木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

建築設計のアフターケアー

2007-07-15 22:47:17 | Weblog
大型の台風4号が列島を直撃し、昨日の夜から今朝にかけて大変な雨であった。これだけ降るとどこかで雨漏りがしているのではないかとの予想が当って以前設計した目黒のフラワーショップから電話があり、雨が漏っているので見てほしいとの連絡であった。

今までかなりの数の建築を設計してきたので、完成後も色々な形でこれらの建物と関わることが多い。多くは設計をした人間がアフターケアーをすると言うより、担当した施工会社がそれを行っているケースがほとんどであるが、中には施工の出来栄えが良くなかったり、金銭的にトラブルがあった場合などは、私のところで新たな施工会社を紹介してメンテナンスを行う事もある。

ある程度の企業であれば、アフターケアーを一つの業務として展開できるのであるが、個人の設計事務所がこれに取り組むのは経済的にも結構大変であるしその他の問題も多い。
建築の場合、建設業四会連合約款と言うものがあり瑕疵責任を2年間と決めており、それを過ぎた場合はすべて実費精算を原則としている。ただ雨漏りなどは大分時間が経ってから出てくるので其の判断は微妙である。
特にバブル期に竣工した建物などは、職人不足で施工程度に欠陥があるものが多く
かなりのトラブルがあった。

アフターケアーは工事に関係あるものばかりでなく、最近20年程度前に設計した建物を施主が残念だが売却したいとの話しがあり、色々な理由で検査済証を取得していなかったことで売却に支障をきたすことがあり奔走した。昨今の法令順守の通達で金融が厳しくなっているおかげである。

データーの電子化はつい最近のことで、過去の設計の資料は膨大なファイルで保存していたが、これも数年前大分整理してしまった。建築の場合は20年程度たって色々問題が起こってくるので、処分した途端に構造計算書がなくなっていたり、肝心のことを記入したメモがなくなっていて大変苦労した経験がある。
役所にしても、この間まで確認申請の正本の保存は5年を限度としていたようだ。
これからは、データーで保存できるのでそんなこともなくなるだろうが、、、

データー保存が出来るようになったからには、設計者は施工とは又別に独自に各種のデーターを保存する必要があると思う。今まではアフターケアといえば施工会社におんぶにだっこの状態であったが、そうする事によってアフターケアーへの取り組みも新しい局面が出てくるような気がしている。