ互恵的でなければならない。対等・互恵は双方共に自立した主権国家の間に成り立つ。どちらかが自立性を少しでも欠くと、対等・互恵は崩れる。

 ところが、日米地位協定を見ると、日本は従属的立場に置かれていて、非互恵的関係を強いられている。この従属性・非互恵性が露骨な姿を露わにしているのが世間で言われているところの裁判権を誰もが指摘するはずだ。

 米軍関係者の犯罪を公務内か公務外かで区別し、公務外の場合は日本側に裁判権はあるが、公務内の場合は米軍側にあるとされていること自体がそれが日本国内の犯罪行為である以上、日本側が従属的立場に置かれた非互恵性を示すものだが、米軍関係者が基地外に住居を構えていて、朝晩の基地への通勤途中は公務内とされ、通勤途中での基地外の犯罪が米軍側の裁判権に帰す決まりも日本側が従属的立場・非互恵的立場に立たされている事例そのものとなる。

 さらに公務外の犯罪であっても、米側が先に勾留した場合は日本側が起訴するまで身柄を確保できない規定は容疑者の取調べを欠いた被害者のみの取調べで起訴に持っていく不備を強いられることと、米側が勾留中に容疑者を米国に帰還させてしまうケースがあることも従属的立場・非互恵的立場に立たされている事例となる。

 ドイツと米側の地位協定の補足協定ではレイプや殺人等の重犯罪についてはドイツの裁判権で裁くと明確に書いてあるということだが、如何に日米地位協定が従属的・非互恵的取り決めとなっているかを窺うことができる。

 これらのことは日本が主権国家としてアメリカに対して真に自立していないことを示す。

 日米地位協定だけではない。日米安全保障条約に関しても日本の安全保障を米国に負う形を取っていることによって日本は主権国家として自立できていない状況に立たされている。

 「日米安全保障条約第5条」は、〈日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。〉となっているが、時折問題でとなるのが尖閣諸島への応用である。(文飾当方)

 2010年9月7日発生の沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の際はクリントン米国務長官(当時)が2010年9月23日の民主党政権外相前原誠司との会談で「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象範囲内である」との認識を示したが、中国に対する牽制として日本側が求めた認識であろう。

 日本側がその都度米側に対して防衛義務の確認を求めなけれならないということは従属的・非互恵的で、如何に主権国家として自立していないかの証明としかならない。

 元外交官の孫崎享によると、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」の文言に関して、〈米国の憲法では、交戦権は議会で承認されなければ行使できない。つまり、日本領土が攻撃されたとしても、米議会の承認が得られない限り、米軍は出動しないのである。〉と、2012年8月30日付「NEWSポスト7」記事で紹介している。  

 米議会が自国国益に適うかどうかで判断されることになる尖閣防衛ということになって、必ずしも米大統領や国務長官の認識、あるいは確認通りにはいかないことになる。

 この記事も触れているが、アメリカが日米安保条約に基づいて防衛義務を負う対象地域は日本の実効支配地限定であって、竹島と北方領土はそれぞれが韓国とロシアの実効支配地なっているために「安保条約の適用対象外」となっているが、中国が突然、電撃的に尖閣諸島を侵略して実効支配した場合、アメリカが適用範囲外だとしない保証はない。特に中東やアフリカに軍事的な紛争地域を抱えていた場合、その危険性は否定出来ないことになる。

 また日本が自国安全保障をアメリカの軍事力に頼ることによって関係悪化国に対しての外交政策に関する画期的な創造性を養う余地を欠くことになっていることも自立性の欠如となって現れている。

 もし日本が日米安保条約を結んでいない状態で中国やロシアの軍事力と対峙しなければならない状況に立たされた場合、日本の劣る軍事力を補うために否応もなしに外交的創造力を養わされることになって、外交的創造力の育みに応じて自立した主権国家へと成長していくはずだ。

 そのような成長のためにも日米軍事同盟を破棄して、特定国との関係悪化は外交努力に委ねるべきで、外交に力を与えるためには専守防衛に徹して、日本からは戦争を仕掛けない立場を取るべきだろう。

