木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

作法是宗旨

2007-07-13 22:08:01 | Weblog

 

最近はデスクワークが多く、人前で話したり会議に出たりすることが少なくなった。

昨日は久し振りに会議があり、議論をしたり人を批判したりもした。

若い時は忙しく会議の連続だったりして、今話したことや議論したことを反省する間もなく又次の話に夢中になったものだが、最近はすぐ振り返り自分の意見を反芻して見ることが多くなった。

 

 作法是宗旨とは、曹洞宗開祖の道元禅師の言葉であり、日常の一挙手一投足が即ち修業であり、これをきちんと行うことこそ仏法の極意であると説く。

 ”人間は見た目ではなく心が大事である”とはよく言われる言葉であるが、古来仏教は表面に現れた物事よりその背景にある心を重視するものが多い。

法相宗の教学である”唯識論”などはその代表的なものである。

其の中で、表面的な形や作法を重視する道元禅は異色である。

 

最近私が会議のあと振り返るのは、自分が話した内容ではなく話し方、相手に対する態度などの作法を気にすることが多くなった。

今日の自分は相手に対して失礼ではなかったか、話し方はあれでよかったのかなどと内容などより形のことばかりが気になる。

そして不思議なことにはっきりと淀みなく話せた時には、意見がちゃんと伝わったように感じるものである。

 

参議院選挙がいよいよ告示されスタートした。昨日などはニュースは各党党首の揃い踏みといったところで、同じ顔や同じ話を何度も見て聞くような羽目になった。

安倍総理の饒舌ではあるが落ち着かない表情、小沢党首の説得力はあるが愛想のない仏頂面、公明党や共産党の如何にも其の政党らしい話し方。

どれも余り魅力を感じる顔や声ではない。

最近ではこのほど引退したブレア英国首相の演説、其の前のサッチャー元首相の演説などは、やはり聞く人を引き込む魅力を持っている。

クリントンの演説も聞かせるものであった。

 

やはり日々の日常生活の積み重ねが大事で、それが自ずから表情や立ち振る舞い、話し方や、ひいては人間性までも吐露してしまうものではないかと思う。

心して服装や話し方、字の書き方についてまで気をつけて行動しなければと思う。

 

『正法眼蔵』「洗浄」巻 に言う

しかあれば、身心これ不染汚なれども、浄身の法あり、心法あり。

ただ身心をきよむるのみにあらず、国土・樹下をもきよむるなり。

国土いまだかつて塵穢あらざれども、きよむるは諸仏之所護念なり。

仏果にいたりてなほ退せず、廃せざるなり。その宗旨、はかりつくすべきことかたし。

作法、これ宗旨なり、得道、これ作法なり。 と