木村 和美 Architect

建築家木村和美の日常活動とプロジェクトについてのブログ

スモール・イズ・ビューティフル

2007-07-08 22:19:08 | Weblog

 

今日日曜日、夕方からソーセージとジャガイモをつまみにベルギービールを飲んだ。

オルヴァルと言うビールで、ベルギーのトラピストビール(トラピスト修道院で作るビールの意)の一種である。

ベルギーには小さなビールの醸造所が120もありそれぞれ独特のビールを造っている。

 

数年前ローレライの麓の古城で地元のビールを飲んだが、ビットブルガーという名前で、日本でもドイツ料理のレストランでたまに見かけるがこれも美味しいビールであった。

我が国でも地ビールがたくさん出来て来たが、大手メーカーの力が大きすぎ多く飲まれるまでは中々行かないようである。

 

”スモール・イズ・ビューティフル”はイギリスの経済学者のエルンスト・シュマッハーのベストセラーであり1973年に出版された。

同じ頃出版されたローマクラブの”成長の限界”と共に、高度成長経済に警鐘をならし方向転換を促した有名な書である。

大きいことは良いことだと多消費型の社会が進行しつつあった時に、バランス型社会の人間経済学を唱えスモール・イズ・ビューティフルは流行語にさえなった。

 この言葉が一人歩きして当時たくさんのスモール・ビジネスが誕生した。

それらは多くベンチャービジネスであったが、重厚長大から軽薄短小への移り変わりが行われた。

基本的には今でもこの状況は変わらないと思う。

 

ただスモール・ビジネスが成功し伸びていけるのはごく限られたものだけで多くは大企業、大組織の壁に阻まれて消えていったものは数限りない。

成長する過程で現代経済の論理に翻弄されてしまうのだ。

 

シュマッハーは英国石炭公社の研究員としてビルマに派遣され其の地の経済振興に取り組む過程で仏教経済学なる言葉を創造し物質文明としての現代経済を批判している。

必要なのは先端技術ではなく地域にあった中間技術の発明であることを看破し、それに取り組む人材の育成を唱えている。

 

建築設計の世界は、元々スモールビジネスであったが建築は不動産とリンクしており、現在の状況下でビッグプロジェクトに参加している個人の建築家も多い。

組織としてのスケールは小さくても、自らの創意工夫によって仕事の領域を拡大できる可能性も大きいと思う。

 

其の時でも”スモール・イズ・ビューティフル”の精神を忘れずに取り組むことが必要ではないかと思う。