 日米軍事同盟破棄は米に対する日本の権威主義の解放にもなって、自立した主権国家と体裁を取ることができる。

 また、専守防衛のみとすることによって少なくとも日本国憲法第9条の精神の半分は守ることができる。

 専守防衛の規定は自衛隊を合憲とする規定と対応させる関係上、自衛隊共々憲法への明記が必要となる。

 北朝鮮の脅威に関しては北朝鮮がミサイルと核を放棄する意志はない以上、核不拡散条約締結を条件に核の保有を容認し、後は対話によってコントロールしていくべきだろう。
 
 日本は北朝鮮に対してだけではなく、中国に対しても外交政策を通してその軍事的脅威を減らしていく努力を重ねて、防衛費を過剰となる状況に持っていき、その過剰分を教育費の無償化の財源とすべきだろう。

 そうすることによって2019年10月8%から10%への2%消費税増税分のうち、国の借金返済に回される予定の5分の4の約4兆円程度を予定通りに年々返済に回すことができて、その分、国家予算の編成に少しづつ余裕が出てくる。

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安倍晋三の総選挙北朝鮮脅威争点化は森友・加計政治関与疑惑隠し&内閣支持率改善成功体験の再現願望

2017-10-05 10:46:11 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 2017年10月4日付「毎日新聞」 《衆院選 「北朝鮮」争点化に躍起…希望出現で首相》なる記事の冒頭解説。  

 〈安倍晋三首相(自民党総裁)が衆院選(10日公示-22日投開票)で、北朝鮮対応を争点化しようと躍起になっている。2019年10月に予定する消費増税分の使途変更を衆院解散の「大義」と主張した首相だが、10月3日の演説では幼児教育無償化などには触れたものの、財源となる消費増税自体には触れなかった。希望の党が消費増税凍結を主張するなか、消費税をめぐる議論は不利になる可能性があると判断し「北朝鮮シフト」を強めている。〉

 その兆候として9月28日の東京・渋谷の街頭演説で「北朝鮮の脅威と少子化という二つの国難を乗り切っていかなければならない」と北朝鮮情勢を先に説明したこと、初の地方遊説となった9月30日の京都府舞鶴市の演説でも北朝鮮対応を先に触れたことを挙げている。

 9月25日の首相官邸での衆院解散表明記者会見では生産性革命、人づくり革命、少子高齢化対策としての幼児教育の無償化、社会保障制度の全世代型への転換等の政策を先に挙げて、これらの財源として消費税増税分の使途変更を説明してから、会見冒頭発言の最後の方で北朝鮮の脅威を挙げて、少子高齢化と並べて国難に位置づけている。    

 要するに記者会見では国民に訴える重課題の優先順位を北朝鮮脅威よりも少子高齢化問題に置いていた。ところがいざ遊説に入ると、その優先順位を逆転させた。

 この優先順位逆転の理由を希望の党代表の小池百合子が消費税増税凍結を打ち出したことで構図化された「増税の自民対凍結の希望の党」の、いわば不利を覆い隠すために北朝鮮脅威を前面に打ち出すことになったのではないかとしている。

 記事は優先順位逆転の効果については、〈もっとも、首相が北朝鮮対応を強調してきたのは、安全保障法制に反対した民進党を意識した側面がある。しかし、民進党は事実上解党。希望の党は安保法制容認を前面に出し、リベラル系の民進党前職を「排除」した。北朝鮮対応は、政権としての責任や実行力を訴える材料にはなるが、野党攻撃としての効果は半減している。〉と、その効果の程を低く見積もっている。 

 確かに記者会見では内政を先に挙げて北朝鮮の脅威を後にしたが、北朝鮮のミサイルも核も現在のところ実験の段階であって、北朝鮮による軍事攻撃や暴発の危険性が目の前に迫っているわけではない。いくら少高齢化と北朝鮮の脅威の両課題を並べて国難と位置づけようとも、内政を先に持ってくるのは当たり前のことで何の不思議もない。

 安倍晋三は対話を排除した圧力こそが北朝鮮のミサイル開発・核開発放棄の最善の策だとしている。安倍晋三の頭の中は圧力が北朝鮮を追い詰めて暴発を招く危険性を忍び込ませる余地を些かも持ち合わせていない。

 上記衆院解散表明記者会見。

 安倍晋三「圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません。

 この20年間、我が国を始め国際社会は六者協議など対話による平和的解決の努力を重ねてきました。その中で北朝鮮は2度にわたり、核・ミサイルの放棄を約束しましたが、結果としてそれらはことごとく裏切られ、核・ミサイル開発が継続されていた。

 対話の努力は時間稼ぎに利用されました。北朝鮮に全ての核、弾道ミサイル計画を完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのことを北朝鮮が受け入れない限り、今後ともあらゆる手段による圧力を最大限まで高めていく他に道はない。私はそう確信しています」

 暴発の危険性を計算に入れていない圧力信仰の発言となっている。

 と言うことは、安倍晋三は圧力=放棄という図式を、予想したことが予想したままの結果となって現れることを確信する意味の“予定調和”に置いていることになる。

 確かに北朝鮮の射程距離を徐々に伸ばしていくミサイル発射実験とミサイル搭載を目的とする小型化に向けた核実験は日米の安全保障にとっては脅威であろうが、にも関わらず暴発はない、圧力=放棄を“予定調和”としていると言うことなら、そのどこが国難とも言うべき差し迫った脅威とすることができるだろうか。北朝鮮による軍事的挑発、あるいは軍事的先制攻撃の強行といった暴発の危険性を計算に入れてこそ、国難とすることができる。 

 圧力=放棄を“予定調和”としているなら、いわば暴発の危険性を計算に入れていないなら、北朝鮮の脅威は架空の脅威――安倍晋三自身が言葉でつくり上げた脅威に過ぎないことになる。

 なぜ言葉で脅威をつくり上げなければならなかったのだろうか。

 安倍晋三は森友・加計安倍晋三政治関与疑惑で一時期内閣支持率を急落させた。そこへ持ってきて、北朝鮮は北海道上空を飛行コースとするICBM(大陸間弾道ミサイル)と疑われるミサイルの発射実験を二度繰返し、さらに北朝鮮発表では水爆実験を強行した。

 安倍晋三は北朝鮮の脅威を言い立て、トランプと4度の電話会談、他の国の首脳とも電話会談を繰返し、何度も「北朝鮮の脅威から国民の生命・財産を守る」ことを約束、国政の喫緊課題とした。

 このことが国民の頭の前面にあった森友・加計安倍晋三政治関与疑惑の記憶を前面から遠ざけて、代わりに北朝鮮脅威の記憶が国民の頭の前面に躍り出ることになり、ミサイル発射と核実験に応じた安倍晋三の動向が結果として疑惑絡みで下落傾向にあった内閣支持率を一旦は改善させることができた。

 この成功体験に味をしめて、安倍晋三をして次期総選挙の北朝鮮脅威争点化を学習させたはずだ。北朝鮮の脅威を選挙の争点の前面に打ち出すことによって森友・加計安倍晋三政治関与疑惑隠しの継続も可能となり、あわよくば投票日に向けて内閣支持率上昇の再現も期待できる。

 だから、選挙遊説でどこへ行っても、国民の頭の前面に北朝鮮の脅威の記憶を優先順位1位で常に刻みつけるべく、オオカミ少年もどきに「脅威」、「脅威」と言い立てることになる。

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「正々堂々」も「愚直」も最無縁の安倍晋三が選挙戦を「正々堂々と愚直に政策を訴える」とする滑稽な空言

2017-10-04 07:53:05 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 安倍晋三が自民党選挙対策本部幹部会議で「正々堂々と愚直に政策を訴えて戦おう」と述べ、政策論議を通じて政権担当能力をアピールし、政権の継続に支持を得たいという考えを強調したと2017年10月3日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。   
 
 「正々堂々」という言葉も、「愚直」という言葉も最無縁の安倍晋三がどのツラ下げて口にしたのかと感心したが、すぐに何の衒いもなく口にすることができたはずだと思い直した。図々しさは天下一品、右に出る者はいないはずだからだ。

 もう一つの同じ2017年10月3日付「NHK NEWS WEB」記事は安倍晋三の栃木県さくら市での街頭演説を紹介している。  

 安倍晋三「今、私たちは少子化という大きな壁を突き破っていかなければならない。そのために子育てをしっかり応援していく。全世代型の社会保障制度を作っていくという大改革を行う決断をした。

 言ったことは絶対に実行する。この選挙はこれが問われている。誰がちゃんと結果を出すかを問う選挙だ。私たちは約束を必ず実行し、夢がある、未来がある日本を必ず作っていく」

 安倍晋三は「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」と、それが事実であるかのように二度同じ趣旨のことを勇まし気に繰返しているが、いくら雇用を創出したとしても、個人消費の見るべき伸びをつくり出し得ず、絶対必須条件である好循環を欠いている点、安倍内閣最大政策のアベノミクスに関しては「言ったことは絶対に実行」していることにはならないし、「約束を必ず実行」を裏切っていることになって、全て空言に過ぎない。

 戦後最高益を続々と獲得している大企業にしても、高額所得者にしてもアベノミクスを実感しているわけではなく、日銀の異次元の金融政策を受けた円安と株高を実感しているに過ぎない。

 実感できた者と実感できない者との差が自ずと経済格差拡大となって現れている。安倍晋三は「格差を拡大します」とは言っていないのだから、「言っていないこと」、「約束していないこと」を逆に立派に実行したことになる。

 国会に諮った法案そのものは2017年1月20日招集2017年6月18日閉幕の通常国会での成立率は95.5%だと言うことだが、選挙で巧妙な手を使って掻き集めた頭数が自動的に作用した法案成立であって、アベノミクスの現状から言っても、成立した政策が一般国民の生活に目立って役立っているわけではない。

 安倍晋三が2015年9月24日に自民党総裁への再選が決まって掲げた新3本の矢の内の「GDP600兆円」、「希望出生率1.8の実現」、年間10万人と推計されている近親者の介護のために離職をせざるを得ない状況を断ち切る「介護離職ゼロ」、「待機児童ゼロ」と麗々しくご披露に及んだ各政策は満足に実行できていないのだから、一般生活者が旧アベノミクスにしても新アベノミクスにしても実感できていない状況は当然の成り行きであろう。

 にも関わらず、「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」と、それが真正な事実であるかのように力強い言葉で声を張り上げる。

 こうようなことは「ツラの皮がまるで鉄でできているように恥知らずで厚かましいこと。厚顔無恥」を指す言葉、「鉄面皮」という言葉で表現できる。

 要するに安倍晋三は選挙を巧みに操って、その勝利で政権を持たせているに過ぎない。

 第2次安倍政権は2012年12月16日の衆議院議員選挙に大勝利して2012年12月26日に発足した。民主党政権が失敗して国民に大失望を与えた反動の大勝利に過ぎない。誰が首相であっても、大勝利しただろう。

 第二安倍政権が発足後最初に迎えた国政選挙は2013年7月21日投開票の参議院議員選挙で自民・公明両党が全体で過半数を上回る135議席を占め、野党が過半数を占めていたねじれを解消することができたのは選挙前に「アベノミクスとは世界経済と日本経済のWin-Winです、経済成長と財政再建のWin-Winです」とか相務めていた宣伝が功を奏したわけではない。

 なぜなら、政権発足から7カ月しか経過していないから、アベノミクスはまだ海のものとも山のものとも見分けがつかない状況にあったからである。勝因は民主党政権に対する国民の失望の記憶が未だ生々しかったことと、2013年4月から実施の日銀の異次元の金融政策が円安・株高時代を演出してくれたことにある。

 次の国政選挙は2014年12月14日投開票の衆議院議員総選挙であるが、2014年11月8日に消費税2015年10月税率10%への引き上げを2017年4月に1年半の延期を表明。国民が暮らしを最大の利害としていることを利用したのである。

 この利用が最大の勝因となって、自民党は単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得、公明党35議席と合わせて議席数の3分の2以上を維持する勝利を収めた。

 第2次安倍政権発足後の3度目の国政選挙が2016年7月10日投開票の第24回参議院議員選挙。半年前の2016年6月1日に通常国会の閉幕を受けて首相官邸で記者会見を開き、2017年4月1日に延期・予定されていた8%から10%への増税を2019年10月1日に2年半再延期した。

 国民が暮らしを最大の利害としていることを再利用したのである。柳の下に二匹目のドジョウを狙い、成功して、前回参議院議員選挙自公全体で135議席から11議席増やして146議席となる勝利を収めている。

 一般国民に景気の実感を与え得ることができいない現状のアベノミクスの機能不全を見れば分かるように安倍晋三はこれまでの選挙をアベノミクスの実効性やその他の政策の実現で勝利してきたのではなく、民主党政権の失敗を大きな糧とし、消費税増税を延期する遣り繰りで暮らしを最大の利害としている国民を目眩ましして、言ってみれば票を騙し取ってきたに過ぎない。

 かくこのように安倍晋三はどの選挙も、決して「正々堂々と愚直に政策を訴えて戦」ってきたわけではない。当然、「言ったことは絶対に実行する」、「約束を必ず実行」は、それが安倍晋三自身の絶対信条であり、絶対順守事項であるかのように見せかけてはいるが、「正々堂々」にしても「愚直」にしても安倍晋三には最無縁の性向に過ぎないことが実際の正体と言ったところなのだろう。

 下落していた内閣支持率が北朝鮮対応で一旦は改善したが、選挙戦に入って安倍晋三が懸命に声を嗄らして政策を訴えたり、野党を批判したりしているにも関わらず再び下落しているところを見ると、自らの姿勢を「正々堂々」、「愚直」と訴えていることに反してそろそろ化けの皮が剥がれつつあるようだ。

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安倍晋三と菅義偉東京同時不在40分は北朝鮮脅威“国難”との位置づけと待機指示をウソにする姿勢が問題

2017-10-03 11:29:30 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 昨日2017年10月2日のマスコミが安倍晋三と官房長官菅義偉の二人が10月1日に約4時間、同時に東京を不在にした危機管理姿勢を問題にした。

 2001年の実習船「えひめ丸」衝突事故当時の森喜朗首相と福田康夫官房長官が共に都外にいて危機管理の甘さを批判され、森内閣退陣に繋がった教訓を元に大規模災害やテロに備えて首相か官房長官のいずれかが原則都内に残る慣習となっていたという。

 記憶しているところでは、2014年9月27日にも同じような同時不在が出来した。2014年11月11日の任期満了に伴う福島県知事選投票日が任期満了に先んじて10月26日に、2014年12月9日の任期満了に伴う沖縄県知事選投票日が任期満了に先んじて11月16日に控えていた。

 9月27日、首相の安倍晋三が知事選を見据えて福島県川内村を訪問、菅義偉が同じく知事選を見据えて沖縄県を訪問、同時不在を演出することになった。

 国家危機管理に関わる他のメンバーをいつもの態勢で待機・万全を期していたから、何も問題はないとしているが、国家のナンバー1とナンバー2が危機管理よりも選挙を優先させた政治姿勢そのものが問われるはずだ。

 今回の10月1日約4時間の東京同時不在は安倍晋三が京都府舞鶴市で選挙遊説、一方の菅義偉は公明党の立候補予定者演説会出席を目的に北海道に向かうべく羽田空港を午前10時出発によって生じたという。

 この同時不在に関しても菅義偉は他のメンバーによる万全の態勢を挙げて、問題無しとした。

 「NHK NEWS WEB」(2017年10月2日 13時08分)     

 菅義偉(10月2日の記者会見)「衆議院は解散されたが、政府に空白はない。24時間365日、北朝鮮の挑発に対応しており、選挙期間中も同様の対応だ。引き続き、危機管理に万全を尽くす。

 きのうも野上官房副長官が総理大臣官邸に緊急参集できる場所で待機していた。万全の態勢であることに変わりはない」

 危機管理に関する具体的な対応にについて記事は、〈自らと小野寺防衛大臣の2人は、選挙期間中、基本的に東京を中心に残るほか、NSC=国家安全保障会議の4大臣会合のメンバーのうち、少なくとも2人が常に都内に残ること、自らが都外に出る際には官房長官の職務を代行する官房副長官を定めることなどを説明〉したと解説している。

 砕けた言い方をすると、「代わりがいるじゃないか、どこに問題がある」ということになる。

 問題はいくらでもある。

 先ず安倍晋三は9月25日(2017年)の衆議院解散を告げる「記者会見で北朝鮮の脅威を“国難”と位置づけた。  

 安倍晋三「我が国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射、核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威は正に現実のものとなっています。こうした中で、私は、国際社会の連帯をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、インド、欧州、中東、アジアの首脳たちと対話や協議を重ねてきました。そして先般、国連安保理が原油や石油製品の輸出制限を含む厳格な制裁措置を全会一致で決定しました。まず、これを完全に履行する。さらに、北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会と共に一層圧力を強化してまいります。

        ・・・・・・・・・・

 この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります」

 “国難”とは差し迫っている重大な国家の危機を言う。テレビ「プレバト」の俳句評者夏井いつき先生に言わせると、「差し迫っていない国難があるとしたら、ここに持って来い」と言うはずだ。

 安倍晋三は記者会見以外にも、選挙演説でも、北朝鮮の脅威を“国難”だと言い立てている。いわば日本の安全保障と「日本国民の生命と財産」に対して北朝鮮の軍事的挑発が如何に差し迫っている脅威になっているか、声激しく訴えている。

 そのような“国難”と位置づけている以上、それに対する危機管理に於ける万全の態勢とは指揮命令に実効力を伴わせ得る地位の高さと地位の高さに応じた義務と責任の重さを擁した人物が陣頭指揮して初めて指揮命令は高度に機能するゆえに、そのような地位にある人物は危機管理対応に常に関わることができる状況に身を置いている必要がある。

 もし必要でないなら、いわば指揮命令に実効力を十分に伴わせるだけの義務と責任を有していない代理で十分に間に合うということなら、間に合うとすること自体の姿勢も問題になるが、“国難”との位置づけは不要になり、“国難”から外した方がいい。

 安倍晋三が9月26日に菅義偉と防衛省の小野寺五典に対して北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射に備えて衆院選期間中も東京都内で待機して危機管理に当たるよう指示を出したのも北朝鮮脅威を“国難”としたことの緊急措置であったはずだ。

 この緊急措置をウソにしたばかりか、大規模災害やテロに備えて首相か官房長官のいずれかが原則都内に残る慣習を国家安全保障の危機管理としているなら、当然、首相か官房長官のどちらかが危機管理を指揮命令する義務と責任を負っているはずだが、4時間という短い時間であったとしても、その義務と責任を放棄、言ってみれば、“国難”そのものをウソにした。

 安倍晋三と菅義偉が同時に東京を不在にできたのは北朝鮮国内の動きから見て、ミサイル発射も核実験もないことを想定内としていたからだろう。もしどちらかの動きがあったなら、同時不在はできない。

 但し想定内のみで想定外を度外視した行動は想定外の最悪の事態をも想定して最善の備えをする危機管理の原則に反するばかりか、国民に対して北朝鮮脅威に切迫感を与えることになる“国難”との位置づけとのズレを否応もなしに出来させることになる。

 なぜなら、実際に起きる如何なる“国難”も、想定内の事態のみで構成されるわけではなく、想定外の事態に襲われることが往々にして存在するからだ。

 国家の安全保障に義務と責任を最大限に負わなければならない安倍晋三、あるいは菅義偉が北朝鮮脅威を“国難”との位置づけに反して陣頭指揮の危機管理を疎かにし、首都東京を同時に不在にした姿勢・心構えそのものが問われなければならないが、不在の理由が選挙優先という点で国民をバカにする姿勢・心構えということになる。

 不在の間、北朝鮮のミサイル発射もなかった、核実験もなかったとした場合の自己免罪は想定外を想定しない不徹底な危機管理に基づいた結果オーライに過ぎない。

 安倍晋三も菅義偉も発言は仰々しいが、その程度の危機管理しか備えていないことになる。

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小池百合子の民進党大量入党で見せた「希望の党」単独立党と単独代表の体裁は主導権独占欲と栄誉独占欲

2017-10-02 12:30:23 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 最初に小池百合子が新党希望の党の代表に就任するまでの経緯を見てみる。

 小池百合子の側近衆議院議員若狭勝(60)が2017年7月13日に自身代表の政治団体「日本ファーストの会」を立ち上げる。

 その後若狭勝は新党結成を計画、結成一員の民進党離党者細野豪志が9月23日に新党名を「希望の党」とする方向で調整していることを記者団に明らかにする。

 若狭勝の9月23日に出演したテレビ東京系列BSジャパンでの発言。

 若狭勝「共同代表は一つの選択肢だ。党首、代表に少なくとも国会議員がなることはほぼ決まっている。

 (擁立する候補者数)50人は下回らない。『非自民、非民進』の政党をつくるというのが、そもそもの始まりだ。選挙だから何が何でも勝つという近視眼的な対応は基本的にしない」(東京新聞) 

 要するに新党代表については共同代表を一つの選択肢として考えている。一人は国会議員側から、もう一人は小池百合子が都知事を務めたまま就任するという趣意なのだろう。

 擁立する候補者数を「50人は下回らない」と発言していることは50人前後の見通しが立っていることを示す。新党の性格を「非自民、非民進」に置いているということは自民党のみならず、民進党とも一線を画す姿勢でいくことを決めていて、連携は視野に入れていなかったことを示す。

 小池百合子の都庁での9月25日「記者会見」THE PAGE/2017年9月25日 16時57分)    

 文飾は当方。

 小池百合子「今日は名前の発表が多いんですけれども。このたび、希望の党を立ち上げたいと存じます。これはこれまで若狭さん、細野さんをはじめとする方々が議論をしてこられましたけれども、リセットいたしまして、私自身が立ち上げるということでございまして、もう直接絡んでいきたいというふうに思っております。

 ただし都政につきましては、私は現在も都知事でございますので、しっかりとやっていく。そしてむしろ都政をより磨きをかけていく。

     ・・・・・・・・・・

 それから誰が共同代表でってそればっかり質問を受けておりましたけれども、むしろ私がしっかりと旗を掲げるということで明確になるのではないかと思います」――

 「リセットいたしまして、私自身が立ち上げるということでございまして」と言っていることは、党の立ち上げ準備は国会議員が行ってここまで進めてきたが、その進捗を全て「リセット」して、いわば若狭勝や細野と共に立ち上げるのではなく、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えている物言いとなる。

 単独立党の体裁を取るということは“主導権は我にあり”の暗黙の宣言そのものであろう。

 この宣言には主導権独占欲が明らかに渦巻いているばかりか、新党を立ち上げたことに対する栄誉の独占欲まで窺うことができる。

 主導権独占願欲と栄誉の独占欲の二つの心理が共同代表ではなく、自身のみの単独代表に導くことになったということなのだろう。共同代表であったなら、どちらも独占できなくなるだけではなく、下手をすると、都知事に専念している間に奪われる可能性なきにしもあらずとなる。

 都知事を務めながら、要所要所でしゃしゃり出て、誰が立ち上げた党なのか、誰に主導権があるのか、それとなく知らしめるに違いない。

 「むしろ私がしっかりと旗を掲げるということで明確になるのではないかと思います」との発言にしても、自身の高い人気に対する自信からの“自分あってこそ”の発信であって、主導権独占願望と栄誉の独占欲の二つの心理を見て取ることができる。

 「THE PAGE」記事の有料部分の発言を、「民進党 前原代表と小池氏が会談、連携を協議」毎日新聞/2017年9月27日 12時54分)が紹介している。     

 記事は冒頭で民進党代表の前原誠司が党関係者の情報として9月26日夜、小池百合子と都内で会談、衆院選に向けた両党の連携について協議したと伝えている。

 次いで前原誠司・小池百合子9月26日会談前日の小池百合子の都庁での9月25日記者会見発言を紹介している。

 小池百合子(民進党との連携)「党丸ごとというより、政策に同意してもらえるかだ」

 要するに小池百合子は9月26日に前原誠司と会談する前日の9月25日の時点で民進党との連携と言うよりも、前原が言っていた民進党との合流ついて前原誠司から既に伝えられていたことになる。

 複数のマスコミが前原誠司と小池百合子、自由党の小沢代表の三者が「9月下旬に都内で極秘に会談していた」ことを伝えている。

 この「9月下旬」というのは若狭勝が9月23日にBSジャパンで「『非自民、非民進』の政党を目指す」と発言して民進党を排除していたから、9月23日の出演以降の当日か、9月24日である可能性が高いことになる。

 いずれにしても前原誠司側からの民進党との合流の提案は9月26日の前原誠司との会談で始めて伝えられたのではなく、9月25日の記者会見の時点で既に前以って承知していたことになる。

 2017年10月2日付「YOMIURI ONLINE」記事が10月10日公示・10月22日投開票の衆院選小選挙区の公認候補として220人以上を擁立する方向で最終調整に入り、第1次公認として10月2日にも発表する約210人の内訳は若狭勝ら希望の党独自候補が約80人、民進党からの合流組が約130人、民進党公認で立候補を予定していた212人(読売新聞調べ)のうち、約3分の2は希望からの立候補が認められる格好だと伝えている。   

 尤も他の記事は第1次公認は54人の見通しとなっているとしているが、各マスコミに配信している「共同通信」記事は200人規模と伝えているから、「YOMIURI ONLINE」記事は正確と見ていいはずだ。

 要するに小池百合子は9月25日の都庁での記者会見前に、その時点でリベラル派を排除すると決めていたかどうかは分からないが、解散前の民進党衆議院議員だけではなく、前回総選挙落選組で再立候補・再公認を目指している雪辱組、新たな立候補組合わせて合計何人ぐらいになるかは前原誠司から情報として伝えられていたはずだから、それらが公認を求めて大挙して希望の党入りすることは承知していた。

 そして9月25日の都庁での記者会見を迎えた。と言うことは、入党希望者の人数の多さ、人数に応じた希望の党を立候補のステージとすることの期待値の高さから、小池百合子は大きな政党になる可能性を胸に秘めて記者会見に臨んだはずだ。

 と言うことは、若狭勝が共同代表だと言っていたことに対して自身が単独で代表に就くと言い出したことも、若狭勝や細野豪志その他が党の立ち上げ準備を進めたにも関わらず、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えて、“主導権は我にあり”の暗黙の宣言となる主導権独占欲を滲ませるたことも、栄誉の独占欲を暗に忍ばせことも、大きな政党への発展を予感させる民進党からの大量入党の安心があったからだろう。

 希望の党が民進党からの合流もなく、新党立ち上げ前の初期の段階から馳せ参じて1次公認の栄誉を受けることとなった50人やそこらの行く末が明確にならない状況下で果たして単独代表に進んで名乗りを挙げただろうか。

 50人やそこらであったなら、先行き不透明で、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えて、“主導権は我にあり”の誇示を果たしてできただろうか。

 責任を半々にする意味からも、共同代表でいく計算はしたはずだ。

 主導権独占欲にしても栄誉独占欲にしても、利己主義が生み出す精神性に他ならない。

 小池百合子は民進党のリベラル派を希望の党に入れた場合は政策不一致が生じて党内が混乱するという理由で排除したが、小池百合子自身の利己主義から発している主導権独占欲と栄誉独占欲が党内の反発を招き、党内混乱をもたらす原因となる可能性は否定できない。

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